労働新聞記事
2008/06/23---人事学
6月1日から改正道路交通法施行
改正法は、1)もみじマークの表示義務化、2)後部座席のシートベルト着用義務化、3)聴覚障害者の運転免許取得、4)13歳未満のこども、70歳以上の高齢者は従来、許可された歩道だけ自転車通行が可能だったが、全面的に開放された――などが主要点。なかでも、警察庁などが行った後部座席のシートベルト着用率はわずか8.8%という状態だったのを罰則付きとはいえ、いかに普及させるかが問題だ。当面9月までは、違反点や罰金を科すことは高速道路と自動車専用道路にとどめ、一般道では指導・警告とする。もみじマークは従来、70歳以上の高齢者について表示を努力義務としていたが、75歳以上の高齢ドライバーは表示が強制義務となった。一般者には、もみじマークを表示した車への保護義務が課せられ、幅寄せしたときは、違反点数1点と反則金6000円が徴収される。
2008/06/16---人事学
名ばかり管理職で新展開
今年1月に東京地裁で判決の出た日本マクドナルドの「名ばかり管理職」問題について、同社は8月から時間外割増賃金の対象とする、と記者発表した。新体系は職務給を廃止して、それを原資に残業代を払うというもの。月100時間に達することもあったという前記裁判事案の残業代には到底足らない額と思われる。なお、同社は裁判については控訴を継続していくとしており、違法性については認めていない。外食産業など多店舗展開を行っている産業では、職制のイスは少なく社内体制を今後どう維持していくかが注目される。
2008/06/09---人事学
中小企業にも身体障害者雇用責任
現在開かれている国会に身体障害者雇用促進法の改正案が上程されている。障害者の雇用率は1.8となっているが,これに達しない場合には1人につき年間5万円を納付するというペナルティーが設定されている。ただし、中小企業は体力的に十分でないため、現行では常用雇用者数が301人以上を対象としている。改正案では平成22年7月1日から納付金制度の対象を300人以下にも拡大することとし、段階的に対象枠を広げ、最終的には平成27年度までに規模101人以上となる。身障者雇用は社会的責任として取り組む必要があるが、企業体力の弱い中小企業でもバリアフリー化について、各種の助成金が用意されていることから、これらの活用が望まれる。
2008/06/02---人事学
パートタイマーの新雇止め基準
今年3月1日から施行された労働契約法に基づいて、有期労働契約の雇止め基準も同日付で改正された。とはいっても、改正点は従来、1年以上継続勤務をしている労働者に対し、以降契約更新をしない場合には「少なくとも30日前までにその旨を予告しなければならない」とされていたものに、「契約を3回以上更新した場合」が加わっただけだ。1年未満の継続勤務者に対しては、短期の契約更新を何回も繰り返した場合であっても「予告義務」はなかったが、今後は1年未満であっても、更新回数が3回を超えると「以降は更新しない旨を30日前」まえまでにと予告しなければならない。これは告示であるから、直接的な法律効果はないが、無視した場合、民事上の争いになったとき、当然不利となる。
2008/05/26---人事学
二次健康診断への費用援助
労働安全衛生法では、労働者の健康保持のため定期健診や特殊健診を使用者に義務付けている。その費用については「法で義務付けている以上、当然に使用者負担となる」としているが、異常所見が出た二次健診の費用については明言がない。これは、異常所見という事実により、健診から離れ「病気である」とされ、健康保険の適用を受けることができるわけだ。ただし、例外がある@血圧A血中脂質B血糖C肥満度のいずれも異常値がみられた場合に限っては、労災保険から費用が助成される。前記4項目は死の四重奏ともいわれ、偏った生活習慣に起因することが多く、結果的に脳血管疾患や心疾患を発症して、過労死に至る危険性が高い。となると、多大保険負担となるため、予めリスクを回避するために設けられた施策である。
2008/05/19---人事学
ジョブカードに市民権なし
フリーターや母子家庭主婦の正社員化をめざす新雇用政策が発表された。今後3年間で現在フリーターとして働いている若年労働力180万人のうち100万人を正社員化するというのが目標というから、厚生労働省おなじみの大風呂敷という声もある。ともあれ、本人の適性等に応じた職業能力開発、職業選択についての相談サービス(キャリアコンサルティング)を行い、実習と座学によってみっちり仕込んでいくらしいから、打つ手なしの現状では期待を掛けざるを得ない。研修修了時にキャリアコンサルタントが習熟状況を確認する。ジョブカードとは、プログラムの修了証のほか、職務経歴や教育訓練経歴、資格取得などの情報をまとめたもの。4月1日からスタートしているが知名度はまだまだの状況。
