給与の締め日と支払日の変更について

給与の締め日と支払日は変えられる?

「経理部長、ちょっと相談があるんだが、給与の締め日と支払日を変更したいと思っていてな」

「私も社長にそろそろその件でご相談に伺おうと思っていたところなんです。」

「だったらちょうど良かった。20日締めの25日払いのところを、末締めの15日支払いに変更したいんだ。」

「わかりました。他社への支払いや集金の関係上、その方が都合が良いですからね。また、最近は従業員が増えたことで、給与計算がタイトになっていたので、締め日から給与支払日までに余裕があると経理部としても助かります。」

「あーーーそう。そりゃーそうだよな。余裕はあった方がいいよな。それなら、さっそく進めてくれ。」

経理部長は総務部と相談をした上で、給与の締め日と支払日を変更することを回覧で従業員に通知しました。

「なー、あの回覧見た?突然給与支払日を変更するとか書いてあったんだけど、困るんだけど」

「そうだよな。こっちだって住宅とか車のローンだったり、クレジットの支払いを給与支払日に合わせてるんだから、突然給与支払日変更するとか言われても」

「しかも、変更された直後の給与って、給与計算期間の日数が少ないから、給与はかなり少ないんじゃない?うちの家計厳しくてさ、奥さんがよく赤字だ、赤字だって騒いでるから、その辺のこと、会社はなにかケアしてくれるのかな」

「どうなんだろう。というか、一方的に給与の締め日とか支払日とか変更していいのか。労基に聞いてくるわ」

さて、会社の経理の都合上、賃金の締め日や支払日を変更する必要性が生じることもあるかと思います。その際に、法的な問題はないか、またどのような手続きを踏み、どのような点に留意すれば良いか見ていきたいと思います。

法的に問題はないのか?

まず、法的に問題がないかどうかですが、賃金の支払いについては、労基法第24条で、

  1. 通貨払い、
  2. 直接払い、
  3. 全額払い、
  4. 毎月払い、
  5. 一定期日払い、

の五原則が定められており、賃金の締め日や支払日の変更がこの規定に抵触するとすれば、3.4.5.が考えられます。

3.の全額払いについては、賃金の全部または一部を控除して支払った場合に違反となりますので、今回の場合のように、賃金支払期間が短くなったことにより、一時的に賃金が下がることは、全額払いの違反にはなりません。

4.の毎月払いについては、ここでいう「毎月」とは暦によるものと考えられ、1日から末日までの間に少なくとも1回は賃金を支払わないといけないということになります。よって、変更月に1回も給与が支払われないということが起こらないようにする必要があります。

5.の一定期日払いについては、期日が特定され、その期日が周期的に到来するものでなければなりませんが、賃金支払日は、労働基準法コンメンタールにおいて、毎月払いや労働協約に反しない限り、労働協約または就業規則によって自由に定め、変更し得るものであり、使用者が事前に法所定の手続きにより就業規則を変更するに限り、支払期日を変更しても問題ないとされています。従って、毎月払いの原則を遵守し、事前に就業規則を変更することによって、賃金締め日や支払日を変更することは可能です。

変更することによる留意点は?

また、留意点としては、以下のようなものが考えられます。

従業員側も毎月の生活設計がありますので、

  1. なるべく早く通知して予告期間を長く設けることで備えができるようにすることや、
  2. 変更月を賞与支払月に合わせて従業員の負担を軽減したり、
  3. 無利子での貸付を行うなどの措置を講ずることが考えられます。

また、社会保険の手続き上、4月~6月に給与支払いの仕組みを変更すると事務手続きが煩雑になるため、この期間の変更はできるだけ避けた方が良いでしょう。

雇用保険上については、離職証明書を作成するときに注意が必要です。

なお、給与に関することは、従業員の最も関心のある労働条件の一つですので、締め日や支払日を変更する場合は、会社の事情をしっかりと説明する必要があるでしょう。


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