無断欠勤が続く社員を解雇するには?

無断欠勤が続く社員を遂に・・・

株式会社X社の社員Aは、半年ほど前から無断欠勤をたびたび行うようになったため、上司と総務課長が注意をしてきました。

しかし、Aの勤務状況は改善されるどころか、ついには17日も連続で無断欠勤するにいたりました。

ここまでくると就業規則の解雇事由に相当してしまいます。

解雇

Aの上司も総務課長もAの扱いに困り果てて、社長に報告しました。

すると社長は大激怒!直ちにこれまでの勤怠状況を詳細に報告するよう総務課長に指示が下されました。

そこで、総務課長は状況を整理し、規則上の取り扱いを含めて社長に報告したところ、社長が下した決断は解雇。

今度は総務課長に解雇を通知するよう指示が出されました。

そこで総務課長は、解雇通知書の用意や、予告手当を計算する等の準備を行い、Aを呼び出しました。

「君は一体何を考えているのかね。これまで無断欠勤をしてきたときにその都度君に注意をしてきたし、出来る限り穏便にすませるようにしてきたのだが。」

「総務課長、そんなにガミガミ言いなさんな。これからはちゃんと会社に来ますよ。」

「いや、君は前にも同じ発言をしたが、結局先日も17日間も無断欠勤をした。社長にも相談したが、君には締日の○日付で辞めてもらうことになった。解雇通知書もあるし、○日だと予告期間に○日足りないのでその分の解雇予告手当の額も計算してある。」

「そんなーーー!解雇はひどすぎですよ。通知書も予告手当も受け取れませんよ!」

Aは部屋を飛び出してしまい、上司に体調が悪いと申告して帰宅してしまいました。そして、翌日から病気を理由に会社に来なくなってしまいました。

Aは総務課長が電話をしても電話に出ないばかりか、解雇通知書を書留で送っても送り返してくる始末です。

当然解雇予告手当も払えていません。

株式会社Xは、無事にAを解雇できるのでしょうか?

このケースでは

  1. 解雇通知の効力
  2. 解雇予告手当の支払い

の2つの問題があるため、それぞれ検討します。

解雇通知の効力は?

まず、1.の解雇通知の効力については、総務課長がAに解雇とは言っていないものの、「○日付で辞めてもらう」と発言し、さらに書留で通知書を発送し、通知書が本人に到達したことがわかることから解雇通知は有効であると考えられます。

このとき、もし総務課長の発言がなかったとしても、法律上は隔地者に対する意思表示は相手が知ろうと思えば知りえる状態であれば意思表示が到達したものとみなされる(民法97条)ため、Aの通知書を返送する行為は法律上何の意味も持ちません。

類似の例で解雇通知書の受領を拒否することもありますが、この場合も同様に意味がある行為ではありません。

解雇予告手当について

次に2.の解雇予告手当については、行政解釈では「法20条による解雇の予告にかわる30日分以上の平均賃金は解雇の申渡しと同時に支払うべきものである」(S23.3.17基発464号)とされていますので、一見すると株式会社Xの解雇手続きはこれを満たしていない、つまりAの戦術が功を奏しているということになってしまいます。

この問題については、結論から言ってしまえば、解雇を通知した相手方の金融機関口座が分かっているのであれば解雇予告手当を振込み、別途書留でその内容を通知する、あるいは現金書留で送付することで対応することが可能です。

なお、法務局への供託を要するという説もあるようですが、行政解釈で「解雇予告手当の支払いとは、通常の賃金その他の債務が支払われる場合と同様に、現実に労働者が受け取り得る状態に置かれた場合をいう」(S63.3.14基収150号)とありますので、前記のいずれかの方法で対応することで良いかと思います。

株式会社Xの総務課長はさっさとAの給与支払口座に解雇予告手当を振込んでしまった方が良いですね。


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