求人の募集要項=労働条件になるのでしょうか?

求人募集の際に掲載した募集要項をそのまま労働条件になるのでしょうか?
求人票に記載された賃金で雇用する法的義務までは発生していないといえますが、求人広告とは異なる条件で採用するのであれば、少なくとも採用内定通知を行う段階までには、実際の労働条件を具体的に明らかにしておくことが必要です。
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このコンテンツの目次
  • 事例詳細
  • 求人募集と労働契約について
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事例詳細

 当社では、程なく退職が決まっている経理担当者の後任を採用するため、ハローワークを通じて求人募集を行っていましたが、この度Aさんから応募があり、書類選考、及び面接を経て、社内で協議した結果、採用することを決定しました。そこで、当社からAさんに採用内定通知書を送付したところ、Aさんから問い合わせがありました。

Aさん

こちらAと申します。採用内定通知書を受け取ったのですが、記載されている労働条件が募集要項に記載されていた内容と異なっているようなので、確認させていただきたく、お電話致しました。

総務部長

どの部分が異なっていたのでしょうか。

Aさん

採用内定通知書には、月給として、基本給が23万円と記載されていますが、募集要項では25万円と記載されていたと思います。

総務部長

申し訳ありませんが、採用内定通知書に記載されている金額が正しい内容になります。募集要項の記載と異なっていることについては、ご心配をお掛けして申し訳ございません。

Aさん

そうですか。でも募集要項で示されていた条件に期待していたので、少し驚いています。なぜ差異が生じたのでしょうか?

総務部長

具体的な要因についてはお答えできませんが、今回の採用内定通知書でお知らせした労働条件については、選考過程時のお話しや他の要素を考慮して、最終的に確定させていただいたものです。

Aさん

それはわかりましたが、そもそも、募集要項と異なる条件で採用することは、法的に問題ないのでしょうか?せめて試用期間後は25万円に昇給するということにはできないでしょうか。

総務部長

法的な問題はないと思いますが・・・。また、試用期間後の昇給については、その間の働きぶりにもよりますので、何とも言えません。どうか、よくご検討頂いた上で、ご判断下さい。

Aさん

わかりました。

さて、採用時の労働条件は、募集時に提示した内容に拘束されるのでしょうか。

求人募集と労働契約について

採用内定通知を行う際に実際の労働条件を明らかにしておくことが必要です。

 採用のプロセスに沿って考えると、会社による求人募集が「労働契約の申し込みの誘引」であり、それに対する応募が「労働契約の申し込み」であり、採用内定通知は「申し込みに対する承諾」と考えることができます。会社が求人募集を行う際には、業務の内容や賃金、労働時間、その他の労働条件を明示する必要があります(職業安定法5条の3第1項、同法施行規則4条の2)が、この場合の明示は、例えば賃金について、求人募集の時点での初任給や見込み額を記載すること以上を求められているものではありません。また、求人募集の内容は、会社からの「労働契約の申し込みの誘引」の段階で示されているものに過ぎないので、それがそのまま労働契約の内容になる訳ではありませんから、上記の事案ですと、求人票に記載された賃金どおりの金額で求職者を雇用する法的義務までは発生していないといえます。 

 他方で、会社は求人票により、客観的にみれば誤った情報を求職者に与えて「労働契約の申し込みを誘引」したことになりますので、相応の対応、具体的には、職業安定法および労働基準法の規定に沿った形で、直ちに求職者に対して正確な労働条件を書面にて明示することが必要です。正確な労働条件を求職者に示すことなく、採用内定通知を行ってしまえば、求人票の内容で労働契約が成立したと評価されることになりかねません。これに関しては、「求人広告も労働条件を的確な表示で明示すべきもので、労働者が求人広告に応募して労働契約を申し込むときは求人広告の内容を当然に前提としているから、求人広告で契約の内容を決定できるだけの事項が表示されている限り、使用者が求人広告の内容とは労働条件が異なることを表示せずに労働者を採用したときは、労働者からの求人広告の内容を含む申込みを承諾したことに他ならず、両者の申込みと承諾に合致が認められるから求人広告の内容で労働契約が成立したというべきである」とする裁判例(東京港運送事件 東京地判平29.5.19)もありますので、求人広告とは異なる条件で採用するのであれば、少なくとも採用内定通知を行う段階(同時も含む)までには、実際の労働条件を具体的に明らかにしておくことが必要です。

 なお、すでに求人募集の内容で労働契約が締結されている場合には、労働契約として成立している以上、 記とは状況が異なりますので、労働条件を変更するには本人との個別同意が必要となります。

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