降格による賃金の減額は違法!?

降格による賃金の減額は、減給の制裁とされ違法となるのでしょうか?
降格処分により役職が引き下げられ、結果的に役職手当の金額が変更されたような場合は、労基法第91条の減給の制裁規定には抵触しません。
労務問題一発解決バイブル無料購読

無料!経営者必見!
「労務問題、一発解決!」奇跡のバイブル
いますぐ会社を守る準備をしよう!

このコンテンツの目次
  • 降格により引き下げられた賃金の考え方
  • 減給の制裁とされないために
  • 事例詳細

降格により引き下げられた賃金の考え方

  • 職務毎に異なった基準の賃金が支給されることになっている場合、職務替えによって賃金支給額が減少しても、法第91条の減給制裁規定に抵触しない

人事労務管理の情報提供サイト
アンカー・ネット
人事労務に役立つ情報や書式を無料でGETできます! アンカー・ネットの詳細 →

減給の制裁とされないために

  • 役職ごとの賃金の基準を、あらかじめ会社の賃金規程等で定めておくこと
  • 会社の裁量で一方的に減額しないこと
  • 就業規則の懲戒規定に、降職・降格の区分が定められていること
  • 就業規則の懲戒規定に、懲戒該当事由が定められていること
  • 合理性や相当性を欠く懲戒処分でないこと

社長を守る会の会員様を全力でサポートします!
社長を守る会
人事労務のお悩みは、今すぐ電話相談で即解決!
当サイトのすべての動画・マニュアルもオンラインで見放題!

事例詳細

過激な発言を繰り返す社員

A商事に勤務するB営業部長は、15年以上勤務しているベテラン社員であり、部下からの信頼も厚いのですが、役員に対する発言でしばしば問題を起こし、会社も頭を悩ませていました。

この度、社内定例会議において、社長が営業部の成績を指摘したところ、

「お前の考えについていける従業員はいない。社長を退任しろ!」

「もう我慢できない、俺の目の前から消えろ。今度目の前に現れたときはぶん殴ってやる!」

等の暴言があり、一時会議が中断される事態となりました。

会社は、B部長の発言は部下を監督・指導する者として極めて不適格であり、企業秩序を乱したとして、就業規則の懲戒規定により、降格・降職処分を科すことを決定し、課長職へ降格することにしました。

そして、この降格に伴い、役職手当が減額されるため、そのことをB部長に告げました。

社長

今までB部長の発言には始末書を提出させて注意を促してきたが、一向に改善されず、それどころか今回の騒動により、さらに企業秩序を乱した。よって、当社就業規則の懲戒規定に則って、降格・降職処分を科す。これにより来月から課長職に降格する。また、当社の賃金規程では、課長職の役職手当は4万円と定められているため、役職手当を10万円から4万円に減額する。自分が犯した過ちを反省するように。

B部長

ちょっと待ってください。私の給与の総額は月額40万円なので、減額されると34万円になります。これは労働基準法で制裁の限度額として定められている、平均賃金の半額、総賃金額の一割を超えるため法違反ではないでしょうか。

社長

当社では、役職に応じて役職手当の金額が決められているため、役職の引き下げに伴い、減額されるのは当然だ。これは、減給の制裁には該当しない。ましてやB部長だけを特別扱いすることはできない。

B部長

そんなはずはありません! この減額は明らかに違法です。絶対に受け入れられません!

労働基準法第91条では、減給の制裁額について、以下のように制限が設けられています。

減給の制裁を定める場合は、1回の減給額が平均賃金の1日の半額を超え、かつ総額が一賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはならない。

減額によって労働者の生活が脅かされないように法律で規制しているのです。

したがって、これを超える減給処分を行った場合は、労基法違反であり、無効となります。

なお、ここでいう減給とは、制裁として賃金を減額する場合のことを意味しています。

降格により引き下げられた賃金の考え方

減給の制裁額

事例のケースは、減給処分ではなく、降格処分により役職が引き下げられ、引き下げられた役職に応じて、結果的に役職手当の金額が変更されたことになりますので、労基法第91条の減給の制裁規定には抵触しません。

行政解釈でも、以下の通り述べられています。

降格・降職については、「職務毎に異なった基準の賃金が支給されることになっている場合、職務替によって賃金支給額が減少しても、法第91条の減給制裁規定に抵触しない」

役職ごとの賃金の基準を明確に定める!

ここで注意したいのは、役職ごとの賃金の基準があらかじめ会社の賃金規程等によって明確に定められている必要があるという点です。

役職ごとの賃金基準が定められていない場合、役職に応じて手当額が変更される約束になっていないため、役職の引き下げに伴い、当然に賃金を減額できることにはなりません。

会社の裁量で一方的に減額した場合は、減給の制裁に該当する可能性があります。

その他にも、就業規則の懲戒規定に、降職・降格の区分および懲戒該当事由が定められていることも必要です。

また、合理性や相当性を欠く懲戒処分は権利の濫用と判断されてしまいますので、懲戒処分の決定は慎重に行わなければなりません。

懲戒については、必ず就業規則の懲戒規程で明確に定めておかないと、トラブルに発展する可能性があります。
就業規則への具体的な記載方法は、以下のセミナーで詳細を解説しています。
セミナー参加者特典として、無料個別相談で疑問点をすべて解消することもできます。


「会社を守る就業規則」徹底解説セミナー

「会社を守る就業規則」徹底解説セミナー

竹内社労士事務所の代表である竹内が、最新の法改正や労働事情を踏まえ、2023年度版に改訂した最強の就業規則をベースに、法的根拠やトラブル事例、判例などを豊富に交え、会社を守るポイントをわかりやすく解説します。

「会社を守る就業規則」徹底解説セミナー開催予定

2024/04/19(金)受付開始 9:00 セミナー開始 9:30~16:30 満席
2024/05/24(金)受付開始 9:00 セミナー開始 9:30~16:30 満席
2024/06/21(金)受付開始 9:00 セミナー開始 9:30~16:30 空有
2024/07/26(金)受付開始 9:00 セミナー開始 9:30~16:30 空有  


就業規則セミナー
就業規則マニュアル(正社員用)
就業規則マニュアル(非正規社員用)

オンライン動画「会社を守る就業規則」徹底解説セミナーのご視聴方法

社長を守る会の方は、「アンカー・ネット」会員マイページにログイン
するだけで、すべてのコンテンツを、購入することなくご利用になれます。


社長を守る会以外で会員マイページをお持ちの方は、
下のボタンからログインして、オンライン動画のご購入とご視聴が可能です。

会員ログインして購入

当サイトで初めてご購入される方会員マイページをお持ちでない方は、
最初に、下のボタンから無料会員登録を行ってください。

会員登録後、上のボタンまたは会員マイページ内からご購入いただけます。

新規会員登録して購入


労務問題一発解決バイブル無料購読

無料!経営者必見!
「労務問題、一発解決!」奇跡のバイブル
いますぐ会社を守る準備をしよう!

改正労働基準法レポート
労務問題解決のカテゴリー
面接・採用 配転・異動 退職・解雇
服務規律 ハラスメント 労働時間
年次有給休暇 賃金・退職金 健康問題
懲戒処分 損害賠償 労働条件変更
労働組合 福利厚生 その他