パートタイマーの手当について

パートタイマーの手当について

有期雇用のパートタイマーに、通勤手当や住宅手当を支払う必要はありますか?

→ 無期雇用の社員と有期雇用のパート等の職務内容等を比較の上、手当ごとに不合理であるかどうかを判断する必要があります。

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事例詳細

北大塚商事は、服飾品の卸・小売業を営んでおり、北大塚の本社以外にも、東北、関西、九州地域に数ヶ所の営業所があります。

期間の定めのない雇用契約の正社員の他、有期雇用のパートタイマーを雇用していました。

ある日、北大塚商事のA総務部長のところへパートタイマーのBさんがやってきて、こんな会話をしました。

「A部長、正社員には通勤手当と住宅手当が出ていると聞いたのですが、私には支給してもらえないのでしょうか?」

「Bさんとはパートさんとして契約していて、パートタイマー就業規則が適用されますから通勤手当と住宅手当の支給はありません」

「へーーーそうなんですか。でも、正社員にはキッチリ支給されているんですよねーーー?」

「そうですよ、きちんと支給していますよ。就業規則にも細かく手当について記載がありますからね。」

「そうですかーーー、だけど、正社員のCさんとやっている仕事は同じなんですがねぇーーー。」

Bさんは、この日はそのまま帰宅しましたので、A部長も特に気に留めませんでした。数日して、またBさんがやってきました。

「A部長、住宅手当と通勤手当の差は、私が有期雇用のパートタイマーだからですよね?」

「ええ、そうですよ。先日も、きちんと説明した通りなんですよ。何か問題でもありますか?」

「そうですか、それでは、労働契約法第20条に違反しているので、通勤手当と住宅手当を私にも支給してください。私が雇用されたのは、えーと、1年半ぐらい前ですから、そこからお願いします!」

「は?採用面接のときにそういう条件であることは説明されていますよね、支給されないことに納得されて働いていたわけですから、支給できませんよ」

「いえ、有期雇用だから手当が支給されないってさっき部長もおっしゃいましたし、録音もしました。明らかに法違反ですから払わないなら訴えます!ちなみに交通費は、電車で隣の駅から、片道160円で・・・」

「なんだってーーー!き・君は勝手に録音までしていたのかーーーっ!!」

こうして、2人は喧嘩になってしまいました。さて、北大塚商事はどうなってしまうのでしょうか?

裁判例からの考察

2018年6月1日最高裁で判示されたハマキョウレックス事件は、大きく報道されたのでご覧になった方もいらっしゃると思います。

これは、配送業務に従事する有期雇用のドライバーが、正社員との待遇差が労働契約法第20条(以下、「労契法第20条」といいます)に違反していると主張し、正社員には支給されていた無事故、業務、作業、給食、皆勤、住宅手当の支払いを求めた他、通勤手当についても差額請求等をした事案です。

ハマキョウレックスでは、正社員については全国を対象とした異動(出向を含む)があり、等級役職制度等の制度が適用されている反面、有期雇用には異動がなく登用も予定されていないことを理由に、通勤手当以外の請求を認めませんでした。

しかし、高裁では、労契法第20条に違反しているかどうかは、個々の労働条件について判断するべきであるとして、無事故、業務、作業、給食手当についても労契法第20条違反を認め差額の支払いを会社側に命じました。

その後の最高裁では、皆勤手当と住宅手当が焦点になりました。

結果、皆勤手当については、正社員でも契約社員でも職務内容に変わりがないところ、出勤を奨励するという皆勤手当の趣旨からすると契約社員に支給されないのは不合理であり、この点については異動の範囲や人材登用の相違に左右されるものではなく、本件では皆勤したことを考慮して昇給した事情もないから、労契法第20条に違反するとしました。

しかし住宅手当については、正社員については転居の可能性があるため、正社員にのみ支給するのは不合理ではないと判示しました。

一部高裁に差し戻しとなっている部分はありますが、今後、無期雇用の社員と有期雇用のパート等の職務内容等を比較の上、手当ごとに不合理であるかどうかを判断するという枠組みは維持されるものと考えられます。

そうすると、北大塚商事は少なくとも通勤手当については支払いの必要があるといえそうです。

会社の制度を変更した場合には、実態に合わせて就業規則を変更し、届け出、周知する必要があります。

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