昼食手当を支払うと残業代が上がるか?

昼食手当を支払うと残業代が上がるか?

昼食手当を支払う場合、昼食手当は割増賃金の計算に含めなければならないのでしょうか?

→ 昼食手当は、割増賃金の計算から除外できる賃金とされていないため、割増賃金の計算から除くことはできません。

目 次

  • 割増賃金の計算から除外できる賃金
  • 賃金に該当しないもの

割増賃金の計算から除外できる賃金

労働の対償として支払われる賃金は割増賃金の計算から除外することはできません。

労働と直接的な関係が薄く、個人的事情に基づいて支給されるようなものは割増賃金の計算から除外することができます。

具体的には、以下の7項目が限定的に除外することができます。

  1. 家族手当
  2. 通勤手当
  3. 別居手当
  4. 子女教育手当
  5. 住宅手当
  6. 臨時に支払われた賃金
  7. 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金

賃金に該当しないもの

任意的、恩恵的なもの、福利厚生的なもの、実費弁償的なものは賃金ではないとされているため、そもそも割増賃金の計算の対象ではありません。

任意的、恩恵的なもの
結婚祝金、死亡弔慰金、出産見舞金、災害見舞金などの慶弔見舞金、年功慰労金、退職金、記念品代など

福利厚生的なもの
財産形成貯蓄を奨励するため事業主が支払う奨励金、生命保険料補助金、住宅貸与、食事供与など

実費弁償的なもの
出張旅費、宿泊費、移転料、本人の車や携帯電話を業務使用した場合に支給したもの、解雇予告手当など


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事例詳細

服服飾の卸・小売業を営む北大塚商会の北大塚社長は、ある日、総務部長とこんな会話を繰り広げました。

「総務部長、最近テレビで見たんだが、最近のIT企業は社員食堂があって、無料で食事ができるところがあるみたいじゃないか。その会社は求人も好調らしい。」

「そのテレビなら私も見ました。おしゃれな食堂で、食事も選べるようですね。」

「そうなんだよ、うちでもああいうことはできないかねー。でも、食堂を新たに作るのは厳しいなー。」

そう、北大塚商会では最近求人をしても、なかなか応募がなくて困っていたのです。

そこで社長は、福利厚生制度を充実させることで、社員のモチベーションを向上させるのと同時に、少しでも応募者を増やせないか考えていました。

社長と総務部長は、相談した結果、社内に食堂を新たに作るのは、コストがかかりすぎるので、昼食代の一部を昼食手当という名称で補助することにしました。

そして、就業規則にも記載し、制度を開始しました。

その後、社長と総務部長は、社員が喜んでいると聞き、満足していました。

ところが、制度開始から半年ほど経過したある日、入社後1年ぐらいのB社員が、総務部長に、こう言ってきました。

「昼食手当ですが、どうも自分の残業代の計算に反映されていないようです。半年ぐらい前に制度を開始していますから、さかのぼって差額を払ってください。」

「な、なにを言っているんだ君は。昼食手当は君たちのためを思って付けたんだ。いわば福利厚生みたいなものだろう。残業代に反映するわけはないじゃないか。」

「いえ、労働基準法で、除外できる手当は、家族手当、住宅手当、通勤手当など一部に限られていると聞いています。昼食手当はその中に入っていませんから除外できません。さぁ払ってください!」

「そんなバカなことがあるかーーーっ!!そんなのとんでもない話だ!!」


昼食手当は割増賃金の計算から除かれない

さて、昼食手当はどう扱われるのでしょうか。

結論から言えば、B社員の指摘の通り、労基法施行規則第21条で、割増賃金の計算から除外できる賃金とされておらず、通達(昭和26.12.27 基収6126号)上も、昼食補助として1日50円を支給した例について「賃金とする」としています。

元々、労基法第11条で、賃金、給料、手当等の名称を問わず労働の対償として支払うものをすべて賃金とするとされています。

さらに同法第37条で、時間外労働あるいは休日労働については、通常の労働時間または労働日の賃金の計算額に政令で定める割増率を乗じた割増賃金を、支払うこととなっています。

そのため、労基法第11条で定める賃金に該当するものは、家族手当、通勤手当、住宅手当等の一部を除き、原則として割増賃金の計算対象となります。

無論、同法第11条で、賃金でないとされているものもあります。

例えば、任意的、恩恵的な給付としての慶弔見舞金や、福利厚生施設と解釈できる住宅の貸与、浴場施設、運動施設、労働者の必然的支出を補うもの(生命保険会社と労働者が任意に生命保険契約を締結した場合の保険料補助や、財産形成貯蓄を奨励するための奨励金など)は、賃金ではないとされています。

ところで、社長と総務部長が見たテレビで取り上げられていたIT企業は、金銭ではなく直接食事を給付していました。

この場合は、行政通達(昭和30.10.10 基発644号)で、住込みでかつ2食以上の供与を受ける場合を除いて、

  1. 食事の供与のために賃金の減額を伴わないこと、
  2. 食事の供与が就業規則、労働協約等に定められ、明確な労働条件の内容となっていないこと、
  3. 食事の供与による客観的評価額が、社会通念上、僅少であること

のいずれも満たす場合は、賃金としてではなく、福利厚生として扱うとされているほか、もし代金を徴収している場合は、原則として賃金とはせず、ただし徴収額が実際の費用の3分の1を下回る場合は、差額を賃金とみなすとする通達もあります。(昭和22.12.9 基発第452号)

会社が従業員のために福利厚生としてよかれと思って導入した手当でも、場合によっては未払いの割増賃金が発生する原因となることもあります。

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