欠勤時の賃金控除の正しい方法は?

欠勤時の賃金控除の正しい方法は?

欠勤等の不就労分の賃金を控除する場合、控除の対象にできる賃金(手当)には制限はありますか?また、実際に控除する際の日額単価は、どのようにして計算すればよいのでしょうか?

→ 就業規則の賃金規程で、賃金控除に関する条文を定めることになります。考え方の目安と事例詳細を以下にご紹介します。

目 次

  • 賃金控除できる手当とは?
  • 日額単価の計算方法は?
  • 欠勤控除と日割計算の使い分け
  • 事例詳細

賃金控除できる手当とは?

  • 割増賃金と異なり欠勤控除については法令上の規定はありません
  • 就業規則に定めることで、原則として控除が可能となります
  • 就業規則に定めがない場合は、トラブルの原因になります

日額単価の計算方法は?

  • 月ごとに異なる所定労働日数をその都度計算基礎にできます
  • 1年間における月平均の所定労働日数を計算基礎にもできます
  • 1年間の平均値を計算基礎にした方が合理性があります
  • 多くの会社では1年間の平均値を計算基礎にしています

欠勤控除と日割計算の使い分け

  • 欠勤日数が多い場合、欠勤控除の場合は不都合が生じる場合があります
  • 不都合が生じる場合、欠勤控除ではなく日割計算で支給することができます
  • 概ね欠勤10日までは欠勤控除、10日超は日割計算とすれば合理性があります

賃金控除については、必ず就業規則の賃金規程で明確に定めておかないと、トラブルに発展する可能性があります。

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事例詳細

当社では、この4月に新入社員を3名迎えました。記憶

近年、特に若年層を中心に、メンタル不全に陥る人が増加しているという話しは聞いていましたが、まさか当社でそのような問題が生じるとは思ってもいませんでした。

「社長。新入社員のAさんなんですが、ゴールデンウィーク明けから体調を崩しているようで、今日で欠勤して1週間になるんですよ。」

「やぁ、総務部長。Aさんの体調が悪いって、一体どうしたんだ?1週間も休んでいるとなると心配だな。」

「どうやら、鬱っぽいということですので、診断書を提出するように連絡はしているんですが。」

「そうか。最近は、特に若い人たちの間で、うつ病になる人が多いと聞いていたが、うちの会社も他人事ではないな・・・。」

「はい。それで、Aさんが欠勤中の取り扱いなんですが、新入社員ですので、有給休暇はありません。ですので、しばらく様子を見るとしても、欠勤ということで取り扱いたいと思います。」

「あぁ、そうか。それは君に任せるよ。それにしてもこんな病気は昔は無かったんだけどねぇ。」

しかしAさんは、結局その後も出勤しませんでした。そして、月末間近になって、診断書も提出されることなく、5月末日をもって退職したいとの退職届が会社に送付されてきました。

会社は、これを承認することとし、その旨を本人に書面で連絡するとともに、最終の賃金の支払いについても併せて通知することにしました。

「総務部長。Aさんの今月の賃金計算なんですけど、どうやって計算したらよいですか?」

「どうやってって、就業規則通りに計算したらいいんじゃないの?Aさんの賃金の内訳って、どうなっているんだっけ?」

「Aさんの賃金の構成は、基本給18万円、皆勤手当1万円、住宅手当2万円、家族手当1万円の合計22万円です。」

「皆勤ではないから、皆勤手当は支給されないので、それ以外の賃金の21万円が基礎になるということだな。」

「はい、そうです。その21万円について欠勤控除をするということでいいんですよね。」

「そうそう。当社は、計算の便宜上、年間の所定労働日数を1ヶ月にならした月平均の所定労働日数を用いているから、1ヶ月の平均所定労働日数は、えーっと、20日だな。」

「そうすると、21万円を20日で割って、欠勤日数分を控除すればいいってことですよね。」

「そういうことだな、B子さん。君もずいぶん仕事に慣れてきたようだねぇ。」

「21万円÷20日=10,500円が日割単価になります。当社の賃金計算期間は月末締めで、Aさんは、その間19日間欠勤(2日間出勤)していますから、10,500円×19日=199,500円を控除して、10,500円を支給するってことでいいですか?」

「あれ?でもAさんは、2日出勤しているのに、1日分の賃金を支給するってことになるのかーーー?」

「・・・なんか変じゃありませんか、部長。・・・これってどうなんですかねぇ?」

「うーーーん。でも、まぁいいんじゃないか?就業規則にそう書いてあるんだし。」

こうして会社は、10,500円を支給する旨の書面を作成して、送付しました。

すると後日、Aさんから、勤務した分の賃金が未払いである旨の内容証明郵便が、会社宛に届きました。

さて、労働基準法11条には、賃金について「賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう」と規定されています。

つまり、賃金とは、労働者の労務提供に対する報酬であるとされていますから、労働者が欠勤等により、労務提供を行わなかった場合には、労働契約の趣旨として異なる定めが別途されている場合(例えば完全月給制や出来高給制)を除き、当該労働者には賃金請求権は発生しません(ノーワーク・ノーペイの原則)。

残業代

ところで、ノーワーク・ノーペイの原則にのっとり、欠勤等の不就労分について、賃金を控除するとしても、どの賃金(手当)を控除の対象とするのかが問題となります。

この点については、就業規則(賃金規程)の賃金控除に関する条項において、どの賃金(手当)を対象とするのかという規定があれば、原則として控除が可能と考えられます。

また、賃金控除に関しては、日割や時間割というように、単価を算出する必要がありますから、どの賃金(手当)を計算の対象とするのかという点に加え、どの数値を用いて対象となる賃金(手当)を除すのかという点も考慮する必要があります。

例えば、1日あたりの賃金を計算(日割計算)する場合、月ごとに異なる所定労働日数を、その都度の計算基礎とするのか、あるいは年間を通じた月平均の所定労働日数を計算基礎とするのかという方法が考えられますが現状、どちらを採用しても労基法違反として扱われることはありません。

したがって、会社ごとに就業規則(賃金規程)によって定めることになりますが、この点については、割増賃金を計算する場面における単価計算の方法が参考となります。

つまり、割増賃金の時間単価の計算方法として、労働基準法施行規則19条では、「月によって定められた賃金については、その金額を月における所定労働時間数(月によって所定労働時間数が異なる場合には、1年間における月平均所定労働時間数)で除した金額」とあることから、月によって所定労働日数が異なる場合においても、1年間の平均値を計算の基礎とすることは合理性があり、最も妥当な方法であると考えられます。

実際に、給与計算を担当する会社側からみても、賃金を受け取る労働者側からみても、欠勤等をした場合の控除額が毎月変動するよりも合理性がありますので、多くの企業がこのような方法を採用しています。

ただし、この計算方法は、通常の場合であれば合理的であるものの、先の例のように、不都合が生じるケースも出てきます。このような場合に限っては、例外的に、1日あたりの賃金に就労日数を乗じて算出する、つまり「欠勤控除」ではなく、「日割計算により支給」するのが合理的だと考えます。

多少の誤差はありますが、おおよそ欠勤10日までであれば「欠勤控除」によって算出し、欠勤が10日を超えた場合であれば「日割計算により支給」するという方法により対応するのが最も合理性があるのではないかと思います。

賃金・退職金のトラブル

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