髪を金髪に染めた社員を懲戒処分できる?

髪を金髪に染めた社員を懲戒処分できる?

髪を金髪に染めた社員を何度も注意し、最終的に解雇をした場合、解雇は有効とされるのでしょうか?

→ 事案によりますが、ある判決では解雇が無効とされました。社員の容姿や服装についての一般的な基準を含め、以下に詳細を説明します。

目 次

  • 解雇の有効性
  • 実務上の留意点
  • 事例詳細

解雇の有効性

  • ある判決では、「労働者の髪の色・型、容姿、服装などといった人の人格や自由に関する事柄について、・・・(略)・・・その制限行為は無制限に許されるものではない。」とされ、解雇は無効とされた
  • 制限の必要性、合理性、手段方法としての相当性を考慮し、判断される

実務上の留意点

  • 担当業務や会社経営に悪影響を及ぼすような場合には、当該社員に対して注意等を(書面で)行う
  • 問題がある社員がいる場合には、放置しないことが肝心

注意・指導や懲戒処分について誤った対応をすると、不要なトラブルに発展する可能性があります。

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事例詳細

当社は、東京の郊外に本社を構える、従業員規模が50人ほどの運送会社です。当社では、毎月全員が参加する安全会議を開催しておりますが、先日、こんなことが起こりました。

「ちょっと、総務課長。ほら、あのB社員の髪の毛の色なんだが・・・。まずいんじゃないの~?」

「はい? あっ!あれは問題ですねーーー。つい先日までは黒かったんですが・・・。」

B社員は、当社のドライバーで、大口取引先A社の仕事に従事しています。総務課長が、2~3日前にB社員に会ったときは、少し長めの髪形だったのですが、当日は短めで、派手な黄色に髪を染めてきていたのでした。

早速会議終了後、社長、専務、総務課長とで話し合いを行い、B社員に対して、指導することになりました。翌日も、B社員は、昨日と同じ髪の色で出勤してきたため、総務課長は、B社員を呼び出しました。

「Bさん。先日、取引先のA社から電話があって、髪の色を染めた人がいるが、あまり好ましくないとの連絡があったんだ。Bさんもご存知の通り、A社はうちの最重要の取引先だ。A社との関係を悪化させる訳にはいかないから、髪の色を元に戻してくれないか。」(※ B社員の髪の色を元に戻させるための方便で、実際に苦情の申出があったわけではない)

「髪の色のことで、会社が干渉するのはおかしいと思います。実際にA社にも、髪の色を染めた人もいますし、他の会社にも沢山います。それに私は、取引先構内では、ヘルメットを被っていますから、ほとんど見えないと思います。」

「他社は関係ありません。運転手は、会社を代表する営業マンとしての立場もあるわけですから、構内ではヘルメットを被っているから問題ないってもんじゃありません。それに一般道では丸見えです。近日中に元の色に戻してください。」

「別に近日中じゃなくても、髪の毛の色なんて自然に元に戻りますから、いいじゃないですかーーー。」

「だめです! 絶対に近日中にその派手な色を落として、元の色に戻して下さい。」

その後1週間が経過しましたが、B社員の髪の色には変化が見られません。総務課長は、再度B社員を呼んで説得することにしました。

「Bさん。君の髪の色の件、前も言いましたが、いつになったら元に戻してくれるのかね。」

「課長もしつこいですね。髪の毛なんですから、そのうちに自然に元に戻ります。」

「だめです! 2~3日内に元に戻すようにして下さい。不本意だろうから散髪代は全額援助します。」

「私も、色々な人に相談しましたが、髪の色でクビになることはないと聞きました。クビになるなら元に戻しますが、クビにならないのなら元に戻しません。髪を染めてから女性にもてるようになったし、友達もみんな、前は暗い感じだったが今は明るく見えると言ってくれているんで、元に戻したくないんです。」

頑ななB社員の態度に対し、総務課長は、自らの説得だけでは難しいと判断し、社長と専務に相談することにしました。

相談の結果、専務が直接B社員に会社の方針を説明し、始末書の提出を求める必要があるという結論に至りました。

翌日、専務がB社員と面談をし、1週間以内に髪の色を黒く染め、始末書を提出するように命じました。

すると2日後、B社員は、黒色の白髪染めを使って、自分で少し茶色の残る程度に髪を黒く染め直して出勤してきました。以前よりは改善されましたが、会社は、完全な黒ではなく、少し茶色が残っているという点が気がかりでした。

その後、所定の改善期日を過ぎても、B社員の髪の色は、少し茶色が残っている状態のままです。専務は、B社員を呼び出し、注意することにしました。

「Bさん。所定の期日が過ぎたが、髪の色がほとんど変わっていないじゃないか。明日は仕事を休んで、髪を黒く染めて来なさい。お金が無ければ会社が出す。会社の方針に従えなければ、話しが大きくなってしまいますよ。あと、始末書も提出して下さい。」

「髪の色は、自分なりに黒く染めたじゃないですか。これ以上染める気はありません。始末書についても、提出すると後々クビになると教えられたので提出しません。」

「そうですか。それでは残念ですが、就業規則に基づいて、あなたを解雇します。文書は後で送付します。」

こうして、B社員は、解雇されましたが、後日B社員は、解雇が無効であるとして、当社を訴えましたが、結果としては、本件解雇は無効との判決が下されました。

髪の毛

「労働者の髪の色・型、容姿、服装などといった人の人格や自由に関する事柄について、企業が企業秩序の維持を目的に、労働者の自由を制限しようとする場合、その制限行為は無制限に許されるものではない。その制限行為は、企業の円滑な運営上必要かつ合理的な範囲内にとどまるものというべきで、具体的な制限行為の内容は、制限の必要性、合理性、手段方法としての相当性を欠くことの無い様、特段の配慮が要請される。」との一般的な基準が示されました。

この点、実際の対応としては、個別の事案にもよりますが、一般的には、当該社員の職務内容(顧客と対面して行う職務であるかどうか等)を考慮して、顧客に不快感を与え、顧客の会社に対する評価・信用を左右しかねないものなのかどうかで判断することになるでしょう。

また、当該社員の職務が内勤で、顧客と対面しないような場合であっても、常日頃接している社内の他の従業員に対して、違和感、嫌悪感を抱かせる場合には、制限することができると思います。

こうした観点から、担当業務や会社経営に悪影響を及ぼすような場合には、当該社員に対して注意等を行います(書面で行うのがより効果的です)。それでも本人が改めない場合には、懲戒処分を検討することになります。

なお、問題がある社員がいる場合には、放置しないことが肝心です。頭髪や服装等は日常のものですので、しばらく放置するとすぐに慣行化し、時間が経ってから会社が対応すると、「なぜ今になって」という反論が起こりえるからです。


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