半日年休を取得した日は残業代は払わない?

半日年休を取得した日は、残業代を払わなくてもよいか?

年次有給休暇の半日休暇を取得し、午後から出社した日に残業をした場合、残業分について割増賃金の支払いは必要でしょうか?

→ 就業規則の条文の定め方によります。考え方の目安と事例詳細を以下にご紹介します。

目 次

  • 割増賃金の支払いが不要な場合
  • 割増賃金の支払いが必要な場合
  • 休暇の申し出期限
  • 事例詳細

割増賃金の支払いが不要な場合

1日の実労働時間を通算して、法定労働時間を超えないときは、2割5分の割増賃金の支払いは不要です。
例えば、午前中に半日休暇を取得した場合に、午後から出社して残業をしたとしても、実労働時間が8時間を超えなければ、通常の賃金の支払いは必要ですが、割増賃金の支払いは必要ありません。


割増賃金の支払いが必要な場合

ただし、就業規則で終業時刻後の労働に対して割増賃金を支払うというような規定がある場合は、実労働時間が8時間以内でも、終業時刻後の労働に対しては、2割5分の割増賃金の支払いが必要となります。


休暇の申し出期限

トラブルを防止するために、休暇取得の申出は前日までを原則とするような規定をしておくことが必要です。


有給休暇の取得に関することや割増賃金については、就業規則で明確に定めておかないと、トラブルに発展する可能性があります。

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事例詳細

当社では、今年度から、年次有給休暇の取得の促進と従業員にとっての利便性を考慮し、半日単位での取得を認めることにしました。

「おーーーい、総務部長。この前導入した、半日休暇制度の運用はうまくいっているか?」

「仕事と生活の調和が取れるとのことで、好評ですよ。ただ一つ気になることがありまして・・・。」

「気になること?何だねそれは?みんなに好評なんだろ?一体どうしたっていうんだ?」

「本来、年次有給休暇は、少なくとも前日までに申し出をする必要があるのですが、急病等の突発的な事態にも対応できるように、始業時刻前までに申し出すればよいことにしたんです。」

「ふーーーむ。それはみんなにとっては便利でいいじゃないか。それが何か問題だというのか?」

「悪用されると厄介だなと思いまして・・・。つまり、遅刻したときの隠れ蓑になってしまう可能性があるということです。」

「なーーーるほど。そういうことか。うちの会社にはそんな悪い奴はいないだろ。まぁ、従業員を信じようじゃないか。」

「まぁ、そうですね。やはり、会社が従業員を信じてあげないと、信頼関係は築けませんからね。」

しかし、しばらくすると、懸念していたことが現実化してしまいました。

「なぁなぁ、B君さぁ、最近取れるようになった半日休暇制度って、結構使えるかもな。」

「そうですねーーー。午前中に病院に行くときとか、便利でいいですねーーー。」

「それもそうだけどさぁ、他にも色々使えるんじゃないか?例えば、飲みすぎて寝坊してしまったときとかさぁ。」

「そんなことを会社に言ったら、まずいんじゃないですか?怒られたりしませんか?」

「馬鹿だなぁ。半日休暇といっても年次有給休暇であることに変わりはないだろう。ということは取得理由は何だって良いんだよ。飲みすぎて寝坊してしまったとしても、病院に言ってきますと言えば問題ないし、そもそも取得理由を聞かれたって、答える必要もないってことよ。」

