就業規則の意見聴取

就業規則の意見聴取とは、何を意味するのでしょうか?

→ 労基法第90条で定められた、就業規則作成の手続きのひとつです。社員の過半数で組織する労働組合(労働組合がない場合には、社員の過半数を代表する者)の意見を聴かなければなりません。

目 次

  • 意見を聴く
  • 意見聴取をしていない場合

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意見を聴く

労働基準法第90条第1項によると、就業規則の作成・変更の手続きにおいては、社員の過半数で組織する労働組合(労働組合がない場合には、社員の過半数を代表する者)の意見を聴かなければなりません。

意見を聴くとは、「同意を得る」という意味ではないので、その意見に拘束されることはありません。

賛成であろうと反対であろうと、労働者代表の署名または記名押印がある意見書が添付されていれば、所轄労働基準監督署長は就業規則を受理します。

つまり、法に触れる場合は別として、労働者代表の意見が反対であっても、就業規則自体の効力には影響しないということです。

もし、「本就業規則の内容には全面的に反対する」という意見があったとしても、意見書の記載としては問題ありません。

また、実際に意見を聴いたけれど、意見書の提出や、意見書への署名・押印を拒否されたときは、就業規則の内容を説明して意見を聴いたことが客観的に証明できるよう、経緯を説明した「意見書不添付理由書」を提出すれば、所轄の労働基準監督署長は、その就業規則の届け出を受理する取り扱いをしています。(昭和23年5月11日基発735号、昭和23年10月30日基発1575号)

法第90条の「労働組合の意見を聴かなければならない」というのは労働組合との協議決定を要求するものではなく、当該就業規則についての労働組合の意見を聴けば労基法の違反とはならない趣旨である。(S25.3.15 基収第525号)

労働組合又は労働者の過半数を代表する者の意見書に労働者代表の署名押印がないことを理由として受理しない向もあるようであるが、労働組合が故意に意見を表明しない場合又は意見書に署名押印しない場合でも、意見を聴いたことが客観的に証明できる限り、これを受理するよう取り扱われたい。(S23.5.11 基発第735号、S23.10.30 基発第1575号)


意見聴取をしていない場合

もともと就業規則は、労働協約とは異なり、使用者が一方的に作成し、変更する権限をもっているものなので、意見聴取等の手続きを取っていない場合でも、労働者に対し何らかの方法で就業規則として周知され、適用されている以上は、労基法上の手続き違反になるものの、規則としての効力は有しているとされます。

ただし、就業規則を不利益に変更した場合は、就業規則の不利益変更の内容自体が妥当であるか、別途判断する必要があります。

シンワ事件 東京地裁 H10.3.3
従業員の代表としての資格を欠く者の意見書を添付して届け出られており、労基法90条に違反して無効である旨主張するが、従業員の意見の聴取手続について同条の規程に違反するとしても、そのことから直ちに就業規則の効力を失わせるものではないと解すべきである。

秋北バス事件 秋田地裁 S32.6.27
労働者の意見を聴かないで一方的に就業規則を変更したとしても、それが法令並に労働協約に反しない限りそれ自体は有効であって、その変更の効力には少しも影響がない。

京都市交通局事件 京都地裁 S24.10.20
労働者の意見を聴くことは就業規則の作成変更の有効要件ではない。


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