未払い残業代請求での証明責任は?

未払いの残業代請求は、誰に労働時間を証明する責任があるのでしょうか?
残業代の未払い請求をする者(労働者)が、どのくらい残業時間があったのかを証明する責任がありますが、労働者側に労働時間を証明する証拠がある場合は、会社側がその時間がそのまま労働時間ではないことなどを客観的な証拠を基に反証する必要が出てきます。
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このコンテンツの目次
  • 法律的な意味での「証明」の3段階
  • 労働時間管理の必要性
  • 秘密録音の証拠能力
  • 事例詳細

法律的な意味での「証明」の3段階

  • 最高度の事実蓋然性(合理的な疑いを入れない程度):90%から99%の証明が必要
  • 高度の事実蓋然性(証拠の優越による証明):70%から90%の証明が必要
  • 軽度の事実蓋然性(疎明):55%から70%の証明が必要

労働時間管理の必要性

  • 労働者が労働時間を証明する証拠を持っている場合で、会社は労働時間に該当しないことを主張する場合は、反証するための客観的な証拠が必要
  • ユニオンの指導の下、労働時間に関する資料を集めているケースがある

秘密録音の証拠能力

  • 民事訴訟の場合、証拠能力には原則として制限はない
  • 従業員がこっそり上司の発言を録音したようなも場合でも証拠能力は認められる

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事例詳細

法律的に、広い意味での「証明」には、次の3段階があるそうです。

  1. 最高度の事実蓋然性(合理的な疑いを入れない程度):90%から99%の証明が必要
  2. 高度の事実蓋然性(証拠の優越による証明):70%から90%の証明が必要
  3. 軽度の事実蓋然性(疎明):55%から70%の証明が必要

何%というのはあくまでも目安です。人間の行うことのうち本来は計測不可能なことについてもっともらしく「%」で表示するのがいかにも法律的な感じがします。

そして、上記1.が刑事事件で被告人を有罪とするために必要な証明の程度、2.は民事訴訟で事実認定がされるために必要な証明の程度で、3.は「疎明」と呼ばれ、仮差押え、仮処分などが認められるために必要な証明の程度となっています。

私どもの仕事の関係でいうと、未払いの残業代の請求に対し、従業員がタイムカードの写しを所有しているとか、パソコンの履歴の記録を持っているとか、入退室の時間がわかるICカードの記録を持っている場合などに、会社側が有効な反論の材料を持っていないと、3.から2.の程度の事実の蓋然性が、裁判所から認められてしまう可能性が高いと思われます。

もともと残業代の未払い請求をする者(労働者)が、どのくらい残業時間があったのか証明する責任があるのですが、上記のような証拠があると、今度は、会社側がその時間がそのまま労働時間ではないことなどを客観的な証拠を基に反証する必要が出てくるのです。会社は、こういったことを頭に入れて日頃の時間管理をしなければいけません。

最近は会社を辞めた後、未払い残業代を請求するために、このような資料を保存している者もいるそうです。

特に、会社を辞める際に外部のユニオンに加入し、ユニオンの指導の下、ユニオン加入を会社に告知する前に、労働時間に関する資料を集めているケースは注意が必要です。

そういう者は、わざわざ会社に反抗的な態度を取り、会社が注意指導をする状況をICレコーダーで秘密録音して、退職でもめた際にパワハラ発言の証拠とします。

民事の争いでは秘密録音は証拠になる

秘密録音

また、会社が反抗的な従業員に業を煮やして不用意に解雇などするとその状況も秘密録音されていることが多く、ユニオンとの団体交渉で未払い残業代の請求と従業員の地位の争いの2階建ての事件として、解決金を吊り上げる材料にされることも多いのです。残念ながら、世知辛い世の中になったものです。

ちなみに、秘密録音については、民事訴訟の場合、証拠能力には原則として制限はありません。

例外的に、話した人の人格をひどく傷つけるような手段で取得したものや、秘匿する必要性が特に高いものなどは証拠能力がないとされる可能性がありますが、上記のケースで、従業員がこっそり上司の発言を録音したとしても、そのような程度には至らず、証拠能力は認められるでしょう。

弁護士の先生に聞くと、パワハラの裁判などで無断録音を証拠として提出された場合、その証拠能力が争いになることは、まずないそうです。

また、上司が何者かに発言を誘導されたなどの事情がある場合は、証拠力・証明力が低いと評価される可能性がありますが、自発的に上司が、事例にあるように不用意に解雇発言をしているのであれば、証拠力・証明力が問題になることはないでしょう。

さらに、裁判などにならなくても、過激な発言が発覚し落選した女性代議士の例などを見れば、そのような秘密録音が一般に公開された場合、社会的な非難を受け大きな打撃とならざるを得ない業態の会社もたくさんあります。

現実の世の中の流れは会社にとって厳しいものがあることは事実ですが、弊事務所ではお客様にはそのような災いがないよう全力でサポートしていきます。

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