試用期間の終了で退職が認められる場合は?

試用期間の終了で退職が認められる場合は?

試用期間中の社員に問題があった場合、試用期間終了時に本採用を拒否してもよいのでしょうか?

→ 採用時には分からなかった事実が判明し、改善可能性を含めて、雇用の継続が困難であるかどうかを総合的に評価・判断する必要があります。

目 次

  • 本採用拒否の有効性
  • 事例詳細

本採用拒否の有効性

  • 正社員と比較して広く認められる「解約権の行使」は、「趣旨・目的に照らしわせて客観的に相当である場合には行使可能であり、その程度に至らない場合これを行使することはできない」
  • 「採用決定の時点で知ることが期待できないような事実」が判明したときに、改善可能性を含めて、雇用の継続が困難であるかどうかを総合的に評価・判断する必要がある

試用期間ついて正しく定めておかないと、不要なトラブルに発展する可能性があります。

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事例詳細

今年も6月に入り、新規採用をしている当社では、新卒者の試用期間が終了する時期になってきました。

試用期間は難しく言えば「解約権留保付労働契約」ですが、簡単に言えば、採用の可否を決定する時には把握する事ができない事情を、採用後の一定期間調査し、観察の上最終的な決定をする労働契約と言うことができます。

当社の総務部長は、辞令の準備などを進めながら、入社した新卒採用者のそれぞれの管理者にこれまでの状況を確認してみることにしました。

すると課長から、配属した新卒採用者Aとの間に次のような出来事があったことが報告されました。

「あっ、Aさん。入社してから2ヶ月以上経ちましたが、仕事には慣れてきましたか?」

「はい、大体慣れてきましたが、この点については自分の考えたやり方の方が効率的だと思います。」

「あれ?仕事の手順にはマニュアルがあるし、ちゃんと教えてもらっているんだよね?」

「まーーーそうなんですけど、マニュアルよりも自分のやり方の方が良いと思います。」

「えっ!そ・そ・それじゃ君はマニュアルがあるのに、マニュアル通りにやっていないの?」

「やっていませんよ。だってマニュアルなんかより、この方が効率的なんですよ。」

「いや、一見無駄に見えても、他の人との作業の関連上必要なのもあるし、間違えやすいところは敢えて手間をかけてミスを防ごうと、みんなで相談して手順を決めたんだよ。」

「そうかもしれませんが、私はそうは思いませんね!だいたい効率悪すぎなんですよ!」

そして、いまだにAは自分の作業手順に固執し、周囲と軋轢を生んでいるため困っているとの事です。

また、Aに他の仕事を行わせようとしても、積極的ではなく、言い訳をして、仕事を回避しがちであることも報告がありました。

そこで総務部長は、Aと面談をしてみましたが、Aはマニュアルの件については自説を曲げないばかりか、課長をはじめとする上司、同僚の方が悪いと言わんばかりの態度であり、仕事に対する積極性に関しても課長の報告を否定できる事情が部長には見いだせませんでした。

部長は困ってしまい、この件については、役員会でも報告をしました。

すると役員会では、Aについては試用期間中であるから、試用期間終了をもって退職してもらう、つまり本採用を拒否しようとなってしまいました。

さて、会社はAに退職してもらうことは出来るのでしょうか?

採用決定時に知ることのできない事実が必要

問題社員

一般に、本採用拒否等の留保した解約権の行使について、裁判所は「解約権留保の趣旨・目的に照らして、客観的に合理的な理由があり社会通念上相当として是認される場合に許されるものであって、通常の雇用契約における解雇の場合よりも広い範囲における解雇の自由が認められてしかるべき」、「(解約権の行使は)趣旨・目的に照らしわせて客観的に相当である場合には行使可能であり、その程度に至らない場合これを行使することはできない」としています。

具体的には、「採用決定の時点で知ることが期待できないような事実の判明(なお、採用時に調査すべき身元に関する事実を含めることは、試用者の地位を不安定にし、内定との差を看過するものとの指摘があります)」が必要としています。

つまり、あくまで採用時に知り得たはずの事情が事後に判明したものは考慮要素から外し、事後に判明した事実について、試用期間の趣旨、目的を踏まえて、改善可能性を含めて、雇用の継続が困難であるかどうかを総合的に評価・判断するというスタンスなのです。

その結末は・・・

今回の事例では、Aの業務態度が独善的であること、指示に従わず仕事を忌避しがちであること等を認定し、Aの本採用拒否には合理的な事情があると認めてもらうことができましたが、上記の通り、簡単に認められることはありませんので、ご注意ください。


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