入社前研修時における事故は通勤災害?

入社前研修時における事故は通勤災害?

入社前研修に参加するための移動途上で交通事故でケガをした場合、労災保険の通勤災害は適用されますか?

→ 通勤災害に認定されるには、被災者が労働者であり、移動が就業に関して行われたことが必要です。厚生労働省は、入社前研修への労災保険の適用に慎重で、実態から判断され、適用されない可能性が高いです。

目 次

  • 労災保険法における通勤災害とは?
  • 労災適用の3要件
  • 事例詳細

労災保険法における通勤災害とは?

  • 労災保険法では、業務上の事由、または通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して、給付が行われますが、通勤災害に認定されるには、被災者が労働者であり、移動が就業に関して行われたことが必要

労災適用の3要件

  • 研修生に支払われる金銭が、一般の労働者の賃金並みの金額であること
  • 実際の研修内容が、企業の本来業務の遂行を含むものであること
  • 研修が使用者の指揮命令の下に行われていること

労務問題一発解決バイブル無料ダウンロード

労務問題を未然に防ぎ、例えトラブルが発生しても、損害を最小限に抑えるために「社長のための人事労務の勘所」をわかりやすく解説しています。
こちらから無料でダウンロードしてください。

労務問題一発解決バイブル無料ダウンロード

事例詳細

当社は、4月からの新卒採用者に対し、3月に2日間の入社前研修を実施しています。

入社前研修は社内で行い、社会人として一般的に身に付けておくべきビジネスマナーなど、座学を中心とした内容です。

もちろん、入社前研修にかかる費用として、交通費や日当は支給しています。

今年は5名の新卒採用者が入社する予定です。

ところが、入社前研修の初日に、開始時刻になっても1名が出社してきません。

「皆さん、おはようございます。本日は、入社前研修の初日です。既に研修の開始時刻が過ぎていますが、Aさんがまだ出社していませんね。どなたか、事情を聞いていませんか?」

「・・・」

「総務部長、Aさんからは特に何も聞いておりません。事前に連絡もあったわけではありません。」

「そうですか総務課長。入社前研修とはいえ、初日から遅刻とは・・・。仕方ないですね。スケジュールの関係もありますので、先に進めることにしましょう。」

こうしてAさん不在のまま、入社前研修が進められ、昼休憩となりました。

「総務部長!今、Aさんから電話がありまして、実は、今朝自宅から入社前研修に向かう途中で交通事故に遭って、今入院しているようです。」

「何だって!それで、Aさんの状態はどうなんだ?まさか大怪我とかしてないんでしょうね?」

「右足を骨折したようですが、無事に手術も成功したようです。ただ、1、2週間の入院が必要だそうです。」

「大事には至らなくて何よりだ。ところで総務課長、今回の交通事故は、通勤災害になるのかね?」

さて、上記のケースの場合、試用期間の延長は認められるのでしょうか。

労災保険法における通勤災害とは?

労災保険法では、業務上の事由、または通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して、給付が行われます。

労災の対象となる「通勤」とは、「労働者が、就業に関し、住居と就業の場所との間の往復等の移動を合理的な経路、および方法により行うこと(業務の性質を有するものを除く)」としています。

つまり、通勤災害に認定されるには、被災者が労働者であり、移動が就業に関して行われたことが必要です。

まず、労働者とは、事業に使用される者で、賃金を支払われる者をいいますので、内定者が労働者といえるかどうかが問題となります。

次に、就業に関する移動かどうかについては、労働者性の判断要素とも重なりますが、入社前研修が業務であれば、就業との関連性があると考えられます。

今回のケースでは、出席が事実上義務付けられ、研修中も会社の指揮命令下に置かれますので、一定の拘束性が伴うものといえます。

しかし一方で、形式的には、入社前の期間は労働契約期間外であることから、本来、会社は内定者に対して指揮命令権を有していません。

よって、このような状況下で行われる入社前研修は、内容が入社後の業務と密接に関連し、業務上必要な知識や技能を習得する目的で実施されるものや、実際に業務を遂行しながら訓練を受けるようなものでない限りは、業務の範囲外と判断される可能性が高いと思われます。

入社前研修に日当が支払われる場合でも、その金額によっては、労働の対価ではなく恩恵的なものとして、業務の範囲外という判断を補充する要素になるでしょう。

労災適用の3要件

この点厚生労働省は、入社前研修への労災保険の適用に慎重です。

実際にはその実態から判断されますが、適用の基準として、次の3つの要素を挙げています。

  1. 研修生に支払われる金銭が、一般の労働者の賃金並みの金額であること。
  2. 実際の研修内容が、企業の本来業務の遂行を含むものであること。
  3. 研修が使用者の指揮命令の下に行われていること。

以上を踏まえると、入社前研修は、その移動も含めて労災保険が適用されない可能性が高いと思われます。

したがって、入社前研修を実施する際には、民間の傷害保険への加入等を検討し、必要に応じて、就業規則に「災害補償規程」を整備しておくとよいでしょう。

入社前研修については民間の傷害保険も含めて考慮しておかないと、不要なトラブルに発展する可能性があります。

実際の運用方法については、以下のセミナーで詳細を解説しています。セミナー参加者特典として、無料個別相談で疑問点をすべて解消することもできます。


「会社を守る就業規則」徹底解説セミナー

今後の開催予定

2020/12/11(金) 受付開始 9:30 セミナー開始 10:00~17:00
2021/01/15(金) 受付開始 9:30 セミナー開始 10:00~17:00

「会社を守る就業規則」徹底解説セミナーの詳細


面接・採用のトラブル

サブコンテンツ

このページの先頭へ

var yahoo_retargeting_id = 'WWSQWG4UKB'; var yahoo_retargeting_label = '';