数日後、A社員は、飲みすぎて寝坊をしてしまったため、病院に行くことを理由に、半日休暇を取得し、午後から出勤してきました。

「Aさん、今日の午前中は珍しく半日休暇でしたけど、どこか体調でも悪いんですか?」

「あぁ、ちーーーっと飲みすぎでね。でも、午前中休んだら元気になったから、今日は残業して、残業代でも稼ぐかなーーー。」

「へぇーーー、そうなんですかーーー。でも、それがバレちゃったら大変ですよーーー。」

「へっ、大丈夫、大丈夫。バレやしねぇーよ。そもそもバレたって、こっちは悪くねぇーしな。」

その後、A社員は同月内にもう1回、同じ理由で半日休暇を取得して、その日も残業しました。

これまで病気などしたことがないA社員が、急に病院に通うという状況をみた総務部長は、怪しく思いA社員と面談を実施することにしました。

「Aさん。最近、病院に行くと言って、半日休暇を2回取得してるけど、どこか体調悪いのかい?」

「ええ、まぁ、何て言うか、こうだるいと言うか、最近ちょっと体調が悪くって・・・。」

「まぁ、半日休暇を取得するのはいいんだが、大丈夫か?これまで病気などしたことのなかったAさんが、病院に通うなんてよほどのことなんだろうから、会社としても、心配でね。お手数だが、医師からの診断書を提出してくれないか?」

「えーーーっ!診断書ですかっ!そんな大袈裟なもんじゃありませんから心配無用ですよ。」

「従業員の健康を守る責務がある会社としては、Aさんの病状を把握する必要がありますから。」

「そ、そ、そうなんですか。・・・ま、ま、まぁ、わかりました。近いうちに持ってきます。」

「あと、半日休暇を取得した日に残業したという報告がありますが、これは残業とは認めませんから、割増賃金は支払いません。」

「えっ!っていうか、はぁーーーっ!?何でですか?2日間とも、20時まで2時間残業してるじゃないですか。」

「確かに、20時まで仕事をしていたかもしれないが、そうだとしても、同日午前に半日休暇を取得しているから、実労働時間のトータルは、13時から20時までの7時間であって、法定労働時間の8時間を超えていないからね。」

「ちょ、ちょっとそりゃーおかしいじゃないですか。ちゃんと2割5分増しで支払ってくれないと、労基署に相談に行きますよ。」

このような半日休暇制度を導入すると、こうした問題が生じる可能性があります。この会社の場合、半日休暇の取得申し出期限を、当日の始業時刻までとしていたことが、問題の原因です。

確かに、半日休暇といえども、年次有給休暇であることに変わりはありませんので、その取得理由は不問ではありますが、少なくとも前日までの申し出を要するという取扱いを原則としておく必要がありました。

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こうした対応は、一労働日単位での取得の場合でも同様で、当日の申し出は会社の判断により、特別な事情があると認められる場合に限り、認めるという対応にしておくことが必要です。

次に、半日休暇を取得した日の残業ですが、労基法は実労働時間主義を採用しておりますので、単に所定の終業時刻後に勤務すれば、時間外労働として, 割増賃金が支払われるものではありません。

行政解釈においても、「労基法に定める労働時間は実労働時間をいうものであり、時間外労働について労基法第37条に基づく割増賃金の支払いを要するのは、右の実労働時間を超えて労働させる場合に限るものである。したがって、例えば労働者が遅刻をした場合、その時間だけ通常の終業時刻を繰り下げて労働させる場合には、1日の実労働時間を通算すれば法定労働時間を超えないときは、法第37条に基づく割増賃金支払いの必要はない。」とされております。

なお、本行政解釈では、「遅刻」を例にしておりますが、「年次有給休暇」も実労働時間ではありませんから、結論としては同様になります。ただし、割増賃金が不要であるといっても、通常の時給部分の支払いは必要となります。

例えば、午前中に半日休暇(9時~12時)を取得し、その後、13時から20時まで勤務した場合には、午前中の半日休暇については、3時間分の賃金が発生し、13時から20時までの7時間については、7時間分の賃金(合計10時間)が発生することになります。ただし、実労働時間は、あくまで7時間ですから、2割5分の割増賃金を加算して支払う必要はないということになります。

しかし、就業規則により、終業時刻後に勤務した場合には、割増賃金を支払うという規定がある場合には、たとえ実労働時間数が8時間以内であっても、終業時刻後の労働時間数に対して、2割5分の割増賃金を加算して支払う必要があることになりますので、注意が必要です。


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