2008/05/12---人事学
就業規則の周知と法的拘束力
就業規則は各職場に常時配置し、労働者がいつでもみられる状態にしなければならない、というのは労働基準法の解釈にある。労基法の行政解釈では3つの方法を示しているが、労働契約法では労基法の周知方法に限定せず、実質的に判断するとしている。就業規則に合理性があり、かつ周知されていれば法的効力がある、と明確に定めたのが労契法の特長である。周知方法が備わっていれば、労働者が実際に就業規則の存在や内容を知っているか否かにかかわらず、「使用者が周知した」ことに該当するとし、就業規則の存在とその効力が明文規定によって固まったのは、罰則がなく、監督指導も行われない労契法について、軽視する向きが多かったが、大いに評価されてよさそうだ。
2008/05/05---人事学
メタボリック健診がスタート
メタボッリクシンドローム(内臓脂肪症候群)というおどろおどろしい名称がつけられたのは、生活習慣病による医療費が国民全体の3分の1を占めているからだ。健診によってメタボ患者や予備軍を洗い出し、医療に頼るのではなく、スポーツや食事指導によって打開していこうという趣旨である。きっかけになる腹囲は男性85aに対し、女性90aと世界各国の基準に比べ、男性に厳しい数値が示されており、この健診に異論が続出する要因となった。腹囲に加え、血圧、血糖、脂質の基準値が2つ以上オーバーしている者が積極的な健康支援の対象になる。3カ月以上にわたり、医師や管理栄養士、保健師などの専門家が多角的な指導を行い、6カ月経過後に一定の成果を挙げることが目標である。
2008/04/28---人事学
日雇労働者の派遣元・先が講ずべき指針
ネガティブリストになっている建設業務や港湾荷役業務に大手派遣会社が日雇労働者を派遣したことの容疑で摘発された。その実態が明らかになるにつれて、世間ではネットカフェに寄宿するワーキングプアを救済する動きも出ているし、野党では日雇派遣労働を禁止する労働者派遣法改正案を上程する動きもある。危険有害業務に就業させながら、入職時の安全衛生教育を手抜きするなど、業者側の金儲け主義は目に余るのは確かだが、労働者のセーフティーネットとして機能しているのは否定できない。そこで厚生労働省では適正な労働条件の確保をめざして、指針を告示したのだが、「毎日就業場所を巡回せよ」など現実を無視したきれいごとが並んでいる。画餅指針とはこのこと、と冷やかな関係者も少なからず存在しており、問題の根は限りなく深い。
2008/04/21---人事学
使用者の指揮監督下の「休憩」
仕事には、本作業に続く後工程があり、スムーズに流れていればいいが往々にして手空き時間が生じてしまう。仕事をしていないのだから、賃金の支払いを要しない「休憩時間」と見る向きがほとんどだろう。しかし、実作業を待っている時間帯は、休憩のように使用者の支配下から完全に開放され、自由に行動できる時間ではない。労働時間法ではこの間を「手待時間」と呼び、労働時間としてカウントすると規定されている。この手待時間が多いのは、料理店や運送関係で労働者が知らないことにつけ込み、勝手に「休憩時間」として賃金支払いをしない使用者がいるが、賃金不払いとして6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金を科せられるので注意したい。
2008/04/14---人事学
生理日の就業が著しく困難なとき
生理日の就業が困難な女性社員が休暇を請求したときには、使用者が付与しないと30万円の罰金を科せられる。世界各国をみても、女性特有の状態について「休暇」を付与するケースは日本を含めてもごく少ないといわれている。法では休暇は有給か無給かは、企業自治によるとされているが、労働組合活動華やかなりし頃の名残りで有給とするケースがかなり多い。問題はこの休暇が適正に請求されていないことにある。毎月、一定期日に請求する例などがその典型。休暇は暦日単位で付与する必要はなく、半日あるいは時間単位でもいい。有給についても取得を理由に精皆勤手当を減額しても不利益取扱いとならないという判例もあり、男女均等の観点から無給化に近づける努力が求められる。
2008/04/07---人事学
やっぱり頼りになる傷病手当金
