配置転換や人事異動を拒否したら?

配置転換や人事異動を社員が拒否した場合、拒否したことを理由として懲戒解雇することはできますか?
正社員に対する配置転換命令権は強く肯定されており、懲戒解雇することは可能です。
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このコンテンツの目次
  • 懲戒解雇できる理由
  • 権利の濫用とされる場合
  • 事例詳細

懲戒解雇できる理由

  • 正社員には長期的な雇用を前提としており、職種や勤務地なども限定されないため、配置転換命令権は強く肯定されている
  • 会社が有する人事異動命令権を機能させるには、懲戒解雇せざるを得ない
  • ただし、仕事内容や勤務地が限定された雇用契約がある場合は、その範囲内に限定される

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権利の濫用とされる場合

  • 不当な動機や目的に基づく配置転換である場合
  • 従業員が被る不利益があまりにも大きい場合
  • 業務上の必要性がない場合
  • 人員選択が合理的ではない場合
  • 配転手続きや経緯に問題がある場合

事例詳細

A社員に転勤命令を伝えると・・・

配置転換とは、労働者の配置の変更であって、職種・職務内容、または勤務場所が相当長期間にわたって変更されることをいいます。

配置転換の目的は、労働者の能力や適正に応じたものであったり、多様な業務経験による能力開発であったりあるいは組織の活性化や雇用調整等さまざまです。

全国展開する当社も、7月に大規模な人事異動を予定しています。

正式な辞令に先立つこと1ヶ月前、人事部長は転勤対象者のA社員に、その内示を行うことになりました。A社員は、入社15年目の中堅社員で、東京本社では、営業課の主任を務めています。

人事部長

A君。来月からなんだが、大阪支店へ転勤してもらうことになったので、よろしく頼むよ。

A社員

えっ!マジっすか!!! 私が大阪へ転勤ですか!? なんで私なんですか!?

人事部長

大阪支店に欠員が出てね。その後任として、是非君に頑張ってもらいたいんだ。君のキャリアアップにもなるし。君を評価してのことだ。

A社員

評価していただけるのはありがたいんですが・・・。なんでこの時期に私なんですか?

人事部長

何か不満でもあるのかね? 赴任手当も出るし、経済的にも得だぞ。いい話じゃないか。

A社員

実は、先日東京にマンションを購入したばかりで、しかも年内には結婚する予定なんです。妻も東京で勤務していますし、加えて妻の両親の体調も思わしくない状態でして・・・。

人事部長

そうか・・・。君の事情も分からんでもないが、会社としても組織として活動しているわけだし、君も正社員の立場上、人事異動はつきものだろう。ともかく、1週間じっくり考えてみてくれないか。

A社員

わ、わ、分かりました・・・。せっかく無理してマンション買ったのになあ。

そして1週間後、再び話し合いが持たれ、人事部長は何とか説得を試みましたが、結局、A社員が転勤命令に応じることはありませんでした。

人事部長

そうか。私としては大変不本意だが、今回の転勤命令拒否は、就業規則により、懲戒処分の対象になるぞ。

後日、社内で懲戒処分についての会議が行われ、その結果を人事部長がA社員に伝えることになりました。

人事部長

誠に遺憾だが、君は転勤命令拒否ということで、就業規則の規定により懲戒解雇と決まったよ。

A社員

ちょ、ちょ、懲戒解雇? マジっすか??? それはあんまりでしょう! これまで一生懸命会社のために頑張ってきたのに、就業規則の規定だけで、あまりに一方的すぎます。

人事部長

残念だが、役員会で今回の処分は決まったんだよ。今さらどうしようもないね。

A社員

そんな懲戒解雇なんて絶対にできるわけないでしょ! こうなれば僕も会社と戦うしかありません!

正社員に対する人事異動命令権は?

さて、一般的に正社員とは、長期的な雇用を前提としており、そのため職種や勤務地等を限定せずに採用され、定年までさまざまな職種や職場を経験することが予定されていますから、正社員に対する配置転換命令権は、強く肯定されています。

したがって、人事異動命令を拒否した場合には、懲戒処分の対象となるのですが、例えば、その処分として「出勤停止」とした場合、本人は甘んじて「出勤停止」処分を受け入れることも考えられます。

そうなると、会社が有する人事異動命令権が機能しなくなってしまいますから、会社としては、「懲戒解雇」処分を選択せざるを得ないことになります。

権利の濫用か否かの判断基準は?

しかし、配置転換の意図が、不当な動機や目的に基づくものであったり、業務上の必要性があっても、従業員が被る不利益がそれを大きく上回ったりする場合には、権利の濫用とみなされることがあります。

マンション

裁判例では、転勤に伴い「通常甘受すべき不利益」という表現を用いて権利の濫用か否かを判断しましたが、その範囲は、一般人の感覚よりも広く、「病気がちの親の面倒をみたい」、「子どもが幼少で、単身赴任を余儀なくされる」という程度の事情では、転勤拒否の正当な理由にならないとみなす傾向にあります。

しかし、親の面倒をみる必要がある場合でも、それが代替不可能であるという事情がある場合や、例えば子どもが病気であって、専門的な治療の必要性から転院が不可能であるという事情がある場合には、「通常甘受すべき不利益」の程度を著しく超えると認められる可能性が高いと思われます。

加えて、昨今の社会状況を反映し、介護を要する高齢の両親がいる従業員の転勤問題には、企業に求められる配慮が大きくなっており、慎重に対応するべきだと思います。

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