契約社員が賃金格差解消を訴えてきた?

正社員と同様の仕事をしているにもかかわらず、賃金格差があるとして契約社員が訴えてくるといった事態に、会社はどう対処しておくべきなのでしょうか?
有期雇用労働者の職務内容を見直し、正社員との職務内容の区別を整理しておきましょう。
労務問題一発解決バイブル無料購読

無料!経営者必見!
「労務問題、一発解決!」奇跡のバイブル
いますぐ会社を守る準備をしよう!

このコンテンツの目次
  • 裁判の争点
  • 労働契約法の原則
  • 事例詳細

裁判の争点

  • 東京メトロコマース事件(東京地裁 平成29.3.23)では、賞与の支給額、家族手当、住宅手当、退職金の支給と勤続表彰の有無、法定時間外の割増率の相違等が問題となったが、契約社員からの差額賃金や慰謝料の請求を退けられた

労働契約法の原則

  • 労働契約法第20条によると、業務内容と責任の程度、職務内容と配置の変更の範囲、その他の事情を考慮して、有期雇用であることを理由に、不合理に労働条件を相違させてはならない

社長を守る会の会員様を全力でサポートします!
社長を守る会
人事労務のお悩みは、今すぐ電話相談で即解決!
当サイトのすべての動画・マニュアルもオンラインで見放題!

事例詳細

服飾の卸・小売業を営む北大塚商会では、販売価格がなかなか上昇しないため、正社員は企画、営業、管理的な業務を中心に配置転換する一方、正社員が退職した場合の補充や、接客や配送などの業務には有期雇用契約の社員をあてがい、何とか事業を運営してきました。

経費の削減はもちろんのこと、契約社員の条件として給与を低くしたほか、賞与や退職金を支給しないなどを条件として、コスト上昇を防いできました。

そんな北大塚商会で、ある日、契約社員のAさんが総務部長に対し、こんなことを言い出しました。

A社員

私は、正社員と同じような仕事をしているのに、なぜ正社員より残業をしたときの割増率が低いのでしょうか?

総務部長

Aさん、それは法律では時間外労働は25%の割増ではあるのだが、過去の人手不足のときに長い時間働いてもらうことへのインセンティブとして30%にしたんだよ。今では、商品管理などの工夫で労働時間は何とかなるので、契約社員については25%の法律通りにしてる。法律通りにしているから問題ないし、そういう契約で入社したんでしょ。

A社員

ですが、私のお店にいる正社員のBさんは、私と同じような仕事しかしていないですし、違いはありません。それなのに差があるのは差別じゃないですか。実は先日弁護士に相談したんです。労働契約法20条で有期雇用であることを理由に、労働条件を変えてはいけないってなっているそうじゃないですか?

総務部長

えぇ~、しかしそういう条件であることを知っていて入社したんでしょ。面接のときに説明されているはずでしょ。

A社員

確かに説明されていますが、労働契約法20条違反なら、その条件は無効です。足りない分を払ってください!

裁判での争点は?

定年再雇用後に賃金が引き下げられたことが労働契約法20条により無効であるとして、対象となった労働者が裁判で争った長澤運輸事件(現在労働者側が上告中)がありました。

その後、平成29年3月に、東京メトロコマース事件について地裁判決がでました。東京メトロコマース事件は、地下鉄の売店で働く有期雇用労働者4人が正社員との賃金格差は労働契約法第20条違反であるとして平成26年に訴訟を提起したものです。

賞与の支給額、家族手当、住宅手当、退職金の支給と勤続表彰の有無(正社員には支給または「あり」、契約社員には不支給または「なし」)、法定時間外の割増率(正社員は27%、2時間を超えた時間については35%、契約社員は25%)の相違等が問題となりました。結果的に、東京地裁では一部の請求を認め、会社側に4,109円(請求額は4,560万円)の支払いを命じたようですが、内容としては労働者側の請求がほぼ認められなかったとみてよいと思われます。

有期雇用の労働者の職務内容を見直そう

労働契約法第20条は、有期雇用であることを理由に不合理に労働条件を相違させることを禁止するものであり、①業務内容と責任の程度、②職務内容と配置の変更の範囲、③その他の事情を、個々の労働条件ごとに判断します。

具体的には、以下の3通りとなります。

  • ①と②が同一の無期雇用と有期雇用を比較する
  • ①と②のいずれもが異なる無期雇用と有期雇用を比較する
  • ①、または②のいずれかが異なる無期雇用と有期雇用を比較する

今回の事件では、①がほぼ顧みられなかったとの批判が原告側の法律事務所からなされているため、①、または②のいずれかが異なったのだろうと思われます。

厚生労働省によると、平成28年の時点で非正規雇用は被用者の37.5%を占めるにいたっており、平成25年時点ではサービス業、卸売・小売業・飲食店で大きく増加したとされています。

そのため、北大塚商会も含めて、アルバイト、パート、契約社員など名称にかかわらず有期雇用の労働者を雇用している企業は、職務内容を見直して整理し、さらに雇用形態別に就業規則を整備する必要があるでしょう。

有期雇用の労働者について、職務内容の見直しと同時に、就業規則も別に作成しておかないと、不要なトラブルに発展する可能性があります。
就業規則への具体的な記載方法は、以下のセミナーで詳細を解説しています。
セミナー参加者特典として、無料個別相談で疑問点をすべて解消することもできます。


「会社を守る就業規則」徹底解説セミナー

「会社を守る就業規則」徹底解説セミナー

竹内社労士事務所の代表である竹内が、最新の法改正や労働事情を踏まえ、2024年度版に改訂した最強の就業規則をベースに、法的根拠やトラブル事例、判例などを豊富に交え、会社を守るポイントをわかりやすく解説します。

「会社を守る就業規則」徹底解説セミナー開催予定

2024/10/25(金)受付開始 9:00 セミナー開始 9:30~16:30 空有
2024/11/22(金)受付開始 9:00 セミナー開始 9:30~16:30 空有
2024/12/20(金)受付開始 9:00 セミナー開始 9:30~16:30 空有


就業規則セミナー
就業規則マニュアル(正社員用)
就業規則マニュアル(非正規社員用)

オンライン動画「会社を守る就業規則」徹底解説セミナーのご視聴方法

社長を守る会の方は、「アンカー・ネット」会員マイページにログイン
するだけで、すべてのコンテンツを、購入することなくご利用になれます。


社長を守る会以外で会員マイページをお持ちの方は、
下のボタンからログインして、オンライン動画のご購入とご視聴が可能です。

会員ログインして購入

当サイトで初めてご購入される方会員マイページをお持ちでない方は、
最初に、下のボタンから無料会員登録を行ってください。

会員登録後、上のボタンまたは会員マイページ内からご購入いただけます。

新規会員登録して購入


労務問題一発解決バイブル無料購読

無料!経営者必見!
「労務問題、一発解決!」奇跡のバイブル
いますぐ会社を守る準備をしよう!

改正労働基準法レポート
労務問題解決のカテゴリー
面接・採用 配転・異動 退職・解雇
服務規律 ハラスメント 労働時間
年次有給休暇 賃金・退職金 健康問題
懲戒処分 損害賠償 労働条件変更
労働組合 福利厚生 その他