過半数代表者の選出

どのように意見聴取のための過半数代表者を選出すればよいですか?
当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては公正な方法で過半数代表者を選出します。
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複数の労働組合がある場合

単独では過半数に達しないが合算すれば過半数を超える二つ以上の労働組合が共同で意見を表明したとすれば、これを「過半数を超える労働組合」と考えてよいのでしょうか。

この場合は、「過半数を超える労働組合」にはあたらないものの、多数決で上記二つの労働組合の代表者が意見を述べる機会を作ればよいとされています。

労働組合が意見書提出を拒否したとき

労働組合が「就業規則の内容に賛成できないため意見書は提出できない」というスタンスで対抗してきた場合は、「就業規則案を労働組合側で検討するのに十分な期間をおいて意見書の提出を求めたが、提出しなかった」ことを証明する資料を添付して届け出れば、労働基準監督署は受け付けてくれます。

労働組合又は労働者の過半数を代表する者の意見書に労働者代表の署名押印がないことを理由として受理しない向もあるようであるが、労働組合が故意に意見を表明しない場合又は意見書に署名押印しない場合でも、意見を聴いたことが客観的に証明できる限り、これを受理するよう取り扱われたい。

過半数代表者の「過半数」とは?

過半数組合および過半数代表者の選出に当たっての「過半数」とは、当該事業場の在籍者(管理職・パートタイマー・アルバイト・嘱託・契約社員・出向社員等を含める)の過半数を指します。

就業規則の改定のために労働者代表を選ぶ場合は、その就業規則が出向者に対して適用される条項もあるので、当然、出向している者にも労働者代表を選ぶ権利を与えなければなりません。

また、取締役等の役員は経営者と見なされますが、「工場長」などの肩書きがある場合でも、就業規則の管理下に置かれる場合は労働者の範囲に含められることになります。

この手続き義務に違反した場合は、30万円以下の罰金に処せられることがあります。

管理監督者は過半数代表者になれない

意見聴取の相手方となる労働者代表とは、どのような労働者をいうのでしょうか。

労働基準法施行規則第6条の2では、労働者代表の適格性の判断基準として、労働基準法第41条2号で定められている、監督若しくは管理の地位にある者(以下単に「管理監督者」といいます。)であってはならないとしています。

労働基準法第41条2号が規定する管理監督者の定義についてもさまざまな議論があります。
ただ、労働者であっても経営者サイドに立つ管理監督者では、広く一般の労働者の意見を代表するのにはふさわしくない、ということから、労働者代表としての適格性に疑義が生じる可能性があります。

特に、社内的には管理監督者として、残業代の支給対象から除外している労働者の場合には、残業代に関しては管理監督者として取り扱う一方で、意見聴取の対象者である労働者代表に関しては管理監督者とは取り扱わないという矛盾が生じることになりますので、労働者代表の適格性はないといえるでしょう。

公正な選出方法とは?

就業規則の意見聴取や労使協定等をするためといったように、労働者代表を選出する目的を明らかにして、投票や挙手等の民主的な方法によって、公正に選出することが必要です。

選出手続きの方法である「投票や挙手等」における「等」には、労働者の話し合い、持ち回り決議、その他労働者の過半数が当該者の選任を支持していることが明確になる民主的な手続きが該当するとされています。(平成11年3月31日基発第169号)

したがって、メールや社内ネットワークを利用した投票方式も、メールの場合には、労働者代表を選出する目的、および立候補者名を明らかにし、信任であればその旨を明らかにして返信するように記載したメールを投票権を有する労働者に送信し、社内ネットワークの場合にも、同様の内容を社内ネットワークに掲示してアナウンスすることで問題はないものと考えます。

重要なのは、「労働者の過半数が当該者の選任を支持していることが明確になる民主的な手続き」ですから、労働者代表となる者を会社が指名したり、あるいは会社が指名した候補者に対する投票や、役職者や親睦会の代表者等一定の地位にある者の自動就任、一部の労働者による互選等による選出方法ですと、選出過程の全部、または一部に会社の意向が入り込んでいるために民主的とはいえず、また労働者の過半数が当該者の選任を支持しているかが明確ではないので、選出方法としては適切ではないと考えられています。

過半数代表者への不利益取り扱いの禁止

使用者は、労働者の過半数代表者であること、もしくは過半数代表になろうとしたことを理由として不利益な取り扱いをしないようにしなければなりません。(労働基準法施行規則第6条の2第3項)

同意約款が定められている場合

労働協約で「就業規則の作成変更については、組合との合意の上行う」という同意約款が定められているような場合は、同意を得ないで行われた作成変更は、一般には無効と考えられています。

就業規則第82条に見るように、就業規則それ自体の中にその改廃の手続きにつき制限を設け、会社の独断にては改廃をなさず分会の同意を得て行うと規定した場合、・・・就業規則中に被申請人会社は申請人分会の同意を得て就業規則を改廃すると規定した以上、右は被申請人会社に対しても当然拘束力を有し会社は分会の同意を得ずして就業規則の変更をなすことを得ず、もし敢えてこれをなすもその効力を生ぜざるものと為さざるを得ない。

雇用形態別に就業規則を作成した場合の選出

就業規則を正社員対象のものと、パートタイマーなどの非正規社員を対象としたものと別個に作成する場合があります。

しかし、会社としての「就業規則」とは、これらを総体として一つとしたものですから、意見聴取については、それぞれについて全労働者の過半数代表者が法定の意見聴取者となります。

パート・有期雇用労働者の就業規則

パートタイマー、有期雇用労働者の就業規則を作成した場合、労働基準法上の法定要件ではないものの、それぞれの代表者の意見を聴くよう勤めるものとされています。

事業主は、短時間労働者に係る事項について就業規則を作成し、又は変更しようとするときは、当該事業所において雇用する短時間労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聴くように努めるものとする。
② 前項の規定は、事業主が有期雇用労働者に係る事項について就業規則を作成し、又は変更しようとする場合について準用する。この場合において、「短時間労働者」とあるのは、「有期雇用労働者」と読み替えるものとする。

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竹内社労士事務所の代表である竹内が、最新の法改正や労働事情を踏まえ、2023年度版に改訂した最強の就業規則をベースに、法的根拠やトラブル事例、判例などを豊富に交え、会社を守るポイントをわかりやすく解説します。

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