身元保証書の提出は何のために求めるのか?

身元保証書の提出は何のために求めるのか?

社員の不始末により、会社が損害を被ったとき、本人と身元保証人に賠償させることはできるのでしょうか?

→ 身元保証人には、社員を監督する機会はほとんどないことから、無制限に責任を負わせることはできません。

目 次

  • 身元保証人の責任の範囲
  • 誰に身元保証を求めるか
  • 事例詳細

身元保証人の責任の範囲

  • 人物保証としての身元保証は、十分意味のあること
  • 多額の損害額を払わせることは想定していない
  • 休職や退職についての話し合いにおいて、身元保証人に役割を果たしてもらう

誰に身元保証を求めるか

  • 父親と母親の2名を身元保証人とすることは避ける
  • 1名は親、もう1名は両親以外の血縁者か友人などに求める

社員の身元保証に関しては、就業規則に定め、社員に周知する必要があります。

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事例詳細

新たに従業員を採用する場合、従業員に対して、身元保証書の提出を求める企業は少なくありません。

損害賠償

一般的に、身元保証書の内容は、従業員の不始末により、会社が損害を被ったときに、身元保証人に連帯して損害を賠償してもらう、というものが大半です。

しかしながら、身元保証書をとったとしても、それで万全ということはありません。

「社長!外出中の従業員Aから電話があって、取引先に集金に回っている最中に、ひったくりにあったようです。」

「なんだって!!! 総務部長、それは本当なのか? それで、そのときの状況は?」

「はい。集金の帰りに、お客様から携帯に電話が入って、鞄を持って歩きながら話をしていたようですが、話に熱中しすぎて周囲への注意力が散漫になっていたようです。 それで後ろから自転車で来たひったくりにやられたようです。」

「そうか・・・。集金のときは、あれほど周囲に注意しろと指導しているのに・・・。それで被害額は?」

「そ、そ、それがですね・・・。たいへん申し上げ難いのですが、やられた金額は約1,000万円です。」

「ま、ま、まじか! すぐに警察に連絡して、本人が戻ってきたらすぐに社長室に来るように伝えてくれ。」

「すいません。私の不注意で会社に損害を与えてしまって、大変申し訳ございません・・・。」

「集金のときは周囲に注意しろとあれほど言っていたのに・・・。しかし起きてしまったことは仕方ない。今回の件については十分反省して、今後二度とこのようなことの無い様、十分注意して行動してくれ。」

「はい、わかりました。社長、今回のことは本当に申し訳ありませんでした・・・。」

しかし、数日後、Aは責任を取る形で退職を申し出てきました。ただし、1,000万円を弁済するという申し出はありませんでした。

会社は、退職は認めたものの、損害を賠償するように申し入れました。しかし本人は、払える資力がないとの理由で、結局弁済するという合意に至ることはありませんでした。

これを受けて後日、会社は本人と、身元保証人である両親に対して、損害賠償の訴えを起こしました。

結果は、被害額の半分を超えて、会社は本人に対して請求することができないこと、そして身元保証人である両親が、本人と連帯して負担すべき損害賠償の範囲は、本人が負担すべき損害額の4割が相当という判決です。

「しかし、今回の判決には納得がいかんな~。 それじゃ、一体何のために身元保証人がいるんだ。 社員が責任取れないから必要なんだろうが・・・。」

社長がぼやく気持ちもよく分かります。しかし、身元保証については、保証人になった人も、人間関係上やむを得ず、何の対価も無しに保証責任を引き受けているのが通常で、重大な責任を負ったという認識も無ければ、将来重大な責任を負うことなども想定していません。

加えて会社は、従業員の就労について、その監督責任があり、それを履行することが可能である一方で、身元保証人は監督する機会もほとんど無いのですから、身元保証人にだけ、無制限に責任を負わせることは、公平な負担という観点から、身元保証人には酷だと言えます。

それでは、やはり身元保証書を取る意味がないのか? 金銭保証の意味合いではなく、人物保証としての身元保証であれは、それは十分意味のあることだと思います。

人物保証の場合は、両親以外の血縁関係者かあるいは友人に身元保証人になってもらうことが望ましいです。

特に若い従業員が精神障害を発症した場合等には、将来のことも考え、その点を冷静に考えられる身元保証人がいれば、休職や退職をめぐる話し合いにおいて、身元保証人は重要な役割を果たすことになると思います。

金銭保証については、両親が身元保証人となることに異論はありませんが、人物保証について、両親を身元保証人とするには、子供を思う気持ちが先に走る傾向にありますので、それは避けるべきだと思います。

よって、実務的には、身元保証人を2名(1名は親、もう1名は両親以外の血縁関係者か友人)を求めるということになります。


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