サービス残業の取締まり強化

「サービス残業は仕事に対する情熱の表れ」、「残業が必要なのは本人の能力が低いから」など、社長が言いたくなる気持ちは良く理解できます。
まさにその通りだと思います。

実際に、多くの会社で当たり前のように「サービス残業」は行なわれています。
それが会社の強制である場合も、社員の自主性から行っている場合もあるでしょうが、現実問題として、恒常的に「サービス残業」が行なわれているのは、まぎれもない事実です。

元来、日本人は非常に勤勉で、真面目で、責任感が強い人種です。
「残業が必要なのは自分の能力が低いから」と考える社員もいるでしょうし、「会社のために自分は頑張る」といった社員もいるでしょう。

しかし、残念ながら、今はそんな考え方が一般的な時代ではなくなってしまいました。「残業代を払え!」と、声高に労働基準監督署に駆け込む社員が急増しています。

このようなサービス残業に関する事例は概ね次のような内容です。

  • 残業代の上限が決まっていて、それ以上支払ってくれない。
  • 労働時間の管理をせず、残業代は毎月固定でしか支払ってくれない。
  • 残業代を1円も支払ってくれない。
  • 残業代を自己管理で請求しなければ支払ってもらえない。
  • 実際は管理職ではないのに、管理職なのだからと残業代を払ってくれない。

「そんなうるさい社員には辞めてもらう!」、「よその会社もまともに払ってないんだから・・・」、「多少なりとも払ってるんだから文句は言わせない!とおっしゃる強硬派の社長さん。それは危険です。

また、「うちの会社は大丈夫」、「うちはいい社員ばかりだから」とおっしゃる社長さん。明日は我が身。要注意です。

現在、このサービス残業に対する取締りが強化され、摘発されるケースが急増しています。

なぜかと言うと、まずは、平成13年4月に厚生労働省から「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について」というものが打ち出されました。

続いて、さらにその取り組みを強化するべく、平成15年5月には「賃金不払残業総合対策要綱」「賃金不払残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針」が出され、サービス残業解消に向けた対策が強化されました。

これにより、全国の労働基準監督署が、かつて無い規模でのサービス残業の取締りに着手したわけです。

今では、毎日のように監督署からの是正勧告を受けた会社からの相談が舞い込んできています。

更に、このような新聞報道をはじめ、書店でも会社を訴える類の本まで販売されている始末ですから、ヤル気のない社員や自暴自棄になった社員を煽り立てる結果にもなっているでしょう。