有給休暇時の支払賃金について

社員から有給休暇の取得を・・・

当社の定年は、満60歳の誕生日なのですが、高年齢雇用安定法が改正されたこともあり、定年退職後、満65歳になるまでは、希望者全員を嘱託社員として、再雇用する制度を導入しています。

Aさんは、この制度を導入した後、初めて定年を迎え、嘱託として再雇用された社員でした。

そして、Aさんの労働条件ですが、定年後再雇用されるに際し、所定労働時間が短縮され、また賃金についても時給制に変更となりました。

「B部長、すいません。今月30日と来月1日の2日間、有給休暇を取りたいんですが・・・。」

「へぇ~めずらしいですね。Aさんは、今まで有給休暇なんて、ほとんど取ったことないんじゃないですか?」

「私も記憶にありませんよ。でも、定年も迎えたことだし、少しは家族サービスでもしようと思いましてね。」

「そうですか、分かりました。それはいいですねーーー。たっぷり家族サービスしてあげてください。」

こうしてAさんは、2日間の年次有給休暇を取得しましたが、翌月の給与明細を見て、Aさんは総務部長に問い合わせをしてきました。

「総務部長。今月の給与が少ないような気がするんですが・・・。たぶん、有給休暇を取った日の賃金が少ないんじゃないかと思います。」

「そうですか?有給休暇を取った日も、ちゃんと賃金が支払われていますよ。」

「えっ?さっき計算したら、有給休暇を取得した日は、6時間分の賃金しか支払われていないようなんです。」

「それはそうですよ。当社では、有給休暇を取得した日の賃金は、通常の賃金を支払うことになっていますから。」

「でも、私が取得した有給休暇は、定年前に発生したものですよ。私は定年するまで有給休暇も取得せずに頑張って貯めてきたのに、初めて取得してみれば、嘱託だからって、ひどいじゃないですか。」

「そんなこと言ったってAさん、Aさんの所定労働時間は1日6時間に変わったんですから、しょうがないことなんですよ。」

支払方法は就業規則に定める!

年次有給休暇を取得した日に支払うべき賃金については、

  1. 通常の労働日の賃金
  2. 平均賃金
  3. 健康保険法に定める標準報酬日額

のいずれかを支払わなければならないとされており、いずれの方法で支払うかについては、就業規則等で明確にしておかなければなりません。

また、支払方法を定めた場合には、必ずその選択した方法で支払わなくてはならず、どの方法で支払うかを、その都度決定するような取り扱いは認められません。

この会社では、上記 1.の通常の労働日の賃金を支払っているようですが、定年後再雇用された嘱託社員が年次有給休暇を取得した場合の賃金については、定年後再雇用後の賃金に応じた賃金を支払えばよいのでしょうか、それとも年次有給休暇が発生した定年前の賃金額に応じて支払わなければならないのでしょうか。

支払うべき賃金のベースは?

この点については、年次有給休暇取得日における労働契約の内容によって支払うことになります。

したがって、定年前に付与された年次有給休暇を、定年後に取得する場合であっても、実際に取得する日における労働契約の内容、つまり今回の例で言えば、嘱託社員としての賃金額に応じた賃金を支払えば足ります。

これは、例えばパートタイマーから正社員に身分が変更された場合も同様で、パートタイマーのときに付与された年次有給休暇を、正社員となった後に取得する場合も、正社員の労働条件に基づいた賃金が支払われることになります。

なお、年次有給休暇の付与日数には、本人の勤続年数が影響して参りますが、定年後再雇用された場合であっても、再雇用後の年数のみならず、定年前の勤続年数も通算された上で、年次有給休暇の付与日数が算定されることになります。(S63.3.14基発150号)


年次有給休暇のトラブル

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