労働新聞記事
2007/12/24---人事学
中小企業労働時間適正化促進
受注産業が多い中小企業の時間短縮は何かと障害が多い。36協定の特別条項付もその1つだが、今年7月に新設された中小企業労働時間適正化促進助成金制度では、給付条件の柱に特別条項付36協定の対象労働者数を半分以上減少させることを置いている。そのほかノー残業デーの常設や長時間労働を無くすことを目的とする新規雇用なども挙げられている。助成は2段階に分かれ、@都道府県労働局長に「働き方プラン」を提出し、認定を受けた後に社内規程の整備を行うA同プランに従い時短削減、省力化、雇入措置を完了した場合がそれ。おのおのの段階で50万円、計100万円が給付される。
2007/12/17---人事学
育児休業終了後の社会保険料
育児休業中の社会保険料(健康保険・厚生年金保険)は、被保険者負担分、事業主負担分ともに徴収されない。この徴収免除期間についても健保・年金の被保険者資格に変更はなく、育休取得直前の標準報酬月額が保険給付に用いられる。反面、育休終了後、職場復帰した場合には、以前の報酬月額に基づく保険料では負担を感じる場合がある。残業をひかえたりして収入がダウンするからだ。そこで育休終了者には随時改定(昇・降給などで固定賃金に変動月以後引き続く3カ月の平均額に2等級以上の差が生じたときなどが対象)に関係なく、育休終了日の翌日が属する月以後3カ月間に受けた報酬の平均額に基づき、その翌月から新しい標準報酬月額を決めるという救済策を講じている。
2007/12/10---人事学
労働災害の危険性高い日雇派遣
ワーキングプアの代表格ともいえる日雇派遣は、住居がないためネットカフェ難民が多い。仕事内容も毎日変わり、危険有害業務に就労するケースが多く、実際に東京労働局が昨年派遣労働者を対象に労働災害の実態を調査したところによると、日雇派遣が占める割合が過半数に達していたと推測されている。労働安全衛生法では、雇入れ時に安全衛生教育をしなければならない、と規定されているが、日替わり職場で実施するのは無理な注文ともいえる。好んで日雇派遣を選択している者も多いが、活用度の高い職場ではリスクマネジメントの面からも安全衛生教育に割く時間を設ける必要がありそうだ。
2007/12/03---人事学
時間外労働等の適用除外になる管理職
労働基準法第41条第2項には、労働時間、休憩、休日等に関する同法の規制を除外するものとして管理監督職が挙げられている。その趣旨は経営者に匹敵するほどの重要な職務と権限を有し、時間管理になじまないということ。しかし、現実には管理職に登用して時間外割増賃金の支給対象や組合から脱退させる意図が強い。時間管理のほか賃金等の待遇面もその要件に沿うものが求められており、昇格した結果、残業代がつかなくなったため、収入が減少したことなどはあってはならない。法の要件を満たさないとき苦肉の策として、役付手当に残業相当分を含むとした場合、両者をはっきり区別し、割増賃金の算定方法によって算出した残業代をいついかなる月でも上回っていなければ認められない。
2007/11/26---人事学
募集・採用時の原則「年齢不問」
最近、求人広告をご覧になった方はすでにお気付きであろう。今年10月1日から施行された改正雇用対策法によって、わずかの例外措置を除き、「年齢不問」が強制義務となったため、ほとんどの求人媒体から年齢制限が姿を消した。ハローワークでの求人だけでなく、折込広告、新聞、雑誌などこの強制義務は、例外なく適用されるからだ。しかし、地味な雇用対策法がこれほど威力を発揮したのは驚くばかり。経営権の主要な柱である「適材適所の人員配置」「求人の自由」も形無しの状態である。雇用吸収力の高い大企業ならまだしも中小零細企業では、若くて有能な人材を集める可能性はますます低くなった。
2007/11/19---人事学
パートタイマーと時間外労働
時間外労働の割増賃金は1日実働8時間を超えたとき、25%支払う。したがって、6時間パートが所定の労働時間を延長して働いても8時間未満だったら時間外労働手当を支給する必要はない。パートの場合、時間外労働の算定基礎は、時間給がそのまま適用されるから計算も簡単だ。しかしながら、皆勤手当のように月によって支払う賃金がある場合には、その賃金を月における所定労働時間数で除した金額を算定基礎に組み込まなければならない。こうした方法できちんと処理しているケースは意外と少なく、金額自体は少額だが、不払い残業となるので慣行を改めるべき。
2007/11/12---人事学
相次ぐ老舗名店の偽装事件
北海道の白い恋人につづいて、老舗中の老舗といわれ全国に知れ渡っている「赤福」でも偽装が発覚した。こうした場合に備えて、昨年4月から公益通報者保護法が施行されているが、実際問題として、通報した労働者の保護ができるか問題視されている。通報は会社、取締り機関、マスコミ等に行われたものを対象とし、保護法は当該者の解雇や不利益取扱いを防止する目的で施行されたもの。ただ、現実問題として社内で告発が可能か否かだれが考えても障害が多い。このため、告発は匿名のタレコミがほとんどだ。したがって通報者本人の特定が難しく、保護法は機能しない。法律は作られても魂のこもったものでないと、役立たずのそしりは免れないが、その典型例といえそう。