改正健康保険法は18年10月から段階的に改正されているが、傷病手当金の改正は19年4月から実施された。保険料の徴収制度がボーナスも含めた総報酬制に改定されていたこともあって、給付は標準報酬日額の60%から3分の2にアップされた。同時に標準報酬等級も上下に4ランクずつ拡大されたことにより、もっともランクの高いクラスでは、80万6、610円に達する傷病手当金の受給が可能となった。そのほかでは、任意継続被保険者の傷病手当金適用が廃止された。もちろん、退職して資格喪失後の継続給付は実施(受給後暦日で1年6カ月間)されるから、実質的な影響はすくない。
2008/03/24---人事学
改正パート労働法がスタート
4月1日からスタートする改正パート労働法では、不安定なパートの身分保障(労働条件)に力点を置いている。労働条件の文書交付による明示義務は、労働基準法上の義務に@昇給の有無A退職手当の有無B賞与の有無が追加された。一方、労働契約の更新については、雇止め基準の改正(平15告示)が行われ、解雇予告について従来の1年以上に加えて「更新3回以上」が付け加えられた。更新について使用者側の怠慢もめだつが、1回でも自動更新すると、正社員と同じく「期間の定めのない労働契約」に転化するため、雇止めでではなく、解雇に相当する。となれば、解雇権濫用法理の適用があり、民事上の争いになる可能性が高いため、十分注意する必要がある。
2008/03/17---人事学
配置転換命令の有効性を問う
人事権は経営の最も有力な専権事項だが、発令すればすべて効力を有するというわけではない。とくに労働者に対して生活上の不利益を与えやすい転勤や出向などはすんなりいかないケースが多い。会社は入社時に就業規則などに規定する従業員の義務を説明し、同意を得ておくことが必要。同意があれば余人をもっては容易に替え難いという高度の必要性に限定されず、企業の合理的運営に寄与する点が認められれば、トラブルが生じて裁判になっても勝てる。労働者が通常甘受すべき不利益を著しく超えると主張する共働き夫婦の一方の配転は通常生じる事態という判例は多く、老親、幼子の介護・養育についても面倒をみてくれる者が多にいれば人事権の濫用には当たらないとする判例も珍しくない。
2008/03/10---人事学
育児休業終了後の短時間勤務制
育児休業は子が1歳に達するまで(その他事情のある場合は1歳6カ月まで)請求できるが、その後、企業内保育所があれば格別、無い場合には保育所を探さなければならない。ところがその保育所も入所率5倍という状況だから、多くは短時間勤務措置に頼っているのが実情だ。育児・介護休業法では、1歳から3歳までに達する間は強制義務として短時間勤務等の措置を求め、さらに小学校就学までは努力義務を課している。次世代支援対策として、育児と仕事の両立は欠かせない。努力義務であっても、小学校就学までの短時間勤務制度の普及が望まれるところだ。
2008/03/03---人事学
緊張感が今いちの改正パート法
4月1日から施行される改正パート法では、正社員と同一性の高いパートの差別的取扱いを禁止するとともに、一般パートも正社員への転換措置を講ずるよう義務付けている。しかし、後者は@正社員募集に際し、業務内容、賃金等をあらかじめパートに周知することA配置転換を新たに行う場合にはパートにもその機会を与えるB一定の資格を有するパートには正社員転換のための試験制度を設けるなどの施策を講じるよう求めているが、このうち使用者の選択により、いずれかを実施すれば義務を履行したとみなされるから、努力義務同然という声が高い。
2008/02/25---人事学
残業代算定基礎からの除外賃金
算定基礎から除外できる賃金は、制限列挙されており、これに適合しない賃金を除外した場合には、賃金不払いを問われることになる。注意をようするのは、平成11年の労働基準法改正で新たに加わった住宅手当だ。産業界の強い要望を受けて実現したものだが、単に「住宅手当」という名称だけで、すべて適合するわけではなく、一定の条件をクリアする必要がある。ところが、多くの企業では拡大解釈して賃金不払い状態になっており、禍根を残す恐れは強い。例えば@賃貸2万円、持家1万円といった住宅の形態ごとに一律支給するものA扶養者がある者、ない者というように住宅以外の要素で支給するものB全員一律に定額で支給するものは除外賃金にはならない。
2008/02/18---人事学
偽装店長問題もう1つの視点
