フレックスタイム制の労働時間の繰越
- フレックスタイム制で労働時間の過不足を繰り越すことはできますか?
- 実際に労働した時間が、清算期間における総労働時間として定められた時間と比べて過不足が生じた場合には、清算期間内で労働時間、および賃金を精算することが原則です。
実労働時間に超過があった場合
実労働時間が総労働時間を超過した場合、どのように精算するのでしょうか。
たとえば、清算期間における総所定労働時間を、1ヶ月160時間と設定したとき、1ヶ月の実働が200時間で40時間過剰が生じた場合、その40時間の賃金は当月で支払わなければならないという労働基準法の規定があります。
つまり、実際の労働時間に過剰があった場合、あらかじめ定められた労働時間分は、その期間の賃金支払日に支払うが、それを超えて働いた時間分については次の清算期間中の総労働時間の一部に充当するという方法は、その清算期間内における労働の対価の一部がその期間の賃金支払日に支払われないことになり、労働基準法に違反します。
超過した勤務時間を翌月に繰り越して、翌月の所定労働時間を短くするという取り扱いはできません。
この例では、40時間(厳密には200時間-月法定労働時間)の時間外手当を支払って精算する必要があるわけです。
総所定労働時間に不足があった場合
一方、総所定労働時間に不足があった場合は、不足時間分を次の清算期間中の総所定労働時間に上積みして労働させることは、法定労働時間の総枠の範囲内である限り、労働基準法第24条に違反するものではないとされています。
これは、前の清算期間内において、実労働時間に対する賃金より多く支払い、次の清算期間でその分の賃金の過払分を精算するものと考えられるからです。
上記の例でいえば、仮に1ヶ月の実労働時間が150時間で10時間不足した場合は、10時間分の賃金控除を行えば精算は終了し、繰り越しの問題は生じません。
あるいは、賃金を控除せず、10時間分を翌月に上乗せ(翌月は160時間+10時間=170時間)することも労働基準法の規定に違反しないので可能ということになります。
しかし、清算期間における総所定労働時間が170時間であった場合は、10時間を繰り越すことにより180時間となりますので、180時間のうち、法定労働時間(週40時間が適用される事業場の30日の月で171.4時間)を超える時間の8.6時間分は法定時間外労働となり、割増賃金(割増部分のみ)の支払義務があるため、注意が必要です。
「会社を守る就業規則」徹底解説セミナー
竹内社労士事務所の代表である竹内が、最新の法改正や労働事情を踏まえ、2024年度版に改訂した最強の就業規則をベースに、法的根拠やトラブル事例、判例などを豊富に交え、会社を守るポイントをわかりやすく解説します。
オンライン動画「会社を守る就業規則」徹底解説セミナーのご視聴方法
社長を守る会の方は、「アンカー・ネット」会員マイページにログイン
するだけで、すべてのコンテンツを、購入することなくご利用になれます。
社長を守る会以外で会員マイページをお持ちの方は、
下のボタンからログインして、オンライン動画のご購入とご視聴が可能です。
当サイトで初めてご購入される方、会員マイページをお持ちでない方は、
最初に、下のボタンから無料会員登録を行ってください。
会員登録後、上のボタンまたは会員マイページ内からご購入いただけます。