2007/11/05---人事学
36協定の一方的破棄申入れ
労働基準法第32条には「使用者は労働者を1週40時間、1日8時間以上働かせてはならない」と規定されている。これでは事業の正常な運営に支障をきたすため、時間外・休日労使協定(36協定)を締結した場合には、法定基準を超えて働かせても罪を問われることがない仕組みになっている。労働者の福祉面からと法律に定めた延長限度時間および有効期間を考慮しなければならないが、労働者が有効期間中一方的に協定破棄を申し入れた場合はどうなるか。行政解釈では「他方においてこれに応じないときは、協定の効力に影響しない」とされている。
2007/10/29---人事学
提出期限切れの年休申請
年次有給休暇の消化率は下がる一方で、昨年の調査結果では46.6%にまで落ち込んでいる。合理化の進展によって、労働者個人の仕事量が増加して取得しにくくなったという分析もあるが、取得しづらい職場環境が大きく影響している。追い討ちをかけるように就業規則において「年休申請は2日前までに」といったしばりをかけている企業も多いが、期限切れの年休申請は無効になるのだろうか。年休は労働者が時季を指定すれば権利が発生し、会社は事業の正常な運営を妨げる場合のみ変更権の行使ができるが、その可能性はほとんどない。期限設定も訓示的効果があるのみで、その規定をもとに時季変更を強制したり、取得を拒否することはできないというのが通説である。
2007/10/15---人事学
内定承諾書提出後の取消し
今年の就職戦線は昨年に引き続いて「売手市場」だった。数カ所から内定通知をもらったと鼻高々の学生も珍しくない。そこで、内定通知を出しても企業がソデを降られるケースも多々ある。しかし、数次のやり取りの後、学生が「内定承諾書」を提出した場合は、当該会社に就職することを決めた、つまり労働契約の成立とみるのが自然だ。その後、この学生は内定辞退できるのだろうか。結論からいえば憲法で保障された「職業選択の自由」を根拠に民法第627条にいう「期間の定めのない労働契約は一方の申入れによっていつでも解約でき、2週間経過すれば契約は終了する」が適用される。これに対し、同様の権利がある使用者の解約申入れは厳しく制限され、労働基準法の解雇予告や予告手当の支給に留まらず、解雇権濫用法理の適用を受け、民事の争いになると多額の損害賠償が必要になる。
2007/10/08---人事学
外国人雇用状況届の義務化
10月1日から外国人を使用する全事業主に雇用状況を公共職業安定所に届け出ることが義務化された。届け出なかったり、虚偽の届出を行った場合には、30万円以下の罰金が科せられる。これは改正雇用対策法に新登場したもので「外国人は安い労働力」という固定観念から最低賃金法に違反する低賃金や時間外割増賃金の不払いが横行していることを重くみて規定化に至ったもの。合わせて、労働条件向上や再就職支援も努力義務化されることになった。出入国・難民管理法によれば、不法就労の外国人労働者を雇用した場合には罰金300万円が科せられているが、これを承知で雇い入れる事業主が後を絶たないため、法令順守の一環ともいえる。届出様式は職安窓口で配布するが、ホームページからもダウンロードできる。また、雇用保険の被保険者資格得喪届の備考欄に記入することで代替することができるという便宜も図られている。
2007/10/01---人事学
時間外・休日労働協定
時間外・休日労働協定なくしては労働者に残業や休日労働をさせることはできない(もっともこの協定自体は使用者の免罰効果だけで、残業命令を発するためには労働協約や就業規則による裏付けが必要)。チェーン展開を図る流通業などでは、店舗や支店に事務能力の優れた人材が少ないため、36協定を結ばないまま残業をさせているケースがあるが、これが発覚した場合には6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金を科せられる。36協定は事業場ごとに締結し、所轄の労働基準監督署に届け出なければならないが、事務屋がいないため、放置されている場合が多い。そこで、本社において各事業場の協定を一括して届け出る手が有効となる。ただし、この場合、過半数の労働者で組織されている労働組合がある場合のみ認められているという難点がある。
2007/09/24---人事学
様相が一変した最低賃金
