携帯電話代は残業単価に含まれる!?

携帯電話代を会社が支払うことになったが・・・

事務機器販売業の大塚駅前商事は、外出中の営業職に連絡する場合、営業職が自身で所有する携帯電話に電話をしていました。

また、営業職から会社に仕事上の連絡をする場合も、営業職自身の携帯電話を使用していました。

会社が小さい頃は、和気あいあいとした雰囲気であったため、問題なく過ぎてきましたが、人も増えてきたため、社長と総務部長は相談して、1ヵ月4,000円を電話代として支給することとしました。

そして半年が過ぎたころ、総務部長のところに、最近入社した社員Aがやってきました。

「総務部長、先日の給与明細をみましたが、私が計算したところ残業代の計算に携帯電話手当が含まれていません。差額を払ってほしいのですが」

「携帯電話手当は、君たちの携帯電話を業務に使うこともあるから支給しているんだよ、つまり実費を支払っているんだから残業代の計算に入れる必要はないだろう」

「ですが、私はそんなに外出しませんでしたし、ほとんど携帯電話を自分の業務に使っていませんから、実費弁償ではないです」

「うちの営業は外に出てお客さんと会うのが仕事だろ。それを外出してないから、経費じゃないとか何を訳のわからないことを言っているんだ。そんなことを言う前に営業しろ!」

「給与規程に明記されていますし、使っても使わなくても支給されるんですから…」

こんな調子で、言い合いは数時間にも及びました。

そもそも、賃金の定義は?

さて、総務部長とAはどちらが正しいのでしょうか?

賃金は労働基準法第11条で、「この法律で賃金とは賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの」をいうとされています。

ですが、会社が支給したものがすべて賃金となるわけではなく、

  1. 任意的・恩恵的なもの、
  2. 福利厚生施設、
  3. 企業設備(労働者の労務の提供を受けるため具備しておかなければならない有形・無形のすべての設備をいう)、
  4. 実費弁償的なものなどは含まれない

とされています。

一方、大塚駅前商事の携帯電話手当は、給与規程に記載されていることから、1.には相当せず、携帯電話の使用料を支給するということなので福利厚生ではなく、2.にも該当しません。

したがって、3.か4.となりますが、3.に関しては“労働者持ちのチェーンソーの損料として支給されるもの(昭55・12・10 基発第683号)、作業用品代(昭27・5・10 基収第2162号)は賃金ではない”という通達があります。

また、4.に関しては“通常実費弁償としてとらえられている旅費、社用のため役職員に支給される役職員交際費(昭26・12・27基収第612号)”は賃金ではない、という通達があります。

割増賃金の計算対象外にならない!?

残業代

大塚駅前商事の携帯電話手当は、業務に利用した分を支給するとなっているので、少なくとも実費弁償のようですが、携帯電話を実際に使用するかしないかにかかわらず毎月定額で支給されている場合、実費弁償とはならず、賃金として扱われることになります。

また、割増賃金の計算対象にするのか、しないのかという点については、労働基準法第37条及び同法施行規則21条により、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われる賃金、1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金を除き、割増賃金の計算対象とすることになりますので、大塚駅前商事の携帯電話手当は、割増賃金の計算対象であり差額を支給しなければならないと考えられます。

同様の問題では、たとえば慶弔見舞金を支給する場合(この場合、就業規則、労働協約等により支給条件が決まっていると賃金として扱われる)や、通勤距離や通勤にかかる費用に関係なく一律で通勤手当を支給する場合に生じますので、ご注意ください。


労働時間・残業のトラブル

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