服務規律に関するQ&A

就業規則で競業避止義務を課すことはできるのか?

Answer

裁判例では競業避止義務について、労働者が雇用関係継続中に「習得した業務上の知識、経験、技術は労働者の人格的財産の一部をなすもので、これを退職後にどのように活かして利用していくかは各人の自由に属し、特約もなしにこの自由を拘束することはできない」(昭43.3.27金沢地裁判決「中部機械製作所事件」)と、特約がなければ競業制限をすることはできないとしています。

それでは、特約さえあれば、いつでも労働者に競業避止義務を課すことができるかというと、必ずしもそうではありません。

具体的にどの範囲なら特約の有効性が認められるのかについては、裁判所は以下のように判断しています。

  1. 競業避止の期間や地域、職種の範囲
  2. 使用者の利益(企業秘密の保護)と労働者の不利益(転職、再就職の不自由)とのバランス
  3. 社会的利害(独占集中の恐れとそれに伴う一般消費者の利益)を総合的に見て判断すべきもの

としています(昭45.10.23奈良地裁判決「フォセコ・ジャパン・リミテッド事件」)。

平たく言うと、競業避止義務を課すためには、対象となる労働者の地位ないし職種が限定され、禁止期間が2年に限定され、且つ場所的にも限定され、しかも在職中に代償措置としての手当が支給されているという状況が必要だということになります。

このように考えると、労働者が実際に、競業会社に転職したり、独立自営したことによって、従前の会社に不利益を被らせたり、またはその恐れがあるときは、会社は、競業の差止請求、損害賠償請求、あるいは信用回復の措置などの法的措置により、事後的救済を図ることは出来ますが、就業規則によって、一律に競業避止義務を課すことは困難と言わざるを得ません。


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