秘密保持義務の明示

なぜ就業規則に秘密保持義務を明示しなければならないのですか?
就業規則等に秘密保持義務を改めて明示して秘密保持誓約書を交わし、従業員の認識を確かなものとするためです。
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競業避止義務と秘密保持義務

競業避止義務の本旨は、競業他社に就職することを禁じることではありません。
会社の秘密情報が漏洩することによって、会社が損害を被ることを防止することにあります。

損害を防止するためには、その前提として、一体どのような秘密を漏らしてはならないのかということを明確にしておかないと、秘密保持義務あるいは競業避止義務の有効性に疑問が生じてしまいます。

「会社に存在する情報は、すべて秘密情報だ!」という気持ちも、分からなくはありません。
しかし、秘密保持義務や競業避止義務の観点からは、漏洩されては困る秘密情報をなるべく具体的に明示しておくことが必要です。

会社の秘密情報を具体化する

会社の秘密情報には、企業秘密と営業秘密があります。
不正競争防止法で保護されるのは営業秘密だけですが、企業の健全な存続・発展のためには、一定の企業秘密も秘密情報として流出を防止することが重要です。

もちろん労働者には、労働契約上の付随義務・誠実義務の内容の一つとして、当然に秘密保持義務があると考えられます。
ただ、そうはいっても、会社にとっての秘密情報について就業規則に具体的に記載していなければ、実際にどの範囲が義務の対象なのかが不明確なままです。
また、法的保護に値するかどうかは、事案ごとに個別に判断されることになります。

就業規則の条文の具体例は?

したがって、会社としてはある程度具体的に秘密保持の対象となる秘密情報に関し、就業規則に規定したり、個別の誓約書を取得するなどして、秘密保持義務を契約内容としておくことが必要です。

具体的には、以下のような内容が挙げられます。

  1. 製造技術・設計に関する事項
  2. 企画・開発に関する事項
  3. 製品販売・顧客情報に関する事項
  4. 財務・経営に関する事項
  5. 人事・労務管理に関する事項
  6. 他者との業務提携に関する事項
  7. 子会社・関連会社に関する事項
  8. その他会社が特に秘密保持の対象として指定した事項、および客観的に秘密情報と考えられる情報

これらについては会社の許可がない限り、退職後も含め、口頭、あるいは文書等の媒体の種類を問わず、第三者に漏洩、または開示しないことを規定します。

秘密保持誓約書を交わす

このように就業規則に秘密情報を具体的に規定した上で、たとえば、職種によって特定のプロジェクトに参加する際や、あるいは役職に就任した際等の節目に、さらに詳細な秘密情報を記載した秘密保持誓約書を交わしておくと、秘密保持義務の有効性を高めることになるでしょう。

ちなみに、取締役や支配人は、商法上、会社に対する忠実義務、競業避止義務を負っており、秘密保持義務を負うことは自明です。
役員なら従業員以上に会社の営業秘密を知り得る立場であり、営業秘密が漏洩した場合の損害は、より甚大なものになります。

よって従業員の場合と同様に、改めて覚書、誓約書によって秘密保持義務が存することを明示的に合意しておくことが有用です。

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