解雇予告手当の受け取りを拒否されたら?

解雇予告手当の受け取りを拒否されたら?

解雇予告手当の受け取りを拒否された場合、解雇は無効になってしまうのでしょうか?また、「解雇」に必要なものとは?

→ 解雇予告手当の「現実の提供」があれば、解雇は有効です。また、解雇に至るまでに「解雇理由書」と現金を用意しておきましょう。

目 次

  • 解雇予告手当の「現実の提供」
  • 実務上の留意点
  • 事例詳細

解雇予告手当の「現実の提供」

  • 原則、現実の提供があれば、解雇予告手当の支払いがなされたと同様の効果が生じる
  • 「現実の提供」とは、「現実に労働者が受け取り得る状態に置かれた場合をいう」
  • したがって、本人の意思で解雇予告手当の受け取りを拒否した場合でも、その解雇予告手当は支払われたものと解される

実務上の留意点

  • 「会社がどのように解雇の件を把握しているか」という詳細な「解雇理由書」と、解雇予告手当を現金で用意しておく

解雇について誤った対応をすると、不要なトラブルに発展する可能性があります。

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事例詳細

先日、ある社長から、こんな相談を受けました。

「実は解雇したいやつがいるんだけどさぁ。仕事もできないし、周りの従業員ともうまくいかないんだよ。上司に対しても口答えばかりする不良社員がいるので解雇を言い渡し、その場で解雇予告手当を支払おうとしたら、本人は不当な解雇だから受け取らないと言って帰ってしまったんだよ。この場合どうすればいいのかな?解雇を撤回するつもりはまったく無いのだけれど大丈夫かな?」

解雇

この解雇が「客観的で合理的な理由があり、社会的に相当なもの」で有効かどうかは別にして、労働基準法第20条の「使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。」という解雇予告手当の支払いという要件を備えているため、手続的に問題がないかどうかという点に絞っていえば、「全く問題がない。」といえます。

解雇予告手当の支払いが解雇に必要な手続とされていることから、たとえば、労働組合の組合員を解雇しようとした場合、その受領を拒否する戦術に出ることがよくあります。

重要なのは、「現実の提供」

この場合、使用者(社長)としてどの様な措置を講ずればよいのでしょうか。

解雇予告手当は、労働者に受け取られることによって、初めてその効力を発するわけですから、その支払いは一般債務の弁済と考えられています。

したがって、法務局に供託することを要するという説もありますが、原則として現実の提供があれば支払いがなされたと同様の効果が生じるとされています。

つまり、現実の提供とは「現実に労働者が受け取り得る状態に置かれた場合をいう」(昭和63年3月14日 基収第150号)とされていますので、社長から相談されたケースや労働組合員の受領拒否戦術のように、その受け取りを本人の意思で拒否した場合でも、その解雇予告手当は支払われたものと解され、有効なものとなります。当たり前のことですよね。

ちなみに、本人の給与振込口座に振り込んだ場合や、本人の生活本拠地宛に郵送するなども「現実の提供」が行われたと解され、その後に本人からの返金や、郵送の場合の受け取り拒否があっても、その効果に変わりはありません。

「解雇理由書」と「現金」を準備

解雇予告手当

最後に、最近よく解雇の現場に同席して欲しい旨の依頼があります。

その場合、当事務所では、詳細な解雇理由書と現金で解雇予告手当を準備しておくことを必須としています。

現金で解雇予告手当を準備する理由はもうお分かりになったと思います。

解雇理由書が必須のアイテムである理由は、解雇された本人は、その後必ずどこかに相談に行き、被相談者からあなたはなぜ解雇されたか解雇理由を問われることになります。

解雇理由書

このとき本人は、被相談者に自分の都合の良いことしか言いません。

被相談者は本人からの情報しかない場合、それを信じるしかありません。

しかし、解雇理由書があれば、会社が本人をどのように見ていたのか、またどのような行為を在職中にしていたのか、被相談者に情報提供できることになります。

この解雇理由書がどのくらい詳細で客観的で説得力のあるものであるかによって、その後の交渉に大きな影響が出てきます。

したがって、何の準備も無く、頭に血が上った状態で解雇するのは、気持ちはよく分かりますが、あまり勧められないということになります。


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