雇用助成金の具体例 E

チャレンジ3号業務(その6)
特定社会保険労務士 竹内 睦 昭和34年生まれ。昭和57年明治大学経営学部卒業。同年大和証券鰍ノ入社。中小企業開拓を中心とするセールスマンとして第一歩を踏み出す。以来、外資系証券及ぴ生損保の営業を経験。現在,顧問先の営業支援を助成金活用によって新規開拓に結びつけるという独自の領域で活躍中。
「勉強のため」をビジネスに変える時 竹内 睦 助成金活用研究会会長
特定社会保険労務士
勉強という名の勘違い
我々が立つべき戦場はどこか?

 読者の皆さん、労働基準法から始めた受験勉強も一回りした頃かと思います。
中には、保険4科目が頭の中で交錯し、ダッチロール状態の受験生もいるかもしれません。
そんな時でも、失望する必要はありません。
合格者2,000人のうち、超天才的優績者(1%の20人くらいでしょうか?)以外は、みんな絶句するはどの忘却と保険科目の混乱を経験し、本試験まで引きずりながら、半分以上が運良く合格しているわけです。
この失意の時期を通過しないと合格は、ありません。
つまり、それだけ、知識が増えてしまったのです。
あなたの受験勉強も7合目にたどりついた証明です。もう一息です。
勉強もここから、盛夏に行われる天下分け目の本試験までが、皆さんにとって今年一番大切で、しかも、振り返ると最も輝く時間だと思います。
毎日向かう机、読んでいる基本書、ここに費やす時間が皆さんの戦場です。
どうか悔いのない様にお過ごしください。
 さて、現在の勉強は、合格のためにやる勉強です。
しかし、開業後は、お客様(企業経営者)のために勉強することになります。
ここで勘違いしてはいけないことが、2つあると私は思います。
それは、

 1.将来の仕事の受注のために勉強する。
 2.将来のお客様から聞かれた時、答えられないと社労士としての権威が無くなる。

です。
 代表的な行動パターンとしては、賃金、年金、○○実務習得等の各種有料研修会への出席でしょう。
また、暇にまかせて読書三昧や(これはこれでうらやましい生き方ですが)、実務関連のソフトの購入とインターネットでの情報収集などなど。
これらは、一見必要に思えますが重大な欠陥があります。
それは、お客様の顔がまったく見えていないことです。
 今、実務家として一本立ちする過程の社労士は、目の前のお客様のために、そのお客様が抱えているいくつかの経営上の問題に対して、オーダーメードの処方箋を作り、一緒に問題解決に当たることが大事ではないでしょうか?
よくあるパターンの学習ではなく、ここだけのオリジナルの回答を出すことです。
この繰返しは、研修会での時間と費用のムダ使いより有効です。
 また、変な常識(3号業務の受注には、知識やツールが必要)をもらうことなく、自分で考えて納得して、社会保険労務士として事務所を経営することが必要だと私は思います。
そのとき、お客様の前でのパフォーマンスが必要条件で、知識は、数ある十分条件の一つです。
お客様へたどり着くまでの営業や緊張感のあるプレゼン、そして代金回収等々やるべきことは多い。
この現実からの逃避である将来のための勘違いの勉強は、即刻止めて現場に戻りましょう。
映画の「踊る大授査線」で青島刑事も『事件は会議室で起こってるんじゃない。
現場で起きているんだ!』と叫んでいました。私も同感です。

今、委託契約への道は遠いのか?
必要な提案の仕組み

 社会保険労務士の仕事とは何ですか?どんな分野の専門家ですか?
各種学校や社労士のホームページ、資格の本などには、次のような言葉が並びます。

 1.高齢化社会を担う専門家
 2.年金・保険の専門家
 3.労務管理の専門家
 4.労働・社会保険関係の書類作成・届出
 5.経営者や人件費の高い総務の担当社員の仕事を代わりに安くやる

