年休の計画的付与に少数組合が反対?

年休の計画的付与に少数組合が反対?

年次有給休暇の計画的付与のため締結した労使協定に、少数組合が反対した場合、計画的付与はできないのでしょうか?

→ 過半数代表者と労使協定により計画的付与が実施でき、この協定には、反対する労働者も拘束する効果があると認められます。

目 次

  • 年休の計画的付与
  • 事例詳細

年休の計画的付与

  • 労働基準法第39条第6項により、その事業場の労働者の過半数を超える労働者から組織される労働組合との労使協定により計画的付与が実施できる
  • 一旦労使協定により年休の取得時季が特定されると、その効果は、当該協定により適用対象とされた事業場の全労働者に及ぶ

年次有給休暇について正しく定めておかないと、不要なトラブルに発展する可能性があります。

就業規則への具体的な記載方法は、以下のセミナーで詳細を解説しています。セミナー参加者特典として、無料個別相談で疑問点をすべて解消することもできます。


「会社を守る就業規則」徹底解説セミナー

今後の開催予定

2018/01/19(金) 受付開始 9:30 セミナー開始 10:00~17:00
2018/02/16(金) 受付開始 9:30 セミナー開始 10:00~17:00

「会社を守る就業規則」徹底解説セミナーの詳細

事例詳細

製造業を営む当社には、労働組合が2つあり、総務部長は常々その対応に頭を悩ませていました。

9月の終わりのある日、総務部長は、11月2日の1日だけラインを動かすよりは、その日を休みにすれば連休になり社員にとってもよいのではないか、なにか良い方法はないか、と社長から言われました。

そこで総務部長は、社長に有給休暇の計画的付与について説明をすると、社長はそれで行こうじゃないか、と応じたため、総務部長は計画的付与を実施することとなりました。

しかし、総務部長は、有給休暇の計画的付与について説明はしたものの、あまり気が進みません。

なぜなら2つの組合のうち、少数組合は常に会社が何かを提案しても、どんな内容であれ拒否する姿勢をとってきたからです。

計画的付与を提案してみると・・・

とはいえ、早くやらなければ間に合いません。総務部長は労使協定案を作成し、過半数を占めるA労働組合の執行委員長に見せたところ、内容に特に異論はないようで、労働組合の執行部で検討するからといって労使協定案を持ち帰りました。

総務部長はホッとして、次に少数組合であるB労働組合の執行委員長に会いに行きました。

「Cさん、今度の11月は1日が日曜日で、3日が祝日だから、その間の2日を有給休暇で休みにしようと思うんだけど、どうだろう。今日は労使協定案を持ってきたのだが」

「有給休暇ですか?有給休暇を使うかどうかは個人の自由ですから、協定を持ってこられても見るつもりはありませんよ。」

「2日を休みにすれば連休になるから、社員にとってはいいことなんじゃないか?」

「どうせ、1日だけラインを動かすのは効率が悪いって考えてるんでしょ?会社の都合なんだから有給休暇じゃなくて、会社の休日にして給与はそのまま支給すればいいんですよ。」

・・・というような会話が続き、らちがあきません。それでも総務部長は粘り強く話し、なんとか労使協定案を渡すことができました。

その数日後、A労働組合から労使協定に同意すると回答がありました。

しかしB労働組合からは何の返事もありません。10月の中旬になり総務部長がCに状況を確認したところ、Cは「執行部に見せたけど、やっぱりだめです。最初に話した通りです。」と、にべもありません。総務部長は困ってしまいました。

この状況で計画的付与は可能か?

このまま、11月2日を休みにしてもよいのでしょうか?

結論から言えば、A労働組合との協定が成立すれば、B労働組合との協定がなくとも計画的付与を行うことができます。

無論B労働組合員に対して有給休暇の取得ではなく、休業手当を払うなどの措置も不要ですし、労務の提供の申し出があっても応じる必要はありません。

有給休暇の計画的付与

そもそも、労基法第39条第6項では協定を締結する事業場において、その事業場の労働者の過半数を超える労働者から組織される労働組合との労使協定により計画的付与が実施できるとなっていますが、この解釈について裁判所は “この計画的付与については、これに反対する労働者をも拘束する効果を認め(中略)・・一旦労使協定により年休の取得時季が特定されると、その日数について個々の労働者の時季指定権及び使用者の時季変更権は、共に、当然に排除され、その効果は、当該協定により適用対象とされた事業場の全労働者に及ぶと解すべきである。”(長崎地裁 H4.3.26 三菱重工業長崎造船所(計画年休)事件)としています。

したがって、B労働組合が協定の締結に同意しなくとも、A労働組合と適法に協定を締結することができればよいとなります。

ただし、裁判所は同じ判決で協定の内容が著しく不公正であって、これを少数者に及ぼす場合は、これらの効果は当該少数者には及ばないとしている点に注意が必要です。


年次有給休暇のトラブル

サブコンテンツ

このページの先頭へ