始業前の体操や朝礼は労働時間にあたる?

所定の始業時刻より前に、準備体操や朝礼を行っている場合、もし社員が、その時間を労働時間であると主張したときは、どうなるのでしょうか?
始業時刻前の時間について、未払い賃金を請求しているケースは多くはありませんが、労働者が使用者から義務付けられ、またはこれを余儀なくされたときは、労働時間だと判断される可能性があります。
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このコンテンツの目次
  • 労基法上の労働時間とは
  • 始業前の準備時間の考え方
  • 事例詳細

労基法上の労働時間とは

  • 最高裁において、労基法でいう労働時間は、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」とされている

始業前の準備時間の考え方

  • 未払い賃金請求といえば、いわゆる「残業」に対してが多く、始業時刻前の時間について請求しているケースを多くはない
  • しかし、始業前の準備時間が、使用者から義務付けられ、または余儀なくされているときは、社会通念上必要と認められている時間は、労働時間と判断される可能性がある

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事例詳細

当社は、自動車部品・電気機器部品を中心とした金型の製造・加工業務を主とした会社です。従業員規模は約100名、本社は東京の郊外にあり、同じ敷地内に工場も併設しています。

製造業ですから、危険を伴う作業もあり、不注意等によって機械の操作を誤ったりすると大事故につながることもあります。

幸い当社では、十数年にわたり無事故を継続していますが、事故が発生する最大の原因は、「気の緩み」であると考えているため、始業時刻である午前9時には気を引き締めて作業が開始できるように、10分前から準備体操と朝礼を行っています。

ある日、2名の社員が、準備体操と朝礼に遅刻してきたため、総務課長は、業務終了後2人を応接に呼び出しました。

総務課長

君たちは今日、準備体操と朝礼のときに居なかったようですけど、いったいどうしたんですか?

A社員

すいません、総務課長。今日は、ついうっかり寝坊してしまいまして・・・。

B社員

総務課長殿、すんませーーーん。私も寝坊でーーーす。今後は気をつけまーーーす。

総務課長

・・・そうですか。それで今日は、君たち2人が少し酒臭かったという話もあるのですが、それについてはどうですか?

A社員

も、も、申し訳ございません!! ・・・実は、昨日遅くまで飲んでしまいまして・・・。

B社員

すんませーーーん。私も飲み過ぎでーーーす。今後は気をつけまーーーす。

総務課長

お酒を飲むのはいいですが、仕事に支障がでるような飲み方はしない方がいいですね。今日は事故が発生しませんでしたが、深酒をして遅刻してくるようなことがあれば、注意力が散漫になって、いつ事故が発生してもおかしくありません。気の緩みが事故につながるということを肝に銘じて、十分注意してください。

Aさんは入社3年目で、Bさんは入社1年目の社員です。日頃から2人は仲が良く、仕事帰りに、たまに飲みに行っているようですが、今日のようなことがあったのは初めてでした。

総務課長から注意を受けた2人は、反省してはおりましたが、翌日が休みということもあって、Aさんは仕事帰りにBさんを飲みに誘いました。

A社員

B君、今日は悪かったなー。俺が遅くまで付き合わせてしまったせいで怒られちゃって。今後は気を付けなきゃいけないな。

B社員

Aさんのせいじゃありませんから、気にしないでください。でも、うちの会社の始業時刻って、9時なんですよねー?

A社員

ああ、そうだよ。始業時刻は、ずーっと前から9時だけど、それがどうかしたのかい?

B社員

ですよね。今日は準備体操と朝礼には遅れましたけど、9時には間に合ったじゃないですか。なのに、注意されるってことは、本当の始業時刻は9時じゃないってことですかねー?

A社員

う~ん、なるほど・・・。今まで気にも掛けなかったから分からないけど、始業時刻は9時なんじゃないか?

B社員

準備体操の前には着替えもしなきゃいけないし、掃除当番があるときもあるし・・・、こういう時間って給料出てないですよね?

A社員

確かにそうだなぁー。あんまり気にしなかったけど、どうなんだろう。よく分かんないな。

B社員

明日は休みだから、俺、労働基準監督署に行って、今回のことを相談してこようかな・・・。

A社員

あんまり無茶しない方がいいんじゃないか? チクったと思われて、逆に目を付けられたりするかもしれないよ。

B社員

大丈夫ですよ。軽く聞いてくるだけですから。それに労基署の人も、そこらへんはうまくやってくれるでしょ。

B社員が労働基準監督署に相談に行った数日後、労働基準監督官が会社にやって来ました。

監督官

○○監督署のものですが、労務関係のご担当者様はいらっしゃいますか? お尋ねしたいことがありまして、伺いました。

総務課長

労務担当者は、総務課長の私ですが・・・。今日は一体どういった用件でしょうか。

監督官

私どもは、管轄内の事業所様に訪問して、臨検をさせていただいております。本日は、ご面倒ですが書類をご用意いただいて、いろいろと労務管理状況のご確認をさせていただきたいと思いまして。

飲み会

監督官はB社員の相談を受けて、会社に臨検にやってきたようです。そして、この臨検の結果、監督官からは始業時刻前の準備体操、朝礼の時間は「労働時間」であることに加え、着替え時間についても「労働時間」であり、「当該時間に対し、賃金を支払っていないこと」という「是正勧告書」が交付されてしまいました。

さて、この事例のような製造業以外でも、所定の始業時刻より前に、朝礼や掃除を行っている会社は比較的多いと思いますが、こうした時間は、労働時間に該当するのでしょうか?

最高裁は、労基法でいう労働時間について、以下のように判示しています。

労基法第32条の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではないと解するのが相当である。

そして、労働者が、就業を命じられた業務の準備行為等を事業所内において行うことを使用者から義務付けられ、またはこれを余儀なくされたときは、当該行為を所定労働時間外において行うものとされている場合であっても、当該行為は、特段の事情のない限り、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、当該行為に要した時間は、それが社会通念上必要と認められるものである限り、労基法上の労働時間に該当すると解される。

未払い賃金請求といえば、そのほとんどが、いわゆる「残業」に対してであって、始業時刻前の時間について請求しているケースは、それほど多くはありません。

しかし、いざ請求がなされた場合には、労働契約や就業規則、労働協約等に定められた就業時間でみるのではなく、準備時間、更衣時間、清掃時間等が、使用者から義務付けられ、または余儀なくされているかどうかを客観的にみて、当該行為に要する時間(社会通念上必要と認められる時間に限る)が、労働時間だと判断される可能性もありますので、注意が必要といえます。

始業・終業時刻、時間外労働等については、就業規則に明確に定めておき、社員に周知しておかないと、トラブルに発展する可能性があります。
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