中央最低賃金審議会は、今年の目安額をかつてないほど高額に設定したが、地方審では19円という最も高い目安額を示された東京都が早くも1円上乗せした20円アップで決定した。これにより東京の最賃は時間給739円となり、パート時給の実勢額に一歩近づいたかたち。最賃は政府のいう再チャレンジ策の目玉の1つに挙げられていたせいか、例年猛反対を繰り返してコメントしていた経営4団体の動きもにぶかった。加えてワーキングプア(働く貧困層)問題や日雇い派遣労働者問題がマスコミに大々的に採り上げられたこと、参議院選挙で全国一律800円(3年後に1,000円)を主張した民主党が大勝したことも地方審の審議に影響を与えると予想される。なお、継続審議になっている改正最賃法が成立すると、罰金は現行の2万円から一挙に50万円に引き上げられる。
2007/09/17---人事学
退職時の証明に制限なし
使用者は労働者が請求した場合「退職時の証明」を遅滞なく交付しなければならない。次の就職に役立たせるために、使用するものだから早急に便宜をはらう必要があるわけだ。この証明について、平成11年施行の改正労働基準法では「解雇の場合はその理由を含む」こととなった。もちろん、自らの責めによって解雇された場合には就職に不利となるから、結果的に人員整理など会社都合のみ証明することになる。この証明書については、請求回数に制限はなく、労働者が再就職するまで交付する義務が使用者にはある。同時に口頭で行ったなど事前の理由と異なる内容であった場合には、法が求めている義務を履行したことにはならない。
2007/09/10---人事学
製造請負業のガイドライン
厚生労働省は、偽装請負問題が尾を引いていることから、小規模の請負業や注文主でも法令順守などをチェックできるように「製造請負業のガイドライン」を作成した。雇用契約のあり方など労使関係の初歩から、キャリアパスの明示など多彩な内容となっている。非正規社員は、請負・派遣労働者として自動車、電機など主要輸出産業におけるコスト削減の切札的存在になっており、厚労省も警告や指導にやっきとなっているものの、取締り効果はいまいちの状態だ。ガイドラインは請負業者や発注者が自主的に体質改善を図っていくツールとなることを目的に作成されたものだが、利用されるかどうかがカギといえる。
2007/09/03---人事学
時間外労働の申請・許可制
人件費はいうまでもなく、会社を運営する上で最大のコスト。そのかなりの部分が時間外労働の割増賃金で占められている。ところがこの残業管理は自己申告がほとんどで、上司の許可によって管理する本来の姿で行っているところは少ない。結果的に仕事量と関係なく、所定時間内は適当に時間をつぶし、残業をこなすことによって生活給を稼ぐ輩も少なくない。実労働時間主義に立ってきちんと残業管理をするためには、その必要性を部下から申請させ、上司がチェックして許可するという「申請・許可制」にすべき、と当局でも推奨している。残業管理のあり方について再考してみよう。
2007/08/27---人事学
安全衛生委員会の活性化
9月は全国労働衛生週間の準備期間、そして10月1日から1週間が本週間。従業員50人以上の事業場(会社全体ではない)では、安全委員会および衛生委員会の設置が義務付けられているが、両者を統合して安全衛生委員会とすることも可能。委員会は労働安全衛生法によって毎月1回開催することが義務付けられているためか、マンネリ化しやすい。安全週間や労働衛生週間は、安衛委の存在感を従業員に占めす絶好の機会であるにもかかわらず、同様の結果に終わっているようだ。厚生労働省や中央労働災害防止協会の実施要領をそのまま流したり、ポスターの掲示でお茶を濁すといった具合だ。やはり事業場のトップが議長になり、安衛委をリードしなければ、という反省の声が聞かれる。
2007/08/20---人事学
社章・名刺等の法的意味
社章や名刺は、対外的に当該会社に所属していることを第三者に知らせるツール。したがって、不正に使用することは、その目的に反するから、自己または他人の利益のためにそのような行為をした場合には会社への背信行為となり、責任を問われる。全社員にパソコンが普及したIT時代の今日、旧態依然の名刺を使用するのはためらいがあり、自分で勝手に作成するケースも多いようだ。しかし、上記のように名刺は第三者に会社に所属していることを知らせる道具であり、このような行為は許されない。管理職の承認を得るなど私製の名刺にはちゃんとしたルールで対応するよう周知していくべきと考えられる。
2007/08/13---人事学
コース別管理と女性総合職
コース別管理は、男女雇用均等法(昭和61年施行)による男女差別逃れ、という悪評が定着している。男性を企業の基幹部分に配属して総合職とし、女性は一般事務を担当する一般職とするのが典型的なケース。学歴が同じなら賃率の差は生じないが、総合職は異動や転勤に比例して昇格し、賃率に大差がつくというパターンだ。女性は結婚・育児のために中途退職するという固定観念に根ざした結果と指摘する声が高い。均等処遇を果たすためには、こうした社内にこもる偏見を打破することが先決だが、コース別管理は差別の隠れ蓑になりやすく、一見合理的人事制度と見られているから容易なことではない。
2007/08/06---人事学
やむを得ない事由とは?
