懲戒処分で減給するには?

交通事故の常習犯が・・・

当社のA社員は、これまでも営業中にたびたび交通事故を起こしたことがありました。

「社長。先程A社員から電話がありまして、また事故ってしまったようです。しかも、今回は人身事故なんです。」

「何だって!!!またA社員か!それで、被害者のケガの具合はどうなんだ?無事なのか?」

「はい。幸いにも。どうやら運良く、被害者は軽症のようなのですが・・・。」

今回の事故では、被害者と加害者、および会社との間においても事なきを得たのですが、度重ねて事故を発生させるA社員には困ったものです。

「しかし、A社員には困ったもんだな・・・。これだけ頻繁に事故を起こされてはたまったもんじゃない。」

「そうですねーーー。早速、A社員には、安全運転講習に行かせるように手配しました。」

「これまでも何回か受けさせていただろう。それだけでは効果が無いんじゃないか。今回は人身事故だし、罰金だな。」

「そうですか・・・。社長、罰金と言いますと、どの程度の金額をお考えですか?」

「そうだなーーー。給与総額の10%を3ヶ月間減給ってところかな・・・。どう思いますか?」

「社長。減給の場合は、労基法で、平均賃金の半額までが上限となっていまして・・・。」

「ほーーー。だとすると、今回のA社員の場合は、一体いくらになるんんだい?」

「A社員は、約30万円の月給ですから、平均賃金は約1万円になりますので、減給の上限は約5千円ですね。」

「えっ?たったの5千円しか減給できないの?でも、たまにニュースであるじゃないか。給与の10%を3ヶ月間減給したとかさ。」

「はぁ、そう言えば、そういうニュースもたまに見ますね。どうなんでしょうかねーーー。」

さて、多くの会社の就業規則には、懲戒処分として、減給という区分があると思いますが、懲戒処分として減給を行う場合、その減給額については、労基法第91条において制限がなされております。

減給額の制限は?

具体的には、「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。」と規定されているのですが、ここでいう「一回の額」とは、一事案における減給額を指しています。

よって、今回の事案に関しては、平均賃金の半額が減給の上限となり、これを超える減給はできません。

また減給に相当する行為が複数あった場合には、減給額は累積していきますが、そうであっても、一賃金支払期における減給額は、「賃金の総額」の10分の1を超えてはなりません。

減給

ですから、A社員の場合は、減給に相当する行為が仮に7回あったとすると、平均賃金の半額が5千円ですから、累積で3万5千円の減給額となりますが、月給30万円の10分の1は3万円であるため、一賃金計算期間においては3万円までしか減給できず、残りの5千円は翌賃金計算期間において減給することになります。

公務員には民間より厳しい規定がある

一方、たまにニュースなどで、「給与の●%を●ヶ月間減給」という報道がされていますが、公務員の場合にはあり得る話です。

国家公務員に対する懲戒処分については、人事院規則に基づいてなされますが、これによると、「減給は、一年以下の期間、俸給の月額の五分の一以下に相当する額を、給与から減ずるものとする。」と規定されています。

したがって、最大1年間、毎月、俸給月額の5分の1(20%)まで減額が可能となります(地方公務員の場合、各地方公共団体の条例により規定されています)。

公務員は、全体の奉仕者ですから、民間企業よりも厳しく規定されているのでしょうが、民間企業の場合は、そうはいきません。

ただし、民間企業であっても、経営幹部等が業績不振の責任をとって、報酬を自主的に返上することは懲戒処分には当たらず、減給額の限度とは無関係ということになります。


懲戒処分のトラブル

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