給与の振込口座の変更は?

給与の振込口座の変更は?

社員から給与の振込口座を変更したいという依頼があったとき、応じなければならないのでしょうか?

→ 本来、給与振込は会社の便宜によるものなので、原則変更には応じなければならず、振込手数料等も会社が負担するべきです。

目 次

  • 給与振込には労働者の同意が必要
  • 振込手数料を社員に負担させるときは
  • 事例詳細

給与振込には労働者の同意が必要

  • 労働基準法第24条によると、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。」とされている
  • 給与の振り込みは、「本人の同意」や「本人の指定」が必要であって、本来は、会社から特定の金融機関を指定することはできない
  • 会社が振込先の金融機関を指定したいときは、会社のメリットと従業員の手間を勘案し、本人の意思も尊重しつつ、かつ同意を得た上で実施する

振込手数料を社員に負担させるときは

  • 原則は、民法第485条により、会社が給与の支払いに関する債務者であることから、その弁済にかかる費用(振込手数料)は会社が負担するべき
  • 社員本人に負担させるときは、少なくとも、本人の同意、賃金控除の労使協定の締結、給与明細への記載が必要

賃金については、明確に就業規則に定め、社員に周知しなければなりません。

就業規則への具体的な記載方法は、以下のセミナーで詳細を解説しています。セミナー参加者特典として、無料個別相談で疑問点をすべて解消することもできます。


「会社を守る就業規則」徹底解説セミナー

今後の開催予定

2017/12/15(金) 受付開始 9:30 セミナー開始 10:00~17:00
2018/01/19(金) 受付開始 9:30 セミナー開始 10:00~17:00
2018/02/16(金) 受付開始 9:30 セミナー開始 10:00~17:00

「会社を守る就業規則」徹底解説セミナーの詳細

事例詳細

ある日、営業課のAさんが、総務部長を訪ねました。

「総務部長。ちょっとお願いなんですが、私の給与の振込先口座を変更して欲しいんですが・・・。」

「当社は全員が同じ銀行の同じ支店に口座を作ってもらって、そこに振り込むことにしているからな。今のままじゃ、駄目なのか?」

「私事で恐縮なんですが、実はマンションを購入することになりまして。それで、住宅ローンの関係もあって、X銀行に振込先を変更して頂きたいんです・・・。」

「事情は分かった。ただ、他行への振り込みだと手数料も掛かるし、そもそも君だけを特別扱いすることができるかどうかは、社長に聞いてみないとな。」

ということで、総務部長は社長に確認してみることにしました。

「社長。A君から給与の振込先口座を変更して欲しいといった要望があったんですが、どうしますか?」

「事情は理解できるが、一人に認めてしまうと他の社員にも認めないと不公平になるし。そうすると、振込先がバラバラになって手数料も掛かったり、振込先を間違ってしまう可能性もあるからなぁ。」

「では、認めるとしたら、手数料は本人に負担させますか?そうすれば、他の従業員が知ったとしても、自分も振込先を変えて欲しいとは言って来ないでしょう。」

「そうだな。それで問題ないというのであれば、そうしてくれ。よろしく頼むよ。」

社長の確認が取れた総務部長は、Aさんにその旨を伝えることにしました。

「Aさん。先日の件、指定の口座に振り込むことはできるが、その代わり振込手数料を負担してもらうことになるけど、いいかい?」

「えっ。手数料は自己負担ですか?しかも、それは私だけ自己負担っていうことですか?」

匿名の電話・・・、その内容は?

銀行

さて、給与の支払いに関しては、ほとんどの企業が口座振込によって行っております。

しかし、労基法24条には、「通貨払い」という規定があって、振り込みではなく現金手渡しが原則とされており、振り込みが認められるためには、労働者の同意を得た場合で、当該労働者が指定する当該労働者の口座へ振り込むことが必要とされています。

したがって、給与振り込みに関しては、「本人の同意」や「本人の指定」が必要であって、本来は、会社から特定の金融機関を指定することは出来ないと考えられます。

よって、会社が振込先の金融機関を指定したい場合には、会社のメリットと従業員の手間を勘案した上で、本人の意思も尊重しつつ、かつ同意を得た上で実施することが落としどころになるのではないかと思います。

次に、振込手数料の負担についてですが、先述の通り、労基法24条が、「通貨払い」を原則とし、本人が同意すれば、振込みによる支払いも可能とされていることからすると、振込みによる支払いは、本人ではなく、会社側の便宜によるものと考えられます。

また、民法上も、給与の支払いに関しては、会社が債務者であることから、その弁済にかかる費用(振込手数料)は、会社が負担するべきものと解釈できます。

(弁済の費用)
第485条 弁済(給与支払)の費用について別段の意思表示がないときは、その費用(給与支払に要する費用)は債務者(会社)の負担とする。

以上を勘案しますと、振込手数料は、本来は会社が負担すべきものであると考えられます。

しかし、本人に負担させることが、必ずしも違法とは言えません。仮に本人に負担させるとすれば、少なくとも、

  1. 本人が同意していることが明らかであること(書面によることが必要と考えます)、
  2. 労基法24条に基づく、賃金控除の労使協定を締結すること(労基署への届出は不要)、
  3. 控除した場合には、その金額を給与明細に記載すること、

という要件を充足する必要があると思います。


賃金・退職金のトラブル

サブコンテンツ

このページの先頭へ