反抗的な態度をとる社員が退職の申し出を撤回したいと言ってきたら?

反抗的な態度をとる社員が退職の申し出を撤回したいと言ってきたらどうすればよいのでしょうか?
会社が退職してほしいと考えていた従業員から退職の申し出があった場合には、速やかに退職の承諾権を持つ者から承諾した旨を通知すること、また、賞与の支給に関し、支給日に在籍することを要件とする場合には、明確に定めをしておくことが重要となります。
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このコンテンツの目次
  • 事例詳細
  • 解説
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事例詳細

 当社は、従業員数50名程度のIT企業です。2年ほど前に入社したAさんは、勤務態度や成績が悪く、上司からの注意指導に対しても常に反抗的な態度をとっていました。

部長

A君、何度同じミスを繰り返すんだ、今後二度と発生しないよう、明日までに改善報告書を提出するように。

A君

嫌です。もううんざりなので、今月末を以って退職させてください。

部長

そうか、わかった。最低限の引継ぎだけはやってくれ。

 Aさんはすぐに引継ぎを完了させ、残った年休を取得していたところ、Aさんから一本の電話が入りました。

A君

部長、会社から退職の承諾通知が届いたんですけど、今月退職だと、来月の賞与がもらえないって聞いたので・・・。退職日を来月末にしてもらえせんか?

部長

A君の退職は既に決定しているし、賞与についても、当社では支給日に在籍してないと支給しないって定めだから、君の要望には応じられないよ。

A君

納得できませんよ、特に賞与を支給してくれないんなら、後で問題にしますから(ブチッ)。

 最後の最後まで不誠実なAさんに、部長は、空いた口が塞がらない状態となりました・・・。

 さて、反抗的な労働者から退職申し出の撤回を拒否することはできるのでしょうか。

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解説

会社がいつ承諾の意思表示を行ったのかがポイントとなる。

 さてさて、今回のケースについて、以下で整理していきたいと思います。

 今回のケースのように、一度、会社に対して、退職を願い出た労働者が、後日その申し出を撤回できるのかという点について、労働者からの退職の申し出に対して、使用者の承諾の意思表示が労働者に到達するまでは、使用者に対し、不測の損害を与えるなど信義に反すると認められるような特段の事情がない限り、労働者は退職の意思表示を撤回することが可能とされています。

 したがって、今回の場合、会社がいつ承諾の意思表示を行ったのかがポイントとなりますが、Aの撤回(変更)は、会社が承諾・通知した後だったため、認められないことになります。なお、部長がAの申し出に対し、「わかった」と伝えた時点で、退職が成立しているという議論もありますが、それは部長が労働契約の締結(採用)権限を持っているかどうか、職務権限規程の定めの有無や、実態として最終的な決裁は誰が行っているのかなどの慣行によって判断されることになろうかと考えます。

賞与の支給に関する規定を就業規則に定めましょう

 賞与の支給に関して、賞与支給日に在籍していることを要件とする、いわゆる支給日在籍要件を定めている企業も多く、このような取り扱いについて、賞与対象期間中に就労したにもかかわらず、支給日に在籍していないという事実だけをもって、賞与を不支給とすることは、賞与が賃金の後払い的性格を有することから、不合理といった考え方もあるのですが、賞与の支給義務は支給対象期間、労働することにより、当然に発生する月例賃金とは異なり、労働契約上、当然に生じるものではなく、当該労働契約締結時の労使の合意によって生じるものとなります。そして、賞与の支給の有無や、賞与を支給する場合に一定の要件を設けることも可能となり、就業規則に支給日在籍要件の規定を設けておけば、その内容が労働契約として効力が及ぶことになります。

実務でのポイント

 最後に、今回のケースの場合、大きな問題となることは、ほとんどないのですが、実務上、Aのような勤務態度等が不良な従業員や、会社が退職してほしいと考えていた従業員から退職の申し出があった場合には、速やかに退職の承諾権を持つ者から承諾した旨を通知すること、また賞与の支給に関し、支給日に在籍することを要件とする場合には、明確に、就業規則で支給日在籍要件、計算期間の全てを在籍要件とする等の定めをしておくことが重要となります。  

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