退職金はいつ支払えばよいのか?

退職金はいつ支払えばよいのか?

労働協約、就業規則などによって、あらかじめ支給条件の明確な退職金は労基法上の賃金であり、労基法23条の適用があります。

つまり、退職金は「使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があった場合においては、7日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない」の適用があることになります。

そうすると、退職金も7日以内に支給しないと法違反になると思われるかもしれません。

しかし、ここでいう権利者の請求とは、具体的に履行期の到来した賃金債務についての請求と、一般的に解されています。

目 次

  • 退職金の適当な支払い時期とは?
  • 支払い時期を退職時の交渉材料に!

退職金については、明確に就業規則に定め、社員に周知することで、不要なトラブルを避けることができます。

就業規則への具体的な記載方法は、以下のセミナーで詳細を解説しています。セミナー参加者特典として、無料個別相談で疑問点をすべて解消することもできます。


「会社を守る就業規則」徹底解説セミナー

今後の開催予定

2018/04/13(金) 満席 受付終了しました
2018/05/11(金) 受付開始 9:30 セミナー開始 10:00~17:00
2018/06/08(金) 受付開始 9:30 セミナー開始 10:00~17:00

「会社を守る就業規則」徹底解説セミナーの詳細

退職金の適当な支払い時期とは?

退職金

ところで、就業規則の退職金規程によくある「退職金は退職後〇ヶ月以内に支払う」という規定の場合、履行期が到来した賃金債権とはいえず、従って、その退職金規程で定める期限以内に支給すればよいということになり、7日以内に支給しなくても法に触れる措置とはなりません。

行政解釈でも「退職手当は通常の賃金の場合と異なり、予め就業規則等で定められた支払い時期に支払えば足りるものである」(昭和26・12・27 基収第5483号、昭和63・3・14 基発第150号)となっているとおりです。

さて、そうであれば、退職後どのくらいの期間を設けても民法90条で規定する、「公の秩序、善良の風俗」に違反して無効にならないかということですが、判例では、退職後6ヶ月以内に支払うという就業規則の規定に関して、「労基法23条1項は、使用者の負担する賃金債務で既に履行期の到来したものについて、権利者から請求があったときに、7日以内に支払いをしなければならないことを規定したものであり、上記の就業規則は退職金の支払期日自体について定めたものであるから、労基法23条1項には違反しない」として、6ヶ月という期間を認めています。(久我山病院事件 東京地判昭35.6.1)

少し古い判例ですので、このまま素直に適用してよいか疑問もありますが、その後、否定されたという例も無いようですので参考になると思います。

支払い時期を退職時の交渉材料に!

仮に退職金の支給時期を就業規則等で6ヶ月以内とした場合、会社は退職に際していろいろワガママを言ってくる従業員に、対抗できる武器を持つことができるかもしれません。

退職金

例えば、よくご相談があるのですが、退職に際して引き継ぎもせずに、残っている有給休暇を全部取得して辞めると一方的に宣言してくる従業員に対してです。

現状では、このような場合、会社は時季変更権を行使することもできず、会社にとってどうしても必要な引き継ぎをしてもらうこともできず、お手上げ状態になり、「どうにかなりませんか?」と相談されても、社長のお気持ちはよくわかるのですが、こちらもどう対応してよいのか回答に窮するのです。

しかし、このように退職に際しての従業員の行状がよくない場合、退職金の制度があり、かつ、その支給時期が6ヶ月以内とかに規定されていれば、その支給時期を交渉することができます。

辞めていく従業員に有給休暇の取得自体は制限することはできなくても、その退職時期を労使双方の相談で合意した日に設定したり、それまでの間で必要な引き継ぎをきちんと行ってもらうよう、交渉ができるのではないでしょうか。

退職金の支給時期を盾に、このような交渉をすることは、労務管理は労使の信頼関係をベースに構築することがベストと考える弊事務所においては、あまりお勧めする手法とは言い難いのですが、従業員が退職に際して法律を盾に不誠実な対応をしてくる場合、会社としても対抗策として、武器は持っていた方がよいでしょう。


賃金・退職金のトラブル

サブコンテンツ

このページの先頭へ