懲戒解雇後に判明した新事実は根拠として有効か?

懲戒解雇した後に別の懲戒事由が判明した場合、その事実を追加することはできるのでしょうか?
懲戒解雇を行った後に別の懲戒自由が判明しても、懲戒処分の有効性を根拠づけることはできません。
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このコンテンツの目次
  • 懲戒解雇とは
  • 事例詳細

懲戒解雇とは

 一方、懲戒解雇とは、労働者を罰して企業から追放するという行為です。

 本来労働契約とは、対等な関係で締結される契約です。 そのため、何の根拠もなしに、一方が相手側を罰することはできません。

 したがって、懲戒解雇をするためには、懲戒解雇の根拠を就業規則に示して、労働者の同意を取ることが必要です。

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事例詳細

 当社は、都内で通信業を営む50名程度の中小企業です。この度、営業課長を務めるAが、急遽退職することになり、Aの上司である部長にAの業務を兼任してもらうことにしましたが、部長にも限界があることから、早急に中途で営業とマネジメント経験を持つ者を募集し、Bを採用することにしました。

 採用後2ヶ月経過し、Bの様子はというと、そつなく業務をこなしているように見え、Aが在籍していた時の課の営業成績と比較しても遜色ない結果だったので、部長は安心していたところでした。しかし、Bの部下から通報があり、なんと、営業成績について、かなり水増ししているというのです。

人事部長

社長、Aの代わりに採用したBですが、通報によると、かなりの不正を働いていたことが発覚しました。

社長

なんだって!?そんなことをするやつは、信用できん、クビだっ。即刻、懲戒解雇だ。

人事部長

社長、今日、通報を受けたばかりですので、懲戒解雇ともなると、もう少し調査し、決定打になる証拠を見つけた方がよいと思うのですが・・・。

社長

それは面倒だ、Bから直接聞けばいいじゃないか。素直に白状しない場合はそうするよ。

 すぐにBを呼び出し、Bが不正を認めたことから、それを理由に懲戒解雇することを告げ、Bを帰してしまいました。それに対し、流石に乱暴と感じた部長は、Bの不祥事について、調査をしたところ、水増ししたといっても、クビになるような大きな数字ではないことがわかりました。

 一方、Bの下についた社員に、Bの仕事ぶりについてヒアリングしたところ、ほとんど、部下に対して指示命令をしていないことがわかりました。不思議に思ったので、ダメ元で、Bの前職に連絡をしてみると、どうやらBはその会社で、管理職に就いていなかったということが判明しました。

人事部長

社長、先日懲戒解雇したBですが、営業成績の不正といっても、そこまで大したものではありませんでした。ただ、Bは、前職で管理職だったということで採用したのですが、それは嘘のようです。

社長

これは重大な虚偽申告じゃないか!今更だが、今回の件での懲戒解雇は、やりすぎたと私も反省しているところだ。もし、Bが訴えてくるようだったら、この件を追加することにしよう

人事部長

そうですね。これなら懲戒解雇も有効になるかもしれませんね。

 さて、労働者を懲戒解雇した後に、別の懲戒事由が判明した場合、後から判明した事実を追加することはできるのでしょうか?

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懲戒解雇をした際に認識していた事実関係から判断される。

 このような事案について、最高裁は、次のように判示しています。

使用者が労働者に対して行う懲戒は、労働者の企業秩序違反行為を理由として、一種の秩序罰を課するものであるから、具体的な懲戒の適否は、その理由とされた非違行為との関係において判断されるべきものである。したがって、懲戒当時に使用者が認識していなかった非違行為は、特段の事情のない限り、当該懲戒の理由とされたものでないことが明らかであるから、その存在をもって当該解雇の有効性を根拠付けることはできないものというべきである。

 今回のように、懲戒解雇を行った後に会社が認識してなかった非違行為(今回の場合は、経歴詐称)は、当該懲戒処分の理由としていなかったので、新たな懲戒事由が発覚したとしても、その懲戒処分の有効性を根拠づけることはできず、そのときに認識していた事実関係をもって判断されることに、注意する必要があります。

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