等々やれることはいろいろです。
 東京都社会保険労務士会の報酬規程でも、第1の顧問報酬から第3の人事労務管理報酬まで、金額付きで詳しく業務が掲載されています。
やれるという可能性は多いですが、全部に精通することは出来ず、また、精通する必要も無いと思います。
 では、自分はどの分野を専門にして、対象を誰に定めるか?
どんな商品やサービスを提供し、どのように報酬を請求していくか?
通常の社労士事務所の書類作成や届出の業務は、対象会社の事務コスト削減を中心においてサービスを提案しています。
現在の経済的な環境の中、このアプローチでは、既存のお客様でも、ましてや新規の経営者に対しても、まったくインパクトが無いと思われます。
その理由は、デフレ効果で本物が求められるようになり、サラリーマンもプロ化(例えば資格取得)しないと職を失う可能性が出てきました。
書類作成及び行政とのネゴが必要でない届出は、社員がやります。
 また、大体の業務がパソコンソフトで解決します。
顧問料等の外部委託費など真っ先に見直しの対象になってきています。
顧問社労士がいる会社は、打ち切って社員にさせるか、今までの顧問料の値引きか、委託先を変えるか、の選択です。
これは、税理士業界の方がもっと深刻かもしれません。
この流れに入っている会社に、社員で出来る仕事を外部に委託しましょう、と話にいっても無駄でしょう。
 既に、これらの業務に対する評価は、定まっています。
つまり、周知の値段が付いています。
顕在化した問題の解決では、代わりがたくさんいて商売にならないのです。
単に現状の問題解決型だけのマーケットは、非常な勢いで縮小しています。
やはり、委託契約の道は、遠いのか?
もちろん、限りなく遠いです。
ただし、従来の方法でやる場合です。「ニーズを喚起する」。生命保険業界で必ず出る言葉です。
これは、今すべての業界で必要とされています。
これが出来ない営業やコンサルタントに高額な受注はありません。
こうした試みの対極のセリフとは?
『労働社会保険関係のことは何でもやれます。やります。この分野で唯一の資格が社会保険労務士です。報酬規程では、顧問料が月3万円(社員8人位の会社)ですが2万円で結構です。業としてこの業務を出来るのは社労士だけです。』通常業務ができるセミプロ化した総務の社員がいる会社の経営者には、この言葉は滑稽に響くかも知れません。
 社員に出来る仕事は、オーバーワークになっても社員がやるということです。
必要な提案とは、経営の3つの資源である「ヒト、モノ、カネ」に関することです。
特に我々は、ヒトの部分で経営者に対して、どのような問題点の解決方法を提案できるのか?
その前に、問題点を明確に認識してもらうニーズ喚起をどのように行うのか?
真剣、かつ必死に考えなければなりません。

助成金活用の真髄
提案は経営者の心を癒すビタミン剤

 まず、中堅中小企業の経営者の置かれている現状を頭に思い浮かべてください。
そして、日々接する経営者の方々の苦労を想像しましょう。
問題点には、各社共通するものと個別対応しなければならないものと2通りあります。
考え抜いたら、現場で検証します。
ニーズを喚起することに集中し、インタビューをしていきます。
そのやり方は、各人のキャラクターを前面に出し、つまり、自分が最も得意で、かつ、お客様に好感を持って迎えられる態度を日々のプレゼンの中で追求していくことです。
委託契約の成功、不成功にかかわらず、見込み客が満足できていたかどうかに注意し、面談のスキルを磨きます。
 なぜ助成金活用の提案が経営者の心を癒すことが出来るのか?考えてみてください。
『お金が入ることで喜んでもらえる』この点では、私は、あまり関係ないと感じています。
コンサルティングする会社は、社員数30名前後の会社から150名前後の会社ですから、200〜300万円の助成金が入っても業績が変わるわけでもありません。
 では何があるのか?
助成金の財源は、多くは、雇用3事業分として徴収された雇用保険料です。
この費用が全額会社負担であることを経営者は知りません。
つまり、社長自身が負担している事実をです。
この事実を、徴収している国は情報提供していません。
ここに、この事実を知った経営者の怒りが発生します。
しかし、国の怠慢により受けた得べかりし利益は、当方のコンサルティングにより、回復するわけです。
 ここの心理的なあやの所が重要です。
怒りが助成金活用により、してやったりという痛快な気持ちに変わります。
この快感を提供したコンサルタントに対して経営者の皆さんは、どういう気持ちを抱くでしょうか?
 私が、経営者から受ける言葉に、次の言葉があります。
『竹内さん、いい仕事を選んだね。みんなに喜ばれて商売繁盛。こんな仕事があるんだね〜。ニツチな仕事だ。社会保険労務士ってこんなこともやるんだね。うちの社労土さんから一言も言われたこと無いよ。』等々驚きと自分自身が、他の経営者もしていない助成金の申請をやる優越感、この情報を提供してくれたことの感謝の気持ちを率直に話してく れます。
 不快感と怒りが快感と爽快に変わる時、最高のビジネスチャンスが訪れます。

ALL OR NOTHING
あなたの商品は、何ですか?

