降格による賃金の減額は違法?

降格による賃金の減額は違法?

降格による賃金の減額は、減給の制裁とされ違法となるのでしょうか?

→ 降格処分により役職が引き下げられ、結果的に役職手当の金額が変更されたような場合は、労基法第91条の減給の制裁規定には抵触しません。考え方の目安と事例詳細を以下にご紹介します。

目 次

  • 降格により引き下げられた賃金の考え方
  • 減給の制裁とされないために
  • 事例詳細

降格により引き下げられた賃金の考え方

職務毎に異なった基準の賃金が支給されることになっている場合、職務替によって賃金支給額が減少しても、法第91条の減給制裁規定に抵触しない


減給の制裁とされないために

  • 役職ごとの賃金の基準が、予め会社の賃金規程等で定めておくこと
  • 会社の裁量で一方的に減額しないこと
  • 就業規則の懲戒規定に、降職・降格の区分が定められていること
  • 就業規則の懲戒規定に、懲戒該当事由が定められていること
  • 合理性や相当性を欠く懲戒処分でないこと

懲戒については、必ず就業規則の懲戒規程で明確に定めておかないと、トラブルに発展する可能性があります。

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事例詳細

過激な発言を繰り返す社員

A商事に勤務するB営業部長は、15年以上勤務しているベテラン社員であり、部下からの信頼も厚いのですが、役員に対する発言でしばしば問題を起こし、会社も頭を悩ませていました。

この度、社内定例会議において、社長が営業部の成績を指摘したところ、

「お前の考えについていける従業員はいない。社長を退任しろ!」

「もう我慢できない、俺の目の前から消えろ。今度目の前に現れたときはぶん殴ってやる!」

等の暴言があり、一時会議が中断される事態となりました。

会社は、B部長の発言は部下を監督・指導する者として極めて不適格であり、企業秩序を乱したとして、就業規則の懲戒規定により、降格・降職処分を科すことを決定し、課長職へ降格することにしました。そして、この降格に伴い、役職手当が減額されるため、そのことをB部長に告げました。

「今までB部長の発言には始末書を提出させて注意を促してきたが、一向に改善されず、それどころか今回の騒動により、さらに企業秩序を乱した。よって、当社就業規則の懲戒規定に則って、降格・降職処分を科す。これにより来月から課長職に降格する。また、当社の賃金規程では、課長職の役職手当は4万円と定められているため、役職手当を10万円から4万円に減額する。自分が犯した過ちを反省するように。」

「ちょっと待って下さい。私の給与の総額は月額40万円なので、減額されると34万円になります。これは労働基準法で制裁の限度額として定められている、平均賃金の半額、総賃金額の一割を超えるため法違反ではないでしょうか。」

「当社では、役職に応じて役職手当の金額が決められているため、役職の引き下げに伴い、減額されるのは当然である。これは、減給の制裁には該当しない。ましてやB部長だけを特別扱いすることはできない。」

「そんなはずはありません!!!この減額は明らかに違法です。絶対に受け入れられません!」

労働基準法第91条では、減給の制裁額について制限が設けられており、「減給の制裁を定める場合は、一回の減給額が平均賃金の1日の半額を超え、かつ総額が一賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはならない。」とされています。

減額によって労働者の生活が脅かされないように法律で規制しているのです。

したがって、これを超える減給処分を行った場合は、労基法違反であり、無効となります。

なお、ここでいう減給とは、制裁として賃金を減額する場合のことを意味しています。

降格により引き下げられた賃金の考え方

減給の制裁額

事例のケースは、減給処分ではなく、降格処分により役職が引き下げられ、引き下げられた役職に応じて、結果的に役職手当の金額が変更されたことになりますので労基法第91条の減給の制裁規定には抵触しません。

行政解釈でも、降格・降職については、「職務毎に異なった基準の賃金が支給されることになっている場合、職務替によって賃金支給額が減少しても、法第91条の減給制裁規定に抵触しない」とされています(昭26.3.31 基収第938号)。

役職ごとの賃金の基準を明確に定める!

ここで注意したいのは、役職ごとの賃金の基準が予め会社の賃金規程等によって明確に定められている必要があるという点です。

役職ごとの賃金基準が定められていない場合、役職に応じて手当額が変更される約束になっていないため、役職の引き下げに伴い、当然に賃金を減額できることにはなりません。

会社の裁量で一方的に減額した場合は、減給の制裁に該当する可能性があります。

その他にも、就業規則の懲戒規定に、降職・降格の区分および懲戒該当事由が定められていることも必要です。

また、合理性や相当性を欠く懲戒処分は権利の濫用と判断されてしまいますので、懲戒処分の決定は慎重に行う必要があります。


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