パートタイマーにも休業手当を支払わなければならない?

パートタイマーへの休業手当の支払い

新型コロナウイルスの流行により、パートタイマーを休ませた場合にも休業手当を支払わなければならないのですか?

→ 雇用形態にかかわらず、配置転換等の可能性があるにもかかわらず休業させた場合には、休業手当の支払いが必要となり得ます。

目 次

  • 労基法第26条の休業手当とは
  • 事例詳細

労基法第26条の休業手当とは

  • 労基法第26条によると、使用者の責に帰すべき事由によって休業させる場合、休業日1日あたり平均賃金の6割を、休業の対象となる従業員に支払わなければならない。
  • ここでいう「休業」には、例えば、工場において、親会社からの資材の供給が止まってしまったことによる休業も含まれる。

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事例詳細

ある日、北大塚商事の社長と管理部長が困った顔で話をしていました。飲食事業部について相談のようです。

「新型コロナウイルスの影響で、随分とお客さんが減ってしまっているなあ。」

「そうなんです、3月以降、売上が激減していて、時間帯によってはお客さんがまったくいないときもあるようです。」

「そうか、緊急事態宣言も出ているし、このままだと会社全体にも影響してしまう。休業も考えないといけないか。」

「そうですね。大変残念ですが、こういった事態なので、やむを得ないと思います。」

こんな会話が繰り広げられた次の日、管理部長は社員とパートさんを集めて休業の話を切り出しました。

「残念ですがこんな状況なので休業することにしました。当面自宅待機をお願いします。」

すると、パートタイマーのCさんが、こう言いました。

「今の話ですと、社員さんは他の事業部の仕事がある人はそちらで働いて、そうでない人もある程度給与がでるみたいですけど、パートの私たちはどうなるんでしょうか?」

「そこなんだが、大変申し訳ないがパートの皆さんにまで補償を出し切れないんだ・・・1ヶ月ほどで再開できるのだろうから、しばらく休んでくれないか。」

「1ヶ月で再開って、本当かどうかわからないし、生活もあるので困ります! 他の事業部のスーパーは営業しているし、パートが足りないって言ってたじゃないですか。そっちで仕事をさせてください!」

「スーパーは営業しているが、あなた方とは、そういう雇用契約にはなっていないでしょう!」

休業手当とはいつ支払うもの?

さて、労働基準法第26条では、使用者に対し、使用者の責に帰すべき事由によって休業させる場合、休業日1日あたり平均賃金の6割を、休業の対象となる従業員に支払うことを要求しています。

例えば、工場において、親会社からの資材の供給が止まってしまったことによる休業等も、支払い対象となる(昭23.6.11基収1998号)等、幅広いのですが、一方で、例えば昨年の台風19号の場合、台風によって工場が損壊し全く操業できない場合は、休業手当の支払いは不要とされています。

つまるところ、ケースごとに判断することになるのですが、原則としては、休業手当の支払いを免れるには、以下の2つを満たすことが必要とされています。

  1. その原因が事業の外部より発生した事故であること
  2. 事業主が通常の経営者としての最大の注意を尽くしてもなお避けることができない事故であること

北大塚商事は休業手当を支払う必要がある?

それでは北大塚商事の場合はどうなるのでしょうか?

まず、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言が出されたことが事情として挙げられていますが、厚生労働省の「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)4月11日版」問7では、“1.に該当するものとしては、例えば、今回の(略)緊急事態宣言や要請等のように、事業の外部において発生した、事業運営を困難にする要因が挙げられる”となっていますので、1.は該当しそうです。

しかし2.は、在宅勤務等の方法を十分検討したか、他の業務に従事させる余地があるにもかかわらず休業させていないか、という点が問題になるため、北大塚商事ではスーパーが問題になります。

そしてCさんの主張の通り、スーパーの仕事に従事させることが可能であり、雇用契約上職務が限定されていないならばCさんを配置転換するか、休業手当を払う必要があると考えられます。

ただし、これに対し部長は「そういう雇用契約にはなっていないでしょう!」と言っているので、職務が限定されている可能性もあります。その場合、使用者から一方的に職務を変更することができないため、Cさんが同意をしなければスーパーに配置転換はできません。

しかし、Cさんは配置転換を要求していますので限定が解除される可能性が高いことを考えれば、この場合もやはり休業手当の支払いが必要となると考えられます。このように緊急事態宣言がでても、直ちに休業手当の支払いが不要とはならないので、注意が必要です。

休業手当を含む賃金について正しく定めておかないと、不要なトラブルに発展する可能性があります。

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