労働基準法で定める罰則規定のなかには、「天災事変その他やむを得ない事由のため事業の継続が不可能となった場合」に所轄労働基準監督署長に届け出ることによって、解雇制限などの適用除外を受けられることになっている。天災事変の場合は中越沖地震のようにライフラインが寸断されており、事業の継続が不可能なのは明らか。ただ、「その他やむを得ない事由」となると、あいまいなケースも出かねない。たとえば、世間を震撼させたミートホープ事件などは、偽装することによってコストダウンを図った犯罪行為であり、倒産状態に追い込まれても「やむを得ない事由」には適合しない。このようなケースでは、退職金や休業手当の支給はもちろんのこと、解雇についても相当性が問われてくる。
2007/07/30---人事学
5年契約できる専門的知識とは
情報処理システムの構築のために、その期間だけ必要な専門的知識を持ったシステムエンジニアなどは契約社員とすることが多い。システムの構築が終われば一般社員として配置するには高給すぎるからだ。平成16年の労働基準法改正によって専門的知識を所有する労働者の規制緩和が行われた。従来は当該事業に「専門的知識を有する労働者が不足している」「新たに就く者に限る」という制約が撤廃され、3年の契約期間も5年に延長されたばかりか禁止されていた契約更新も可能となった。ただし、その知識を駆使して業務に就くことが条件となっている。使用者と対等に労働条件を決めることができる能力を有することも重視され、収入要件は年収575万円から1,075万円を最低基準としている。
2007/07/16---人事学
企画業務型裁量労働制とは何か
裁量労働制には先行した専門業務型と企画業務型裁量労働制がある。文字どおり、所定の労働時間に縛られることなく、自分の裁量によって労働時間の配分を行い、成果を挙げていこうとするもの。専門業務型は比較的成果の把握が容易だが、企画業務型は調査・分析・企画・立案が主たる仕事となるため、時間の投入量に比例して成果を挙げることが難しい。労働時間の量に比例して代償賃金を決めることも趣旨にそぐわない。そのため、労働時間はみなし制がとられ、時間外手当なども予測した裁量手当が支給される。労働条件や健康管理については、労使委員会の決議に基づいて行われ、必ず本人の同意を求めなければならない。労働基準法改正案に盛り込む予定だった日本版ホワイトカラーエグゼンプションと似ているが、これは管理職一歩手前の高給取りをイメージしており、若干ニュアンスが異なる。企画業務型裁量労働制は経営戦略に連動した適正配置がカギとなっており、運用が難しく、まだ普及途上ということができる。
2007/07/09---人事学
これからが恐い熱中症
労働災害のうち熱中症は、5月から9月にかけて発症する典型的な季節型疾病だ。炎天下での作業中もしくは作業を終えて帰宅した後に死亡に至った被災者は、過去10年平均して20人に上っている。とくにピークはこれからの7月、8月で7割近くを占めている。真夏の労災だけに発症時刻も暑さでうだる午後2時から4時がピーク。水分、塩分の補給を欠かさないことはもちろんだが、温度を下げるため、水撒きや通風にも気を配り、十分な休憩時間や暑さのピーク時には作業休止時間を確保するように厚生労働省では指導している。作業前には、健康診断結果をもとに作業者の健康状態を把握しておいたり、発症した場合に受診する診療所の所在地の確認など事前準備が万全なら防げる労災といえる。