社員が兼業している場合の労働時間は?

社員が兼業している場合の労働時間は?

社員が複数の会社で勤務し1日8時間以上働いている場合、どの会社が割増賃金を支払わなければならないのでしょうか?

→ 労基法上、法定時間外に社員を使用した会社に、割増賃金を支払う義務が発生します。

目 次

  • 労基法上の労働時間
  • 割増賃金の支払義務の所在
  • 事例詳細

労基法上の労働時間

  • 労働基準法第38条1項によると、「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。」
  • 複数の会社で就労する労働者の場合、全ての会社で就労する時間を合わせ、1日8時間を超える部分については、労基法第37条で定める割増賃金の支払義務が生じる

割増賃金の支払義務の所在

  • 「法定時間外に使用した事業主は、法第37条に基づき、割増賃金を支払わなければなら」ず、通算して1日8時間を超える勤務をさせた会社に割増賃金の支払義務がある

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事例詳細

当社では、今後しばらくの間、受注量の増加が見込まれることから、工場の稼働時間を延長することにしました。それに伴って、6ヶ月間の期間限定で、夕方から3時間の勤務をしていただくパートタイマーを数名採用しました。

数ヶ月経過後、受注量も落ち着いてきましたので、当初の予定通り、契約期間満了により退職していただくべく、期間満了の1ヶ月前に各人と面談して、その旨を通知することにしました。

「Aさん。来月で雇用期間が満了になりますが、受注量も落ちついてきましたので、更新はせず、期間満了で退職となります。」

「あーそうでなんすか。とても働きやすい職場でしたので、もっと頑張りたかったのに残念です。」

「そう言っていただけるとありがたいです。また募集することもあるかも知れませんので、その際はまた声を掛けさせてもらうよ。」

「ありがとうございます。でも昼のパートがこれから忙しくなりそうなので、機会があれば・・・。」

「あー、そうでしたね。Aさんは昼間もパートで勤務しているんでしたね。」

「はい。昼間は10時から17時まで、○○産業さんの方で事務のパートをしています。」

「あー、そうですか。大変ですねー。でもそうすると、うちでの勤務時間をあわせると・・・。」

「はい。昼間は6時間勤務ですので、この会社の分と合わせると、合計9時間になります。」

「1日9時間か。働き者だねぇ、Aさんは。うちの若い衆も見習って欲しいものだ。」

「ところで、総務部長。私、当社で勤務している間、残業代を支払ってもらっていません。」

「えっ!?残業代を支払ってないって?そんなはずないですよ。3時間を超えて勤務してもらうこともありましたが、その分はちゃんと支払っているはずですよ。」

「はい。確かに3時間を超えた時間については、時給部分は支払っていただいています。」

「じゃあ、何も問題ないんじゃないのかね。一体、どこが問題だっていうんだね?」

「いいえ。私が言っているのは、割増部分が支払われていないということなんです。」

「割増部分って、うちでは長くても1日4~5時間の勤務だから、割増は必要ないでしょう?」

「でも私が昼間パートで勤務していることを知ってましたよね。昼間とあわせると合計9時間になりますから、1時間は時給だけでなく割増も必要じゃないでしょうか?」

「えぇーーーっ!?そんなはずないだろう!?なんでヨソの会社の労働時間まで、ウチが面倒見なきゃならないんだい?」

このように、労働者が複数の会社で働いているケースでは、労働時間を別々にとらえるのか、あるいは通算してとらえるのかという問題があります。

労働時間は通算される?

これについて、労基法第38条1項では、「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。」と定めています。

ここでいう「事業場を異にする場合」というのは、労働者が1日のうち、例えばA事業場で労働した後にB事業場で労働することをいいますが、事業主を異にする事業場において労働する場合も含まれる、と解されています。(昭23.5.14基発第769号)

つまりA社とB社で就労する労働者の場合は、両方の会社で就労する時間を合わせて、1日の法定労働時間は8時間とされることになります。したがって、8時間を超える部分については、労基法第37条で定める割増賃金の支払義務が生じることになります。

割増賃金の支払義務はどっちの会社?

そして、割増賃金の支払義務が発生する会社は、「法定時間外に使用した事業主は、法第37条に基づき、割増賃金を支払わなければならない(昭23.10.14基収2117号)」と示されており、通算して1日8時間を超える勤務をさせた会社となります。パートタイマーを採用する場合には、兼業しているかどうか、そして兼業先の労働時間数も十分に確認したいものです。

また、世の流れは兼業・副業推進ですが、自社の社員がどのくらい働いているのか把握する必要があり、また、割増賃金の問題が発生することも考えると、兼業・副業禁止と言わないまでも、事前許可制とし、就業規則にも明記しておくとよいと思います。

兼業や副業について正しく定めておかないと、不要なトラブルに発展する可能性があります。

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