東京地裁は日本マクドナル事件で店長は労働基準法第42条第2号に規定する管理監督者に相当しないとして、同社に対し2年間遡及して不払い残業代の支給を命じるよう判決した。管理監督者の要件は厳しく、経営者と一体となって活動できるような重要な地位にあるものしか適合しないとされており、当然の判決である。外食産業をはじめサービス業でこのような「偽装店長」が続出しているのは、店舗に正社員を配置する余裕がなく、アルバイトに頼っているため。退職された場合、仕事の負担は店長にかかり、長時間労働を強いられてしまう。残業代を惜しむ会社側は、支給義務を免れるため法律の要件を満たさないことを承知で管理監督者に登用しているわけだ。不払い残業問題もさることながら、過労死認定基準を超える長時間労働の結果、過労死に至るケースも発生しかねない状況は、企業の社会的責任として早急に是正することが望まれる。
2008/02/11---人事学
複数労組が存在する場合の36協定
時間外休日労働協定は別名36協定といわれ、労働基準法第36条に労使協定をした場合、使用者は同法32条に規定する1週40時間、1日8時間を超えて働かせても罰せられないとされている。ただし、協定当事者は労働者の過半数で組織する労働組合、ない場合は過半数を代表する労働者代表でなければならない。したがって、少数労組から締結要求があっても応じる必要はない。この場合、36協定は使用者の免罰効果だけだから、少数組合に加入する労働者が「当然に時間外労働義務」が発生するわけではなく、民事上の要件として就業規則に「業務の都合上36協定に規定する範囲内で時間外労働および休日労働をさせることがある」旨の規定を設けなければ残業命令を発令できない。
2008/02/04---人事学
義務的団体交渉と不当労働行為
労働組合法や憲法で保障されている項目(義務的団体交渉項目)について、使用者側が団交を拒否すれば不当労働行為とされる。ところで、労働組合の総元締めである連合は、社会的問題となっている格差是正について、非組合員の問題であっても団交事項とするよう示達している。これについて、有力学説では、労組は組合員の労働条件その他の待遇についてのみ団交権を有し、非組合員についての問題は団交権を有しない。例えば非組であるパートタイマーの労働条件については、義務的団交項目ではなく、使用者が同意した場合のみ行える「任意的団交項目」に過ぎない、としている。ワーキングプア問題から派生した各種格差の是正が団交テーブルに乗るか、注目される。
2008/01/28---人事学
労働者が死亡した場合の相続人
核家族化の進行や晩婚化によって、労働者の親族が不明となるケースも増えてきた。労働基準法では労働者が退職したり、死亡した場合には労働者に所属する「金品」を請求があったときから7日以内に返還しなければならないとしている。ただし、退職金の場合には高額となるため、就業規則の定めによって分割払いなども可能だ。死亡の場合にはこの退職金を相続人が受け取ることになるが、正当な者でない相続人に渡した後、正当な相続人から請求された場合にはまた同額を支払わなければならない。民法の一般原則には相続人について規定されているが、これを理解するのは難しい。そこで、労基法上は労規則の定めた労災保険の遺族補償の順位によることを就業規則等によって規定すれば、それも正当な行為とされている。
2008/01/21---人事学
振替休日と代休活用
振替休日と代休について、理解度の混乱がある。振替休日は就業規則所定の法定休日(1週1日もしくは4週4日)を労働日とし、4週間以内の労働日を休日に振り替えることをさし、これによって35%の休日割増賃金の支払いを免れることができる。これはあらかじめ就業規則にその旨を規定し、できるだけ近接の労働日を事前に振替休日として特定しなければならない。また、週40時間を超えたときには、超過分について25%の割増賃金を支払わなければならない。代休は休日出勤の代償として後日休みを付与するもので、それが法定休日であった場合には35%の割増賃金が必要となる。旗日や会社休日の場合にはこの割増賃金の支払いを要しないが、個々バラバラに取得する場合が多く管理面に注意を。
2008/01/14---人事学
誤解が多い賃金端数扱い
賃金カットや割増賃金の支払いに当たって、計算が面倒くさいという理由から都合のいいように処理していないだろうか。労働基準法第24条では、賃金支払いの5原則として@通貨でA直接本人にBその全額をC毎月1回以上D一定期日に支払わなければならない、としている。このうち、全額払い違反が生じやすいのが端数処理の段階だ。例えば5分以上30分未満は一律に30分相当を30分以上1時間未満は1時間をカットするとした場合には、実際の遅刻分を上回るカットとなり、全額払い違反を構成する(減給の制裁の場合は別)。事務簡便を目的に1カ月における割増賃金の算出に当たり、時間数の合計で1時間未満の端数がある場合、30分未満を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げることは認められている。