労働基準監督署への届出

就業規則の届出とは、何を意味するのでしょうか?

→ 労基法第90条で定められた、就業規則作成の手続きのひとつです。届け出ない場合は、30万円以下の罰金とされています。

目 次

  • 届出の手順
  • 届出にかかる罰則
  • 届出と周知の効力
  • 届出にかかる判例

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届出の手順

就業規則を作成した場合には、すみやかに労働基準監督署へ届け出なければなりません。

具体的には、「就業規則(変更)届」という届出様式に、「意見書」、および届け出する規程類を添付し、これを2部作成します。

届け出は、実際に所轄の労働基準監督署に出向かなくても、郵送でも受け付けていますが、郵送で届け出する場合には、返信用の封筒を同封するように求められます。

就業規則を届け出ると、意見書が添付されているか、就業規則の内容が法令違反ではないか等の確認を行い、明白な法令違反がある場合を除き、通常は受理され、届け出をした2部のうち1部が、会社の控えとして受理印を押印の上、返却されます。

これで、就業規則の作成・届け出手続きとしては完了となります。


届出にかかる罰則

届け出ない場合は、労基法第120条により30万円以下の罰金となります。

届け出の際に、下記意見書を添付することになっています。

平成16年1月1日の労働基準法の改正・施行により、就業規則に「退職に関する事項」として「解雇の事由」を記載する必要があることが、法律上明確にされました。

すでに作成している就業規則に、「退職に関する事項」として「解雇の事由」を記載していない場合は、「解雇の事由」を記載した上で、改めて労働基準監督署へ届け出なければなりません。


届出と周知の効力

届出が就業規則の効力要件か否かについては、いろいろな考え方がありますが、一般には単に手続に過ぎず、届出がなくとも労働者を拘束すると解されています。

逆に言えば、届け出た際に受理印が押印されていることをもって、労働基準監督署の「お墨付き」を得たという訳ではありません。

その就業規則が受理されたとしても、労働基準監督署の立場としては、労働条件の最低基準効である労働基準法を下回る部分は無効であるということを前提に受理したという主旨で押印しているに過ぎず、その受理印をもって就業規則の内容が適法であるとか、内容や変更について合理性があるとか、あるいは労働者との労働契約内容になることを保証したものではないのです。

したがって、もしその就業規則が法令に抵触する場合には、労働基準監督署は、変更を命ずることができます。(労基法第92条2項、労基法施行規則50条)

一方で、就業規則を周知していなければ、適用される労働者が知らないということになり、就業規則の趣旨・目的にそいません。

「手続に過ぎない」ではすまされず、周知されていなければ、無効とされます。

ただし、労働者が内容を十分承知していたり、容易に知りうる状態にあった等特段の事情がある場合には、有効とされることがあります。

なお、この周知義務に違反した場合は、30万円以下の罰金に処せられることがあります。


届出にかかる判例

届出を怠った場合でも、民事上、その就業規則自体は、労働者に対し効力をもつとされています。

コクヨ事件 大阪高裁 S41.1.20
労働基準法第89条には、使用者が就業規則を作成しまたはこれを変更した場合には当該行政官庁に届け出るべき旨が規定されているけれども、右届出手続きの履践は作成または変更にかかる就業規則の効力発生要件をなすものではなく、使用者においてその事業場の多数の労働者に共通な就業に関する規則を定めこれを就業規則として表示し従業員一般をしてその存在および内容を周知せしめ得るに足る相当の方法を講じた時は、その時において就業規則として妥当し関係当事者を一般的に拘束する効力を生ずるものと解せられる

関西弘済整備仮処分事件 神戸地裁 S51.9.6
届出は単なる取締規定であって届出がなくとも就業規則の効力に影響がないとされた。

上智学院地位保全仮処分申請控訴事件 東京高裁 S46.11.30
同旨

駸々堂事件 大阪地裁 H8.5.20
労働者の代表者への意見聴取、監督官庁への届出は、労働基準法93条所定の効力を発生させる要件に当たるものではないとして、就業規則が有効とされた。


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