過半数代表者が退職しても36協定は有効?

過半数代表者が退職しても36協定は有効?

36協定を締結した過半数代表者が退職した場合、36協定は無効となってしまうのでしょうか?

→ 締結後に過半数代表者が退職したとしても、協定の効力に影響はなく、再度届け出する必要はありません。ただし、特別条項を付記している事業場では、過半数代表者が退職等により不在となった場合は、改めて過半数代表者を選出する必要があります。

目 次

  • 労基法第36条1項の決まり
  • 特別条項を付記している場合
  • 事例詳細

労基法第36条1項の決まり

  • 過半数代表者が、協定締結後も継続して当該事業場の過半数代表者であることについては、何も要件として規定していない
  • 労働者の過半数を代表するという要件は、協定の成立の要件であるにとどまり、協定の存続要件ではないと解されている

特別条項を付記している場合

  • 特別条項とは、臨時的な特別の事情がある場合に、通常の限度時間である月45時間を超えることができるというもの
  • 通常の限度時間を超えて労働時間を延長させる場合の手続きは、「過半数代表者と協議」、または「過半数代表者への通告」と規定されていることが大半なので、過半数代表者が退職等により不在となった場合は、改めて過半数代表者を選出する必要がある

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事例詳細

当社は、従業員規模が30名程度の金属部品の製造をメインとした会社です。当社では、毎年4月1日を起算日として36協定を締結していますが、当社には労働組合はありません。そのため、36協定の締結当事者は、「当該事業場の労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)」となります。

過半数代表者を選出するに当たっては、その方法について問題になるケースが多いと聞いたので、当社では、昨年から全従業員に通知して立候補者を募り、信任投票を実施した結果、過半数の信任を得た従業員と36協定を締結することとしています。

「総務部長、今年度に入ってから仕事も落ち着いていたけど、大口の受注が入ったお陰で、来月から忙しくなりそうだな。」

「製造部長、お疲れさまです。このところ売り上げも低迷していましたから、大口の受注はありがたいですね。しかし、いくら忙しいといっても、36協定に違反しないように、注意しなければなりません。」

「そんなこと言ったって、せっかく受注したんだから、やるしかないでしょ!それで、残業は何時間までなんだっけ?」

「製造では、36協定に記載した残業時間の上限時間は、1ヶ月当たり45時間ですね。」

「45時間かぁ。これまではそんな忙しくなかったけど、その上限に収まるかなぁ。」

「そこは大丈夫ですよ。今回締結した36協定では、こうしたこともあろうかと、特別条項を付けていますから。ほら、ここに書いてありますよ。」

「特別条項の場合、1ヶ月80時間が限度か。80時間だったらなんとかなるかな。んっ?!過半数代表者の欄に阿部慎之助が署名しているけど、彼は先月で退職したな。退職した人が過半数代表者ってマズいんじゃないの?」

「う~ん、どうなんでしょうか。マズいかも知れませんね…。すぐに確認してみます。」

36協定の過半数代表者が退職した場合

過半数代表者が退職した場合には、締結された36協定は無効になってしまうのでしょうか。

この点について、労基法第36条1項は、あくまで労使協定の締結時において労働者の過半数の意思が反映されていることを要件としているものであって、過半数代表者が、協定締結後も継続して当該事業場の過半数代表者であることについては、何も要件として規定していません。

行政解釈としても、「本条が協定当事者の要件として要求している労働者の過半数を代表するという要件は、協定の成立の要件であるにとどまり、協定の存続要件ではないと解されよう」と述べられています。

したがって、過半数代表者は、実際に労使協定を締結する時点で、法の定める要件を充足していればよいのであって、締結後に過半数代表者が退職したとしても、協定の効力に影響はなく、再度届け出する必要はありません。

特別条項を付記している場合は要注意!

「そういうことなら、問題なさそうだな。ところで、特別条項っていうのはどういうことだ?」

「特別条項というのは、臨時的な特別の事情がある場合に、通常の限度時間である月45時間を超えることができるというものです。」

「臨時的な特別の事情がある場合に超えられるってことは、残業時間が毎月45時間を超えるのはダメってことだな。」

「そうです。今回のような大口の受注は、臨時的な特別の事情に該当しますが、年に6回までという限度があります。」

「確かにそう書いてあるな。ん?!臨時に業務を行う必要がある場合、過半数代表者に通告と書いてあるけど、退職してるし、この場合はどうすればいいんだ?」

既述の通り、協定締結後に過半数代表者が退職したとしても、その効力に影響はなく、再度届け出する必要はありません。

しかし、特別条項を付記している場合は、通常の限度時間を超えて労働時間を延長させる場合の手続きについても36協定に規定することが必要です。そして、「過半数代表者と協議」、または「過半数代表者への通告」と規定されていることが大半ですが、この手続きは、協定の締結により約束したものですから、これを行わずに通常の限度時間を超える労働をさせた場合、法違反となります。

したがって、特別条項を付記している事業場においては、過半数代表者が退職等により不在となった場合、再度協定を締結して届け出する必要はないものの、締結する際と同様、改めて過半数代表者を選出する必要があるということになります。

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