プライバシーと復職の判断

医師の診断書はプライバシーの侵害になりますか?
従業員の健康情報は一般的なプライバシーとは異なり、会社が従業員の健康情報を取得することは、プライバシーの侵害にあたりません。会社には安全配慮義務があり、労務提供を受け取るにあたっては、むしろ従業員の健康状態を確認しなければならないのです。
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従業員のプライバシーとは

休職期間中、従業員の健康状態を把握するために、医師からの診断書や面談等を求めようとすると、従業員から「プライバシーの侵害ではないか」という反論が出ることがあります。

はたして、診断書を提出させたり、医師との面談を求めることは、プライバシーの侵害になるのでしょうか。

プライバシーとは、一般的には「個人情報や私生活をみだりに公開されない権利」をいいます。
「自己に関する情報をコントロールする権利」ともいわれています。
このプライバシーの定義は、国と国民、あるいは何ら契約関係のない私人間における権利の問題です。

会社と従業員とは、労働契約を締結しているわけですから、一般のプライバシーと同様に捉えるべきではありません。
この労働契約内容には、従業員は労働債務を履行できる健康状態を有しているということが、当然に含まれています。

つまり、一般的にいう国民のプライバシーと従業員のプライバシーは異なるものであり、労務提供を受けるにあたって、本当に健康かどうかという疑義が生じた場合は、会社はそれを確認できるのです。
むしろ、会社の安全配慮義務を考慮すれば、従業員の健康状態を確認しなければならない、といえるでしょう。

健康情報は当然に取得できる

休職させた従業員を、復職させるかどうか判断する局面では、本当に疾病が治癒しているのかという健康状態について、会社が健康情報を取得するのは当然です。

法律で会社に課されている義務をみれば、明らかです。
労働安全衛生法では、会社は健康診断の実施(第66条)、そして、その結果を記録(第66条の3)することが義務づけられています。労働者に対しても、健康診断の受診義務(第66条5項)が規定されています。
さらに、会社には、当該健診結果を労働者へ通知する義務が課されています。

会社に労働者の健康情報が提供されることが前提となっていなければ、これらの義務をはたすことができません。

したがって、会社は、業務に必要な範囲内で従業員の健康情報を取得する権利があり、従業員の健康情報は当然に会社に提供されることになっているのです。

きちんと情報を管理することが重要

このように、労働契約を締結した時点で、会社が、労務提供に関する労働者の健康情報を確認することは、業務の遂行上必要な範囲で認められています。

就業規則の復職の規定には、「復職の判断にあたっては、診断書の提出や主治医への面談を求める」と記載しておくとよいでしょう。

健康情報の取得が制限されているわけではなく、会社は、取得した従業員の健康情報をきちんと管理して、それをみだりに公開しないようにすることで労働者のプライバシーを保護することが求められます。

つまり、問題となるのは、健康情報を取得することではなく、健康情報を取得した後の管理をいかにきちんと行うかということなのです。

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