 右肩下がりで出口無き平成大不況などといわれる昨今、開業社労士14,000人のマーケットに参入される皆さんの商品は何ですか?
まさか、労働及び社会保険に関する法令に基づく書類作成や届出業務の外注という商品を社員数が数人の会社に売り込むつもりなら、止めたほうがいい。
一番可能性が無い(低いではなく)ビジネスだと私は、思います。
ただし、唯一高収益会社だけは、例外です。
 しかし、この分野こそが、新鋭の社労士が開拓すべき市場だ、税理士の関与率まで引っ張り出し、無限の市場が社労士にあるなどと見当違いか悪意からかいろんな媒体に書かれていますが、大体万人が納得するような理論など現実に実行するとはとんどうまく機能しませんよね。
数々の歴史が証明しています。
 段階を踏んで考えていくと、ビジネスチャンスのある分野は、セミプロ化した社員(実務経験の多い方や社労士の有資格者等)がいても手の届かない専門性のある分野であること。そして、この専門性を生かして、企業経営者の抱える問題点をインタビューで明確にし、ニーズを喚起しながら、解決方法を提案していく。
 また、この過程で現状の分析だけでなく、将来の事業計画の立案に関与できれば、経営者の片腕=パートナーとして、思う存分その専門的知識と知恵を駆使し、経営者に貢献出来ます。
 しかし、対象となる会社のイメージは、ズバリ社員数で考えるのがわかりやすいでしょう。
10人より50人、100人とヒトが増えれば、経営者が抱えるヒトの問題の数と質は、単純な純増でなく、倍々に増えていきます。
社員数が多ければ、それだけ人件費等の経費も支払っているわけで、問題解決の費用のキャパも、上限が伸びます(当方の売り上げ増が見込めます)。
 経営者が喜んでいただける助成金活用コンサルティングで信頼と満足をいただき、その過程で、会社を守る就業規則作成、賃金、退職金、役員退職金等の制度設計を提案し、会社を活性化し、発展させるサポートをしていく。
あなたの前職が営業なら営業で、経理なら経理で自分自身に付加価値を付けて、真剣に提案を繰り返す。
その時、具体的なあなた独自の商品やサービスを、自分で価格を付けて(報酬規程など不要です。)、経営者にオファーし、勇気を持ち、断固たるクロージングを必ずかける。
結果、あなたの言い値で契約できるでしょう。
 前回にも書きましたが、オリジナル商品とサービスの製作には、生命保険、損害保険会社さんからの協力とその知識が大いに役に立ちます。
私は、自分のシンクタンク的な存在として、いろいろな情報提供をしていただき、また、指導を受けながら、信頼のおける会社とお付き合いしています。
 金融ピックバンは、仕入先の数を増やすことで対応するのではなく、ここぞと思った人や会社と運命共同体として、知恵を出し合い、足らざるを補いながら、乗り切っていくものと確信しています。
乱世は、自分自身の専門性の族を高く掲げ、技術を極め、付き合いは専属で、より狭く、より深く、事業を展開し、信頼関係を強固にしながら、もっと高度で、高付加価値なコンサルティングにつなげていく。
コスト競争の無い真空地帯で勝負する。
このような見地からの商品設計や提案が必要だと思います。

ビジネスの仕掛け
今年の目玉−雇用創出関連助成金

 TVでがんがん流れた、大石恵を起用した助成金CMの影響でしょうか、雇用促進センターが何時になく活気に満ち溢れています。
いつもとは、ぜんぜん違う。やれば出来るんだねって声をかけてあげたい気持ちです。
 さて、この助成金は、創業や異業種進出する時、採用する6人までの賃金の2分の1が1年間助成される大型のものです。
助成額が1,000万円を超えますので、要注目となっています。
 原稿を書いている2月現在、当研究会でも、改善計画の認定のサンプルが少ないので、ビジネスとしてどう取り組むことが、リスクが少ないか戦略が定まっていません。
人は採用しても、辞める自由がありますし、申請に係る時間とあの下準備を考えるに、思うほど効率的運営は、不向きかと感じています。
最低4人くらいの採用計画が作れない会社の申請依頼は、お断りするつもりです。
次回に詳しく、報告することを約束します。
しいて、この助成金のいいところを挙げれば、人の採用という将来の事業計画を立てる上で、非常に重要な意思決定に参画でき、かつ、その延長線上で経営者と将来のビジョンを語り合え、共有できることでしょう。
助成金の受給のある、なしでなく、こういったポジショニングが取れることが大事なわけです。
高い報酬が期待できる仕事は、もちろん狙います。
しかし、はたして、最後にゲタを履いた時ハッピーエンドで終われるか?
着地点での顧客の気持ちと当方のリスクのバランスを計り、適正なリターンをはじき出す必要があります。
9月までの期間限定物ですから、付かず、離れずでしょうか。
この例を挙げるまでもなく、助成金活用のコンサルティングは、いくらお金が入るから良かったですね、というシンプルな回答ではなく、採用や教育、働く環境の整備等、今後の事業計画に関連することに対して、アドバイスできることの意味を考えてください。
 経営者には、なかなか相談できる相手がいません。
我々がその位置に就くには、事業計画に関わるようなコンサルティングをしなければなりません。
助成金活用の提案は、まさに、この部分を担うわけです。
社員の得喪や給与計算だけからは、このポジションを取ることは難しい。
しかし、助成金活用でアプローチして、給与計算や顧問契約の受託は、その逆はど困難ではないでしょう。いろいろな方法の中から、自分にあったコンサルティング手法を身につけ、「ため」にする勉強でなく、極論すれば、契約を取ってからでも、勉強は遅くない。
今やることは、もし、十分なお客様がいないのなら、お客様の前に立つことです。
「あすなろ」の勉強でなく、「きゃくまえ」の勉強です。
では、お互いに頑張りましょう。
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